詩人の菅原敏さんが登場 詩と手紙の共通点とは?
- 2022/05/29
詩人の菅原敏さんをお迎えして
今回はスタジオに、詩人の菅原敏さんをゲストにお迎えしました。
宇賀「簡単に、菅原さんのご紹介をさせていただきますね。2011年にアメリカの出版社より、詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』を発表し、それが逆輸入されてデビュー。執筆活動を軸に、異業種とのコラボレーション、ラジオやテレビでの朗読など、幅広く詩を表現されています」
小山「デビュー作は英語だったんですか?」
菅原「日本語で書いていて、序盤のみ編集者が英語で書いてくれているんですけど、基本的には日本語で書かれたものが、アメリカの出版社から出ているので、すごく不思議なご縁で」
小山「なぜ、そんな経緯に?」
菅原「当時、バンド活動をしていまして。ジャズのバンドで詩を読む、みたいなことをやっていたんですね。その時にお客さんでいらしてくださったのが、アメリカの出版社の日本の支局にいらっしゃる方で。『書いてきたものが溜まったなら、うちから出してみない?』ということでお声がけいただいて。自分としてもちょっと予想外だったというか、当時、そんなに本にするつもりはなかったのですが、偶然の出会いからあれよあれよといつの間にか、音楽ではなく詩を書く方向に来たという感じですね」
小山「『季節を脱いで ふたりは潜る』という詩集を見ると、まず言葉のレイアウト自体が作品みたいな感じじゃないですか。縦書きがあるかと思うと横書きがあったりとか。これも菅原さんが考えるんですか?」
菅原「そうですね、基本的にはデザイナーと相談しながらの部分は大きいのですが、詩を書く人が他の書き手と違う部分は、ページのインクの部分だけが詩ではなくて、全体として考えているので。小説であれば、情報的な感じで入れられると思うのですが、詩の場合は余白をどう取るかとか、デザインの遊びのようなものとか、絵的な部分での楽しみを考えているかもしれないですね」
小山「言葉という絵の具で、作品を作っていくような印象がありますね。紙質も違いますよね」
菅原「季節をテーマにしていたので、移ろいとともに多少なり、手触りが変わっていくといいなと思って。編集者の方、デザイナーの方と膝を突き合わせていろいろ案を出し合って。部活みたいな感じで作らせてもらったので、大変だったとは思うのですが、感謝ばかりですね」
小山「この詩集、読者特典が“電話朗読”なんですね? これは何ですか?」
菅原「巻末に袋とじが付いていまして。袋とじをはさみを入れて破いていただくと、私の電話番号が書いてあるんです」
宇賀「ええっ! そんなことあります?(笑)」
菅原「ちょうどコロナ禍の真っ只中に出した本だったので、普段であれば本を出した後に朗読会を行なって詩を読んできたのですが、シンプルなかたちで声で朗読を伝える方法って何かな、というのを考えた時に、電話がいいんじゃなかろうか、と」
小山「新しいですね!」
放送では、詩集『季節を脱いで ふたりは潜る』から、菅原さんに「パキラ」という詩を朗読していただきました。
小山「菅原さんはラジオがすごくお好きだそうですね」
菅原「ラジオが好きで、この番組も心地よくお二人の掛け合いを聞かせていただいています。何だかちょっと懐かしさもあったり、でもどこか、新しいところもあったりして。特に、手紙ということに関して言うと、詩を書く行為とすごく近しいものだなと思っていて。自分も詩を書く時に、宛先のない手紙を書いているような感覚にどこかなっていて。ちょっとボトルメールに近いのかもしれないんですけど。いつ、どこにたどり着くのかわからないんですけど、時々やっぱり、ふいに『受け取ったよ』という声を聞くことがあって。そんな時には、『手紙を書いていたのかな』というような思いもするので。この番組のコンセプトにすごくポエジーを感じるというか。楽しく聞かせていただいています」
