コーヒーの達人 大坊勝次さんが登場
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- 2022/09/25
大坊勝次さんをお迎えして


小山「現在は、75歳で?」
大坊「74歳です」

大坊「どうしてでしょう? どうしてこんなことになったんだろう、という気がします。自分は閉店する時に、何もしないという選択肢もあったわけです。どちらかというとそっちの方に傾いていたんですけども、いろんな人が『声がかかったら受けろ』と言うんです。それももっともだな、と思ったんです。何もしないというのは、嫌でも来ることですから。だったらそういうものには応えるのがいいんじゃないかと。応えているうちに何となく続いている」
宇賀「そもそもコーヒーに興味を持ったのはいつ頃だったんですか?」
大坊「高校生の頃に友達と、格好良く言うと文学談義をするためにコーヒー店のはしごなんかをしていたわけですね。それがすごく楽しくて。喫茶店のはしごをしていたんです。高校生ですから、将来のことも考えなければいけないような時に、喫茶店で生活費を稼いで、あとは自分の好きなことができるのであれば……というようなことを漠然と考えたんです。それがまあ、コーヒーとかコーヒー店に興味を持った最初かもしれませんね」
小山「最初に27歳でお店を開かれた時は、もう自家焙煎だったんですか?」
大坊「そうです」
小山「やってみると、実際にファンの方がたくさんいらっしゃった?」

小山「それから38年間、年中無休だったんですね」
大坊「ええ。自分は別に財産があるわけじゃないし、コーヒー屋で失敗するわけにはいかなかったんです。ですから、休む日なんか持とうなんて気持ちはさらさらありませんでした。必死だったんです」
宇賀「休みたいとか、今日はちょっと体調が悪い、みたいなことはなかったんですか?」
大坊「1年間はまったく休まずにやりました。1年経って、ご褒美に休みをもらったんですよ。水上温泉だったかな、1人で行ったんです。ところが店が気になって、気になって、ゆっくり休めない感じがして。でもせっかく来た以上、しょうがないから1泊して帰りましたけど。早く店に行かなきゃ、という。でも年中無休と言っても、抽出は従業員なりうちのやつなり、誰でもできるものだと思っていますので、店を抜けることはできたんです。日曜日と土曜日の2日休みにできたのは20年後くらいですけども」
小山「店は常に開いていて、大坊さんが店に出ない日が時々あったと」
大坊「そうですね」
宇賀「これが今までで最高の1杯だ、みたいに自分で思えたことってあるんですか?」

宇賀「粗がないということはない、ということですね」
小山「人に出すためでなくとも、ああ失敗したと落ち込むこともあるんですか?」

小山「でも、そうはおっしゃいますけど、今の話を聞いているだけで飲みたくなりませんか?」
宇賀「そこが素晴らしいですよね。だから美味しいと通われた方がいて、伝説になっているわけですもんね」



薫堂さん、宇賀さんも興味津々……コーヒーを淹れる様子を“音”でお届けしているので、ぜひ、radikoでもお聞きください(10月2日まで聴取可能)。


宇賀「……すごい! 私、こんなに深いコーヒー飲んだことないと思います」
小山「深いんですけど、サラッとしている感じがありますね」

宇賀「深いのに甘いっていうのが不思議だったんですよ。こんなに濃いのに、という」
大坊「そこの谷間が、酸味が消えてから苦味が出るのであればいいんですよ。こう噛み合っているわけですよ。ですから酸味と苦味が同居しながら、片っぽは消えて行きつつ、片っぽは生まれつつ」
小山「これはコーヒー道ですね」
大坊「コーヒーに詳しい人たちというか、コーヒー業界といいますか、否定される焼き方なんです」
小山「そうなんですか」

小山「大坊さんの味になっているんですね」

宇賀「感動しています。ずっと口の中に残っていて。今日は何も口に入れたくないな、という感じになっています」
大坊「繰り返しますが、これが正しいコーヒーかどうかはわかりませんよ。美味しいもまずいも、決めるのは作る人ではなく飲む人ですから。飲んだ人が美味しいと思うかどうかですから。自分がいくら美味しいと言って出しても、それは関係のないことですから」

大坊「お亡くなりになった方に宛てた手紙です」
今回は宇賀さんが大坊さんのお手紙を朗読しました。こちらもぜひ、radikoでお聞きください。

大坊「御茶ノ水のトライというギャラリーで、1日コーヒー店を時々やっています」
宇賀「今日の放送を聞いて、大坊さんへお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。ご本人に責任をもってお渡しいたします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST大坊勝次さん 宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」

皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ

「私は静岡県静岡市の出身で、現在26歳になるのですが、一度も静岡を出たことがありません。それくらい地元が大好きで、根付いて働いております。また、私はバイクを運転することがとても大好きで、毎日バイクに乗って仕事ができているということに対し、やりがいや楽しさを感じて、日々楽しく仕事をしています。中でも、配達先のお茶屋さんの方が、配達に行くと美味しいお茶を出してくださり、すごく嬉しかったことが思い出です。みなさんにも飲んでほしいなと思うくらい、美味しいお茶でした。」
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