「全日本盲導犬使用者の会」会長の山本誠さんが登場
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- 2025/05/11
全日本盲導犬使用者の会 会長の山本誠さんをお迎えして

1916年、第一次世界大戦中に失明した退役軍人を支援するため、ドイツに世界初の盲導犬訓練学校が設立されました。日本では1938年にアメリカの青年・ゴルドン氏が盲導犬を連れて来日し、講演を行ったことで、盲導犬の存在が広く知られるようになりました。その後、1939年にドイツから4匹のシェパードが盲導犬として導入され、1957年には日本で初めての国産の盲導犬が誕生。1967年には日本盲導犬協会が設立され、盲導犬の育成と普及が本格的に進められるようになった、ということなんですね」
小山「比較的、最近といえば最近なんですね」
今回はスタジオに、全日本盲導犬使用者の会の会長である山本誠さんと、パートナーのカエデちゃんをお迎えしました。
宇賀「カエデちゃん、本当にお利口さんですね」
小山「まったく鳴かないんですね」
山本「そうですね、鳴かないです」
小山「山本さんに危険を知らせる際には『ワンワン!』と吠えたりするんですか?」
山本「そういったこともなく。もともと盲導犬は危険な目に遭わないように仕事をしているので」
宇賀「足元にピタッと寄り添っていますね。山本さんは現在56歳でいらっしゃって、生まれつき目のご病気があったんですね」
山本「生まれつき目は弱かったです」
宇賀「14歳で失明をされたということなのですが、当時から盲導犬ユーザーだったのですか?」
山本「いえいえ、私が盲導犬を持ったのは15年くらい前ですね。それまでは白杖と言われる白い杖で歩いていました」
小山「やっぱり杖で歩く時と盲導犬にサポートされながら歩く時は違うんですか?」
山本「全然違いますね。たとえて言うならば、自転車で行くのと車で行くのとどっちが楽か、みたいな。盲導犬のことは昔から知っていたのですが、実際に持ってみると、格段に」
小山「最初に運転の訓練があるように、盲導犬を使う時の訓練みたいなものもあるんですか?」
山本「共同訓練と言いまして、やっぱり犬と私たちは生き物なので、マッチングみたいなものがあるんですね。相性だったり歩くスピードだったりとか、いろんなことを協会の訓練士さんが見て判断をして、マッチングをしてくれる期間が必要なので。1ヶ月間とか3週間くらいとか人によって違うんですけども、一緒に住むんです。協会に住み込みで訓練をして、『ああ大丈夫だな』と訓練士さんがGOサインを出したら、私たちは歩けるんです」
小山「そんなこともまったく知らなかったですね、我々」
宇賀「パートナーを迎えたことで、いちばん変わったことは何ですか?」
山本「外に出ることが楽しくなりましたね。それまでは私たちって、どこかに行こうという目的がないと外に出ないことが多いんですけれども、犬ですので散歩も兼ねて外に出てストレスを解消したりとかもするので、『出なきゃな』という心持ちもそうですし。外に出ても安全性が高ければそれが苦にならないので」
小山「山本さんは一人暮らしですか?」
山本「そうです」
小山「じゃあカエデちゃんと24時間一緒に?」
山本「はい、寝る時以外は一緒に」
小山「お一人でお住まいだったら、カエデちゃんのお世話は大変ではないんですか?」
山本「思えば大変なんですけど、慣れてしまって。大変よりも一緒にいるのが楽しいから、やはりみなさんも、子育てをしている方は子どものお世話をしなきゃいけないという使命があって、でも子どもの世話が大変かと言ったら、それを比較して何か得るものがあれば。当然かわいさとか、そういうものがあるので。私もカエデの世話は毎朝ブラッシングをしたり、耳掃除、歯磨きをしています」
宇賀「助け合いながら一緒に暮らしていくという」
小山「カエデちゃんは何という犬種になるんですか?」
山本「この子はラブラドールレトリバーという犬種ですね」
小山「盲導犬はすべてラブラドールなんですか?」
山本「日本ではいちばん多いと思います。種類がイエロー、黒、ゴールデンというレトリバーがいるんですけど、日本では主にこの犬種から盲導犬として働いています」
小山「それは性格的に合っているということなんですか」
山本「そうですね、人と一緒に何かをするのが好きな犬種でもあるので。歩いたりすることがやっぱり仕事なので、楽しんで歩いてもらいたいから、この子たちがいちばん適しているんじゃないかなと。この子たちは顔がかわいいので、子どもたちも受け入れやすいんですね。電車に乗った時も、『かわいい』と言ってくれれば乗りやすい」
宇賀「本当にお顔がかわいくて。カエデちゃんはかっこいいですよね、黒で」
小山「カエデという名前は山本さんのところに来た時にもう付いていたんですか?」
山本「協会と職員の方々と、パピーウォーカーさんというこの子が1歳まで面倒を見ている家族の方が相談して決めているそうです」
