バースセラピストの志村季世恵さんが登場
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- 2024/09/01
バースセラピスト 志村季世恵さんをお迎えして


小山「やっぱり増えましたし、死を扱うような職業の方からお手紙をいただいたりとか、あれがきっかけで納棺師の仕事に誇りを持ちました、と言っていただいたりすることはよくありますね」
宇賀「今回は、そんな生と死に寄り添ったお仕事をされている、バースセラピストの志村季世恵さんをお迎えしました。よろしくお願いします」
小山「バースセラピスト。我々、はじめて聞いたんですけども、これは志村さんが作られた言葉なんですか? それともこういう職業があるんですか?」
志村「私が作った造語です」
小山「どういうことをされるお仕事なんですか?」

小山「あえて“バース”、生み出すという方をサポートするようなお仕事。いまはボランティアでやられているということなんですか?」
志村「そうですね、ファイナルケアに関してはボランティアをさせていただいています」
宇賀「どういうきっかけでそういったことをするようになったんですか?」


小山「お声がすごく優しさに包まれるみたいな感じですよね。そういう中で、樹木希林さんの最期にも寄り添われたんですか?」
志村「はい、14年間くらいだったかな? その前からお嬢さんの内田也哉子さんとお友達で、ご一緒の時間が長かったんですけど。お家によくおじゃましていたので、お母さんである希林さんともよくお話をしていたんです」

志村「きっと前からご存じだったんでしょうけれども、再発をなさって覚悟を決めたという時に、突然、食事に誘われて。ごはんを食べながらそんな話が出たんです」
小山「なんておっしゃったんですか?」
志村「最後まで樹木希林でいることを……その時は本名でしたね。最後まで内田啓子でいることを応援してほしい、ということを言われました」
小山「志村さんはなんてお答えになったんですか?」

小山「何年前のお話なんですか?」
志村「もう20年くらいになるのかな」
小山「希林さんに寄り添われて、印象深かったこととか思い出はありますか?」

小山「枯れるってどういうことなんですか?」
志村「襖絵のところの枯れ蓮の下の方に、若い芽が出たりとかしていて。それは植物がみんなそうなんですよね。次の人たちに向けて準備をしているとか、そんな話をしていて。自分はどんなことを次の世代の人にできるのかなと考えているんだと、よくおっしゃっていました」
小山「それはまさにバースですね」
志村「そうなんです」
小山「次の人たちをどう生み出そうか、ということですよね。その時は、希林さんはまだいろいろな仕事をされていたわけですよね、俳優として。その役を演じている時の心情って、役ごとにどんな感じだったんですかね。嫌な役もあったりしたんじゃないですか」
志村「後半はご自分の好きなものを、もともとそうだった気がしますけど、お選びになっていましたよね。なので、自分の気持ちを乗せることがあったのではないかなと思っているんですけども。モノマネもよくなさっていました。養老孟司さんとか、上手だったな」

志村「そうなんです」
小山「暗闇の中で、視覚障害者の方の案内をもとにいろいろな体験をするワークショップみたいなものですよね。きっかけは何だったんですか?」
志村「ソーシャル・エンターテインメントと言われているんですけど、ドイツで始まったんですね。その新聞記事が日本に出て、それを見た人が……いまの私の夫なんですけれども、『日本でやった方がいいと思う』と。ヨーロッパではかたちのないものが評価されていて必要とされているんだ、と。『これは季世恵さんに向いているんじゃないか?』と、まんまと引き寄せられてですね、そこでスタートしたんです」
小山「ダイアログ・イン・ザ・ダークっていろんなところで開催されていますが、その始まりが志村さんとご主人だったんですか?」
志村「そうなんです」
小山「いつ頃ですか? 結構前ですか?」
志村「始まったのは1999年からで、今年で25年ですね」
宇賀「どんな体験ができるんですか?」

小山「狭い部屋の中でやっているイメージがあったんですけど、そんなことはないんですね」
志村「広いんです」
宇賀「ブランコがあって電車があって、そんなに大きいと思わなかった」
志村「森もありますし、林もあるし、お家も」

志村「東京は2箇所ございまして、竹芝というところと、神宮外苑で開催しています」
小山「いつでも行けるんですか?」
志村「月曜日が休館なんですけど、ほぼほぼ毎日やっています」

小山「行きたいですね! ラジオのリポートには向いていますよね」

宇賀「確かに、いい勉強になるかも。視覚を使わずに伝えるのは」

志村「最近なんですけど、目が見えない人から手紙をもらったんです。その人は点字を使うんですね。でも、私が点字を読めないということを知っていて、書く文字で綴ってくださっていて。自分で文字は書けても、どこに書いているかわからないんですよね。重なっているんです、文字が。1行2行、3行と重なっていて、それを読んでいるうちに、私に対する感謝の言葉とか『ありがとう』とか、『ここにいれてよかった』とかいろんなことが綴られていて。重なって文字が読みにくい分だけ、それが深く感じられて、泣きながら読んで。いまも泣いちゃいそうなんですけど。ちょうど実家に帰るのでダイアログの仲間としての卒業の時の手紙だったんです。いまでも宝物にしています」
宇賀「そして今日は『いま、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
志村「名前を存じ上げない方なんですけれども……読んでもいいですか?」

宇賀「今日の放送を聞いて、志村さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 志村季世恵さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」Webサイト

皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ

「世界遺産にも登録されている中尊寺金色堂は、今年、建立から900年を迎えました。秋には紅葉のライトアップもしているので、是非遊びに来ていただきたいと思います。子どもに将来の夢を聞くと、『プロ野球選手』や『サッカー選手』、今だと『Youtuber』、または『公務員』という答えが多く返ってきます。その中で、『郵便屋さんになりたい』という声はあまり聞きません。自分たちが仕事をしている姿を見て、子供たちに『将来は郵便屋さんになりたい』と思ってもらいたい。そんな想いで働いています。」
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