宇賀「嬉しいですね。あと、ちゃんとやらなきゃって(笑)」
小山「背筋が伸びましたね」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしていますけど、菅原さんは普段、お手紙は書かれたりしますか?」
菅原「旅先からはがきを出すことが多いんですけども。新しい街に着いたら郵便局に行って、その国のはがきを買って、切手を選んでそこから出すことが多いですね」
宇賀「これまで書いたり、受け取ったりした中で印象に残っているお手紙はありますか?」
菅原「私は高校時代に親元を離れて寮生活をしていたのですが、その時に初めて両親、姉から手紙をもらったんです。その時、普段は面と向かって話し合えないこととか、やっぱり直接は話せないようなことも、言葉にして初めて受け取ったんですね。その手紙はやっぱり本当にすごく、心の深いところに大切に仕舞ってあるので、手紙ならではの体験だったんだろうなと今も感じています」
宇賀「今日は、『いま手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いていただいているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
菅原「私の好きなアメリカの詩人で、チャールズ・ブコウスキーという詩人がいるのですが、彼に宛てて手紙をしたためてきました」
菅原さんの書いたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(6月5日まで聴取可能)。
宇賀「『ちょっと詩を書いてみたいな』と思っている方は結構いると思うんですよ。その場合、何から始めたらいいというか、ポイントとかありますか?」
菅原「意外とおすすめなのは、筆記具を変えてみるということで。ノートと新しいペンを用意して、先にキャンバスを用意してあげることで、いつもと違うチャンネルで言葉を書けたりすることもあって。あとは物理的にペンのなめらかな滑りによって、次の言葉が生まれるみたいなことは、時々あるなと思っているので。ちょっと筆記具に頼ってみたり」
小山「僕はすぐにノートを買いに行きます! 菅原さんは、作品は手書きですか?」
菅原「手書きが多いですね。鉛筆とノートで走り書きみたいなものを最終的にまとめるのはPCを使うんですけど。薫堂さんは?」
小山「僕はPCが多いですけど、でも、手書きとPCの時は違う気がするんですよね。手書きの方が、自分の内側から出てくるものがそのまま溢れ出る感じで。PCは自分が打ったものを客観的に読むので。どこか人の目を気にしながら言葉が紡がれていく感じがします」
宇賀「それぞれ使い分けていらっしゃるんですね」
小山「でも、ノートは買おうと思います(笑)」
宇賀「それを踏まえて、詩を書いて菅原さんに送ってくださった方の中から、抽選で30名様に、なんと菅原さんの直筆の詩が書かれたはがきの返信がある、と。いいんですか?」
菅原「私の詩でよければ書きたいなと思うので」
宇賀「すごいことですよ」
小山「これは、菅原さんが(送られてきた)詩を読んで、返すにはこれかな、という感じで詩を送られるんですか?」
菅原「そうしましょう。楽しそうですね」
宇賀「往復書簡みたいですね! 今日の放送を聞いて、菅原さんへお手紙を書きたい、と思った方もいらっしゃると思います。ぜひ番組にお寄せください。責任をもって本人にお渡しさせていただきます。【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 菅原敏さん宛】にお願いします」
詩を書いていただいた方も、同じく【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】宛にお願いします。
菅原敏さん、ありがとうございました!