宇賀「カエデちゃんは山本さんにとって3代目の盲導犬なんですね。それまでの盲導犬はどうされたんですか?」
山本「盲導犬はだいたい10歳くらいで引退をするんです。なぜかというと、歳をとると判断力だったり、仕事をしていると階段の上り下りが遅くなってしまったりして歩調が合わなくなるんです。そうすると犬にとっても私たちにとってもよくないので、10歳で元気なうちに引退してもらうという制度を取っていまして。なので、1代目も2代目も10歳で」
小山「いわゆる定年があるということですね。定年した盲導犬たちはどこで余生を過ごすんですか」
山本「私たち盲導犬と一緒に歩いている人には、パピーウォーカーさんであったり引退ボランティアさんであったり、いろんな方が手を差し伸べて協力してやっているので、盲導犬が引退してからお世話をしてくれる人たちのところに行きます。中にはパピーウォーカーさんのところに戻る犬もいました。そういう再会もあるので、それはそれで私たちも、いいな、ホッとするなと」
宇賀「やっぱりお別れする時は寂しかったりするんですか?」
山本「そうですね、8年間は犬生の半分くらいを一緒に過ごすので。24時間ほとんど一緒なので、別れる時は寂しいですけども、その先にこの子たちの面倒を見てくれる人、パピーウォーカーさんのところに戻ったりすることで、この子たちが幸せに過ごせると思えば、涙を拭いてまた新たな一歩を、みたいな気持ちになりますね」
小山「最後の夜は泣きながら一緒に寝るって感じですか?」
山本「一緒には寝ませんけど(笑)、やっぱり最後の朝のブラッシングが、いちばん思い出が。『これが最後のブラッシングだね』と言って、お世話をいつものようにして。それがいちばん私たちは一仕事というか。『幸せになるんだよ』『僕もまた新たな盲導犬と一緒に歩くけど、忘れないからね』という感じで」
宇賀「盲導犬ユーザーの方から、こういうことを知っておいてほしいと思っていることとか、私たちが知っておかないといけないことは何かありますか?」
山本「盲導犬、聴導犬、介助犬を含めて補助犬というんですけども。身体を補助する犬として働いているんですけど、いろいろありますが、中でも仕事をしている犬をかわいそうと思ってしまう……仕事をさせられている、みたいな。それは犬が好きだから、犬がかわいいからそう思ってしまう方もいるんですけど、そうじゃないんだよ、と。一緒に歩いていて楽しくやっているんだよ、と。この子たちが仕事をさせられているんじゃなくて、自分たちから進んで『やるよやるよ。教えてあげるよ。一緒に歩こうよ』って私たちを外に出してくれているので。決してネガティブだけの関係性だけではない。関わり方一つで犬の見方も変わってくるので、皆さん、周りの方々が優しい目で見ていただければ、きっと犬の表情も皆さんの映る目に変わってくるんじゃないかなと思うので。やはり盲導犬は楽しんで仕事をしているんだということをいちばん知ってもらいたいなと思います。それから街中で、私たちが盲導犬と一緒に歩いていると、どうしても犬好きの人たちにとってはかわいくて、触りたいとかの衝動の駆られると思うんですけど、盲導犬はやっぱりお仕事中ですので、この子たちも人が大好きなので、触ろうとするとそっちに行っちゃうんですよね。そうするとお仕事を忘れちゃって、その先の仕事で危ない目に合ってしまうかもしれない。だから触らないでほしいな、と。あとはずっとじーっと見つめちゃうと、カエデも『なに?』と見つめ返してしまうので、そこは見てみぬふり、優しい無視をしてほしいなと」
小山「写真なんかも撮らない方がいいんですかね?」
山本「そうですね、写真を撮りたい時は、ユーザーさんに一声掛けていただいてOKならいいんですけど。勝手に撮ってしまうと、盗撮になってしまうので」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、今日は山本さんに『いま、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきていただきました。どなたに宛てたお手紙ですか?」
山本「やはり、足元にいるいつも一緒にいるカエデに手紙を書いてきました」
宇賀「今日は私が代読させていただきます」
山本さんからカエデに宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(5月18日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、山本さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 山本誠さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
山本誠さんとカエデちゃん、ありがとうございました!

