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SUNDAY'S POSTSUNDAY'S POST

『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
読むと、送り主のことがもっと知りたくなってきます。
日曜の午後3時、1通の手紙から始まる物語。
手紙の送り主にじっくりお話をうかがいながら、
手紙を受け取る喜び、手紙を送るワクワク感、
手紙に詰まった想いをラジオを通して全国に届けます。
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92歳の落語家 三遊亭金翁さんが登場

  • ON AIR
  • 2022/01/02

落語家の三遊亭金翁さんをお迎えして

写真 2022年最初のゲストは、92歳の落語家・三遊亭金翁(さんゆうてい きんおう)さんです。
写真 宇賀「お正月ということもありまして、今回は大変おめでたいお方をお迎えいたしました! SUNDAY’S POST、2022年最初のゲストとしてお迎えするのは落語家の三遊亭金翁(さんゆうてい きんおう)さんです」

金翁「なんかおめでたいって言われると、あまり利口じゃないみたいですね(笑)」
写真 宇賀「金翁さんは御年92歳。3月には93歳になられるということなんですよね。東西合わせて、落語界最古参の現役の落語家でいらっしゃいます」

金翁「そうですね、他にはいませんね。私より年上は桂米丸さんという方がいて、あの方は大正か昭和のはじめの生まれなので、私より2つ3つ上です。あの人は私より先輩ですが、落語家になったのは私の方が古いんですよ。私は昭和16年に噺家になっていましたからね。大東亜戦争の始まった年です。古いねえ」
写真 小山「戦時中は落語のネタを規制されたりしたんですか?」

金翁「ありましたけど、我々小僧っ子には関係ないですよね。あの時代は『戦争をやっているのにこんなふしだらなことを』、『優雅なことを』なんて言う、うるさい人はいたんですよ。でもね、あんまりうるさいからね、じゃあ全部封印して埋めちゃおうじゃないか、なんてね。でも考えたらね、こんなに馬鹿な話はないんですよ。埋めちゃいました、って言ったってね、全部自分の頭の中に噺家は入っているんですから。いつでも喋れるわけです。兵隊さんの慰問なんかに行くと、大変喜ぶんですよね」

小山「やっぱりみなさん笑いを求めていたんですね」
写真 金翁「みんな好きな話ですからね。男の人が女の噂話をしない人はいないでしょう。女の人だって、男の人に惚れたとか惚れられたとか、そういうことはずーっと、人間が生まれてから今日まで、みんなくっついていることですからね。『ふしだらなことは考えちゃいかん』なんて言っている人がいちばん好きだったりしてね」

小山「今、芸歴は何年目でいらっしゃるんですか?」

金翁「何年になるんですかね」

宇賀「おいくつの時に始められたんですか?」

金翁「12歳でしたかね」

小山「ということは、80年ですね!」

宇賀「きっかけは何だったんですか?」

金翁「みんなから『何で噺家になったんですか』って聞かれるんですけどね、好きだからなったんですよ。嫌いで噺家になろうなんて奴はひとりもいないですよ。みんな落語をやりたくてしょうがなくて落語家になるんですよね。柳家金語楼氏という私の大先輩ですけどね、この方は兵役に行っていらして、兵隊であったことを漫談風にまとめた『金語楼の兵隊さん』なんていうレコードがあったんですよね。これを聞いたら面白くて面白くてね。両面6分を聞いてゲラゲラ笑って、覚えちゃったんですよ。覚えたらね、人の前でやりたくてしょうがないでしょう。まずいことにうちの父親、母親は、下町で大衆食堂をやっていたんですよ。何でもありで、夜中の11時とか12時に来て酔っ払う大人に『おじさん、俺、落語知っているんだよ』『ふうん、そういう落語かやってみなよ』。そうしてやったら、『うまいうまい、坊やうまいなあ! 大きくなったら噺家になれ』ってみんな言うんですよ。子どもにそういうくだらないこと言うもんじゃないですよ。本人はなりたいな、と思ったんですよね」
写真 宇賀「この番組は手紙をテーマにしているのですが、金翁さんはこれまで受け取ったお手紙とか、書いたお手紙で印象に残っているものはありますか?」

金翁「結婚する前の女房からもらった手紙ですかね。これは今でも大事にとってあるけど、人様にお見せするものじゃないですね。好きとか嫌いとか、あの頃には実にくだらないことを書いているんですね。『今日はどこそこに行ってきました』とか、『あなたのことを思って書いています』とか、もう空々しいというかね(笑)。でも、それがどんなに嬉しいことか」

小山「ご結婚前というのは、だいたいいつ頃なんですか?」

金翁「女房と結婚したのは昭和29年ですから、昭和27、8年頃ですね。(手紙は)1週間に2回くらいきたり、私が1日に2通出したり」

小山「手紙が届くのが楽しみで仕方なかったんですね」
写真 金翁「自分の想いを一生懸命、はがきで書いたり何だりして。うちのカミさんは新潟にいたでしょう。朝書いてポストにいれるでしょ、これがあくる日の朝に配達になるんです。夕方や夜寝る前に書いて、新潟行きの最終列車の後ろに郵便車というのが付いているの。今はもうなくなりましたけどね、郵便車にポストがあって、そのポストに入れて送ると、あくる日の午後にそれが届く。だから朝と午後と、2回ずつ手紙を書いてたんです」