『季節を脱いで ふたりは潜る(雷鳥社)』
小山「デビュー作は英語だったんですか?」
菅原「日本語で書いていて、序盤のみ編集者が英語で書いてくれているんですけど、基本的には日本語で書かれたものが、アメリカの出版社から出ているので、すごく不思議なご縁で」
小山「なぜ、そんな経緯に?」
菅原「当時、バンド活動をしていまして。ジャズのバンドで詩を読む、みたいなことをやっていたんですね。その時にお客さんでいらしてくださったのが、アメリカの出版社の日本の支局にいらっしゃる方で。『書いてきたものが溜まったなら、うちから出してみない?』ということでお声がけいただいて。自分としてもちょっと予想外だったというか、当時、そんなに本にするつもりはなかったのですが、偶然の出会いからあれよあれよといつの間にか、音楽ではなく詩を書く方向に来たという感じですね」
小山「『季節を脱いで ふたりは潜る』という詩集を見ると、まず言葉のレイアウト自体が作品みたいな感じじゃないですか。縦書きがあるかと思うと横書きがあったりとか。これも菅原さんが考えるんですか?」
菅原「そうですね、基本的にはデザイナーと相談しながらの部分は大きいのですが、詩を書く人が他の書き手と違う部分は、ページのインクの部分だけが詩ではなくて、全体として考えているので。小説であれば、情報的な感じで入れられると思うのですが、詩の場合は余白をどう取るかとか、デザインの遊びのようなものとか、絵的な部分での楽しみを考えているかもしれないですね」
小山「言葉という絵の具で、作品を作っていくような印象がありますね。紙質も違いますよね」
菅原「季節をテーマにしていたので、移ろいとともに多少なり、手触りが変わっていくといいなと思って。編集者の方、デザイナーの方と膝を突き合わせていろいろ案を出し合って。部活みたいな感じで作らせてもらったので、大変だったとは思うのですが、感謝ばかりですね」
小山「この詩集、読者特典が“電話朗読”なんですね? これは何ですか?」
菅原「巻末に袋とじが付いていまして。袋とじをはさみを入れて破いていただくと、私の電話番号が書いてあるんです」
宇賀「ええっ! そんなことあります?(笑)」
菅原「ちょうどコロナ禍の真っ只中に出した本だったので、普段であれば本を出した後に朗読会を行なって詩を読んできたのですが、シンプルなかたちで声で朗読を伝える方法って何かな、というのを考えた時に、電話がいいんじゃなかろうか、と」
小山「新しいですね!」
放送では、詩集『季節を脱いで ふたりは潜る』から、菅原さんに「パキラ」という詩を朗読していただきました。
小山「菅原さんはラジオがすごくお好きだそうですね」
菅原「ラジオが好きで、この番組も心地よくお二人の掛け合いを聞かせていただいています。何だかちょっと懐かしさもあったり、でもどこか、新しいところもあったりして。特に、手紙ということに関して言うと、詩を書く行為とすごく近しいものだなと思っていて。自分も詩を書く時に、宛先のない手紙を書いているような感覚にどこかなっていて。ちょっとボトルメールに近いのかもしれないんですけど。いつ、どこにたどり着くのかわからないんですけど、時々やっぱり、ふいに『受け取ったよ』という声を聞くことがあって。そんな時には、『手紙を書いていたのかな』というような思いもするので。この番組のコンセプトにすごくポエジーを感じるというか。楽しく聞かせていただいています」
宇賀「嬉しいですね。あと、ちゃんとやらなきゃって(笑)」
小山「背筋が伸びましたね」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしていますけど、菅原さんは普段、お手紙は書かれたりしますか?」
菅原「旅先からはがきを出すことが多いんですけども。新しい街に着いたら郵便局に行って、その国のはがきを買って、切手を選んでそこから出すことが多いですね」
宇賀「これまで書いたり、受け取ったりした中で印象に残っているお手紙はありますか?」
菅原「私は高校時代に親元を離れて寮生活をしていたのですが、その時に初めて両親、姉から手紙をもらったんです。その時、普段は面と向かって話し合えないこととか、やっぱり直接は話せないようなことも、言葉にして初めて受け取ったんですね。その手紙はやっぱり本当にすごく、心の深いところに大切に仕舞ってあるので、手紙ならではの体験だったんだろうなと今も感じています」
宇賀「今日は、『いま手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いていただいているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
菅原「私の好きなアメリカの詩人で、チャールズ・ブコウスキーという詩人がいるのですが、彼に宛てて手紙をしたためてきました」
菅原さんの書いたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(6月5日まで聴取可能)。