小山「まったく鳴かないんですね」
山本「そうですね、鳴かないです」
小山「山本さんに危険を知らせる際には『ワンワン!』と吠えたりするんですか?」
山本「そういったこともなく。もともと盲導犬は危険な目に遭わないように仕事をしているので」

山本「生まれつき目は弱かったです」
宇賀「14歳で失明をされたということなのですが、当時から盲導犬ユーザーだったのですか?」

小山「やっぱり杖で歩く時と盲導犬にサポートされながら歩く時は違うんですか?」

小山「最初に運転の訓練があるように、盲導犬を使う時の訓練みたいなものもあるんですか?」
山本「共同訓練と言いまして、やっぱり犬と私たちは生き物なので、マッチングみたいなものがあるんですね。相性だったり歩くスピードだったりとか、いろんなことを協会の訓練士さんが見て判断をして、マッチングをしてくれる期間が必要なので。1ヶ月間とか3週間くらいとか人によって違うんですけども、一緒に住むんです。協会に住み込みで訓練をして、『ああ大丈夫だな』と訓練士さんがGOサインを出したら、私たちは歩けるんです」

宇賀「パートナーを迎えたことで、いちばん変わったことは何ですか?」
山本「外に出ることが楽しくなりましたね。それまでは私たちって、どこかに行こうという目的がないと外に出ないことが多いんですけれども、犬ですので散歩も兼ねて外に出てストレスを解消したりとかもするので、『出なきゃな』という心持ちもそうですし。外に出ても安全性が高ければそれが苦にならないので」
小山「山本さんは一人暮らしですか?」
山本「そうです」
小山「じゃあカエデちゃんと24時間一緒に?」
山本「はい、寝る時以外は一緒に」
小山「お一人でお住まいだったら、カエデちゃんのお世話は大変ではないんですか?」
山本「思えば大変なんですけど、慣れてしまって。大変よりも一緒にいるのが楽しいから、やはりみなさんも、子育てをしている方は子どものお世話をしなきゃいけないという使命があって、でも子どもの世話が大変かと言ったら、それを比較して何か得るものがあれば。当然かわいさとか、そういうものがあるので。私もカエデの世話は毎朝ブラッシングをしたり、耳掃除、歯磨きをしています」
宇賀「助け合いながら一緒に暮らしていくという」

山本「この子はラブラドールレトリバーという犬種ですね」
小山「盲導犬はすべてラブラドールなんですか?」

小山「それは性格的に合っているということなんですか」
山本「そうですね、人と一緒に何かをするのが好きな犬種でもあるので。歩いたりすることがやっぱり仕事なので、楽しんで歩いてもらいたいから、この子たちがいちばん適しているんじゃないかなと。この子たちは顔がかわいいので、子どもたちも受け入れやすいんですね。電車に乗った時も、『かわいい』と言ってくれれば乗りやすい」

小山「カエデという名前は山本さんのところに来た時にもう付いていたんですか?」
山本「協会と職員の方々と、パピーウォーカーさんというこの子が1歳まで面倒を見ている家族の方が相談して決めているそうです」
宇賀「カエデちゃんは山本さんにとって3代目の盲導犬なんですね。それまでの盲導犬はどうされたんですか?」

小山「いわゆる定年があるということですね。定年した盲導犬たちはどこで余生を過ごすんですか」
山本「私たち盲導犬と一緒に歩いている人には、パピーウォーカーさんであったり引退ボランティアさんであったり、いろんな方が手を差し伸べて協力してやっているので、盲導犬が引退してからお世話をしてくれる人たちのところに行きます。中にはパピーウォーカーさんのところに戻る犬もいました。そういう再会もあるので、それはそれで私たちも、いいな、ホッとするなと」

山本「そうですね、8年間は犬生の半分くらいを一緒に過ごすので。24時間ほとんど一緒なので、別れる時は寂しいですけども、その先にこの子たちの面倒を見てくれる人、パピーウォーカーさんのところに戻ったりすることで、この子たちが幸せに過ごせると思えば、涙を拭いてまた新たな一歩を、みたいな気持ちになりますね」
小山「最後の夜は泣きながら一緒に寝るって感じですか?」
山本「一緒には寝ませんけど(笑)、やっぱり最後の朝のブラッシングが、いちばん思い出が。『これが最後のブラッシングだね』と言って、お世話をいつものようにして。それがいちばん私たちは一仕事というか。『幸せになるんだよ』『僕もまた新たな盲導犬と一緒に歩くけど、忘れないからね』という感じで」


小山「写真なんかも撮らない方がいいんですかね?」
山本「そうですね、写真を撮りたい時は、ユーザーさんに一声掛けていただいてOKならいいんですけど。勝手に撮ってしまうと、盗撮になってしまうので」

山本「やはり、足元にいるいつも一緒にいるカエデに手紙を書いてきました」


山本さんからカエデに宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(5月18日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、山本さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 山本誠さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
山本誠さんとカエデちゃん、ありがとうございました!


皆さんからのお手紙、お待ちしています

引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ

「毎年、郵便局前の大通りで花笠祭りが開催され、昨年は私たちも参加しました。自分の踊っている姿をビデオで撮影し、山形県内の各郵便局に送り、社員の皆さんに踊りを覚えてもらいました。今年も機会があれば参加したいです。私は小さい頃、団地の五階に住んでいたのですが、年賀状の時期になると、一階の集合ポストに私が年賀状を取りに行っており、普段顔を合わせる友達や同じ団地に住んでいる友達から届いた年賀状に、『今年もたくさん遊ぼうね』と書いてあると、とても嬉しかったです。普段の生活で交わす『おはよう』や『またね』の挨拶も嬉しいですが、年賀状での挨拶は年賀状だからこそ味わえる、一味違った嬉しさがあったことを今でも覚えています。SNSやメールでは伝わらない、人と人との心をつなぐ年賀状の文化が続いていってほしいと思います。」
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