小山「遠距離恋愛だったんですね」

金翁「遠距離ですよ、新潟にはしょっちゅう行けるわけじゃないですからね。今みたいに新幹線に乗って2時間3時間って、そんな時代じゃないですもん。夜行列車で一晩かかるんです」

小山「でも列車に投函できたんですね」

金翁「そうなの、なくなっちゃったんですけどね。終列車の後ろに郵便車が付いていて、上野の郵便局に集まってきた手紙を積み込んで、列車の中で仕分けするんですよ」

小山「今、もう1回復活してもいいくらいですね」

宇賀「そして、金翁さんには『いま手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いていただきました」

金翁「私の先代さんに思いの丈を書いてみようと思って、書いてきました」
写真 金翁さんのお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聴きください(1月9日まで聴取可能)

小山「落語家の引退の時、というのはあるんですか?」

金翁「別に決まっちゃいません。おそらく喋れなくなったり体が動かなくなったら、しょうがないでしょうね。やっぱり死ぬまでできるというのはこれなんですよね。体が動かなくても、口だけ達者ならね、商売になるんですからね。いいですよ、噺家になりなさい、あなたも」

小山・宇賀「(笑)」
写真 小山「今年93歳になられるということで、お元気ですよね」

宇賀「今年の目標とかはあるんですか?」
写真 金翁「目標は、自分の体を大事にしてもっと足腰がしっかりしてくるといいと思うのですが、どうも病気なんですかね。歩行器につかまってよちよちと歩いているようじゃしょうがないですね。自分で歩けたら、こんなにいいことありませんよ。高座に上がるのでもね、出囃子に乗っかってタッタと歩いて、座布団にサッと座って『いらっしゃいませ』、これは気持ちがいいけどね。高座にみんなに手を取って上げさせてもらって、座って幕を開けてもらう板付きは、自分では面映ゆいね。気持ちよくないですよね。でもしょうがないですよね、体がきかなくちゃ。だからみなさん、体は大事にしてくださいよ!」

小山「でも楽しそうにお話をされていて……どうやったら楽しく生きることができるんですか?」

金翁「どうやったらって言われても、私は困っちゃうなあ。楽しく生きるには楽しく考えるよりしょうがないでしょうね。考え込んじゃって『俺はダメだ、俺はダメだ』と思えば全然ダメになっちゃうでしょうし。なにくそ、っていう元気があったり、俺も元気にならなくちゃな、というのが活きがいいんじゃないですか。みんなに甘えて動かなくなっちゃったら、やっぱり人間おしまいですよ」
写真 宇賀「今回の放送を聞いて、金翁さんへお手紙を書きたい、と思った方もいらっしゃると思います。ぜひ番組にお寄せください。責任を持って、ご本人にお渡しいたします。【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 三遊亭金翁さん宛】にお願いします。

三遊亭金翁さん、ありがとうございました!
写真 金翁さんのYouTubeチャンネル「金翁ロードショー」もぜひご覧ください!

「金翁ロードショー」

皆さんからの年賀状をお待ちしています!


SUNDAY’S POSTでは、皆さんからの年賀状をお待ちしています。『2022年の抱負や目標、応援してほしいこと』を書いて送っていただくと、番組からエールを送るかたちでお返事お届けします! 1月11日着分まで受け付けています。宛先は【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」】にお願いします。
さらに、年賀状を送っていただいた方の中から、抽選でプレゼントのご用意もあります。

「SUNDAY’S POST賞」は、〈ぽすくまのぬいぐるみ〉。
写真 「小山薫堂賞」は、〈一澤信三郎帆布のバッグ(H-04 中サイズ ベージュ×紺)〉。
一澤バッグ
写真 「宇賀なつみ賞」は、未来型ホットプレート〈abien MAGIC GRILL〉です。
abien MAGIC GRILL
写真 ご応募の際は、お名前、ご住所、お電話番号、そして、来年の抱負を忘れずに書いてください。

#手紙にしよう かるたデザインの年賀状が登場!


「#手紙にしよう」では、現在、2種類の“かるた”のデザインの年賀状をご用意しています。〈とらに翼……勢いのあるものにさらに強さが加わること〉、〈ついた餅より心持ち……ものをもらうよりその心づかいが嬉しいこと〉と、ことわざがモチーフになっていています。「#手紙にしよう」のサイトにアップされているので、お気軽にダウンロードしてみてください。年賀状として投函するときは、切手の下に朱書きで「年賀」と書き添えるのをお忘れなく。

「&POST #手紙にしよう」

今週の後クレ

写真 今回のメッセージは、奈良県〈奈良中央郵便局〉石井岬さんでした!

「年末に10歳の娘が『パパ、私も年賀状書きたい』と言いました。娘が遊びながら自由に年賀状を書いていたのを見て、こういう書き方もあるのだなと私自身新しい発見になりましたが、友だちの住所が分からないという問題にあたりました。 私たち郵便配達員は、住所がないとお届けできないのですが、娘は『自分で走って配ってくる!』と言って、元旦に自分で全部配りに行きました。娘の姿を見た時に、『もしかしたら日本中の色々なところで、娘と同じようなことをしている子どもたちがいるのかもしれないな』と思ったら、自分も年賀状の配達を頑張ろうと思いました。」
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