宇賀「『ちょっと詩を書いてみたいな』と思っている方は結構いると思うんですよ。その場合、何から始めたらいいというか、ポイントとかありますか?」
菅原「意外とおすすめなのは、筆記具を変えてみるということで。ノートと新しいペンを用意して、先にキャンバスを用意してあげることで、いつもと違うチャンネルで言葉を書けたりすることもあって。あとは物理的にペンのなめらかな滑りによって、次の言葉が生まれるみたいなことは、時々あるなと思っているので。ちょっと筆記具に頼ってみたり」
小山「僕はすぐにノートを買いに行きます! 菅原さんは、作品は手書きですか?」
菅原「手書きが多いですね。鉛筆とノートで走り書きみたいなものを最終的にまとめるのはPCを使うんですけど。薫堂さんは?」
小山「僕はPCが多いですけど、でも、手書きとPCの時は違う気がするんですよね。手書きの方が、自分の内側から出てくるものがそのまま溢れ出る感じで。PCは自分が打ったものを客観的に読むので。どこか人の目を気にしながら言葉が紡がれていく感じがします」
宇賀「それぞれ使い分けていらっしゃるんですね」
小山「でも、ノートは買おうと思います(笑)」
宇賀「それを踏まえて、詩を書いて菅原さんに送ってくださった方の中から、抽選で30名様に、なんと菅原さんの直筆の詩が書かれたはがきの返信がある、と。いいんですか?」
菅原「私の詩でよければ書きたいなと思うので」
宇賀「すごいことですよ」
小山「これは、菅原さんが(送られてきた)詩を読んで、返すにはこれかな、という感じで詩を送られるんですか?」
菅原「そうしましょう。楽しそうですね」
宇賀「往復書簡みたいですね! 今日の放送を聞いて、菅原さんへお手紙を書きたい、と思った方もいらっしゃると思います。ぜひ番組にお寄せください。責任をもって本人にお渡しさせていただきます。【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 菅原敏さん宛】にお願いします」
詩を書いていただいた方も、同じく【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】宛にお願いします。
菅原敏さん、ありがとうございました!
『季節を脱いで ふたりは潜る(雷鳥社)』
#手紙にしよう
様々なポストカードを無料でダウンロードできる「#手紙にしよう」では、今月から、発売される切手に合わせたポストカードが登場する新しい企画がスタートしています。第1回は、6月1日(水)発売の「夏のグリーティング」切手に合わせて、イラストレーターの小池アミイゴさんがポストカードを10種類作ってくださいました。「夏のグリーティング切手」を手がけた切手デザイナー貝淵さんと、アミイゴさんの対談も掲載されています。「&Post」のサイトでぜひご覧ください。「&POST #手紙にしよう」
また、切手の発売を記念した記念押印と、貝淵さんとアミイゴさんのサインが入ったカードを抽選で5名の方にプレゼントします。ご応募は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POSTアミイゴさんはがきプレゼント係】までお願いします。当選は、カードの発送をもって代えさせていただきます。
ポストカーが東京蚤の市に登場!
6月3日(金)よりおよそ2年半ぶりに開催される「第17回東京蚤の市」に、移動型郵便局「ポストカー」が登場します。日本各地から古道具、古着、雑貨など、200組以上のお店や、作り手の方々が集結。物々交換の本棚、プレゼント付きスタンプラリー、音楽ライブなど、1日中楽しめる企画が盛り沢山です。会場のメインビジュアルは、イラストレーターのオカタオカさんによる作品。ポストカーでも、オカタオカさんオリジナルデザインのカードでお手紙を書けるそうです。
日程は、6月3日(金)から、5日(日)までの3日間。場所は、東京都立川市 国営昭和記念公園です。ポストカー自体は無料ですが、東京蚤の市は入場料がかかります。詳細は、東京蚤の市のサイトでご確認ください。
「東京蚤の市」
今週の後クレ
今回のメッセージは、東京都〈中野郵便局〉宮崎麻衣さんでした!「入社して初めて配属された郵便局は、都心の高層ビルの中にありました。毎日、そのビルに入居されている企業の方々に、たくさんの郵便物を窓口でお渡しする業務をしていたのですが、その頃は新人で失敗も多く、落ち込んでいるとその企業の社員の皆さまが『誰だって最初は失敗するものだから頑張ってね!元気だしてね!』といつも励ましてくださいました。まるで自分の後輩のように私のことを見守ってくださって、そのお言葉やその方々のおかげで新人時代は頑張れたな、という思い出があります。」
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