「おいしい」って何だろう? 村田吉弘さんが登場!
- 2024/11/03
「菊乃井」三代目主人 村田吉弘さんをお迎えして
今回はスタジオに、京都の老舗料亭「菊乃井」の三代目主人 村田吉弘さんをお迎えしました。
宇賀「菊乃井さんと言えば、京都に2軒、東京の赤坂にも店舗を構える日本を代表する料亭。どの店舗もミシュランの星を獲得されています」
小山「村田さんは確か、フランス料理でしたよね、最初?」
村田「もう何とかして逃げたろと思って」
小山「三代目を継ぐのではなく?」
村田「継ぐのはもう重たいじゃないですか。自分にも他の道があるやろ思って、フランス料理やりたいなと。その頃食べるものは、ちょっと脂っ気があるものがおいしいと思いますし、日本料理は毎日見ていますから、もうええかと」
小山「ずっと家では日本料理に接していて、フランス料理の本場に行って厨房を覗いたり、シェフと触れ合ったりした時に『フランス料理すごい!』と思いました? それとも、『日本料理の方がすごいんじゃないか』と思いました?」
村田「僕らがフランス料理やと思っていたものは、フランス料理ではないということがわかったんですよ。エビフライもなければハンバーグもないですし、オムライスもないんですよ。メニューの見方さえわからないんですよ。その頃は毎日、リュクサンブール公園という公園を抜けて、ソルボンヌ(大学)へ学食を食べに行っていたんです」
小山「ソルボンヌへ通っていたわけではなく?」
村田「学食へ通っていただけで(笑)。ちゃんと勉強している奴もいましたよ。そいつを仲介してフランス人と喋るわけです。『日本料理なんて蕎麦や寿司ばかりで、ちゃんと食べないと栄養失調になるぞ。ちゃんとフランス料理を勉強して帰った方が、自国のためになる』と。なんかむかついてね、『何言うてんねん、日本料理にはものすごくたくさんの種類があって、文化的クオリティにおいてはフランス料理に負けへん』と一生懸命言うてたんですよ……何しに来たん? と(笑)。フランス料理を勉強しに来たのに、日本料理の肩持って一生懸命喋ってんな、という自分がいるのがわかった。
日本料理って誰も知らんのですよ、フランスではまだ。文化的クオリティでは決して負けてへんなと思って、これを世界の料理にするのがライフワークやと思って。20歳の青年ですよ」
小山「それは何年くらいですか?」
村田「1970年頃。それからずっと、51年間同じことをやっているんですよ」
宇賀「村田さん、先日、本を出版されました。集英社から『ほんまに「おいしい」って何やろ?』。気になるタイトルですけど……」
小山「村田さんの厳しいお言葉がありますね。『最近のタレントはすぐにおいしいと言ういけどわかっていない』とか」
宇賀「やっぱりね、一口で『おいしい』と言うのもどうかなと思っていたんですけど……村田さん、ズバリ『おいしい』ってなんですか?」
村田「難しいんですね。何でもかんでもおいしいって言いますから。テレビを見てたらそういう番組ばっかりじゃないですか。そんなに何でもかんでもうまいか、と。ほんまにおいしいって何やろうなあと考え出すと、おいしいにもレベルがあって。ほんまにおいしい時は涙は出るけども、声は出ないとかね。心に訴えかけられるような、死んだおばあちゃんが作ってくれた煮付けを食べた時に、料亭で食べるほど味のバランスが整っていたり旨みがあったりするのではないけども、おいしいなって思う。非常においしいという味覚は、ええ加減な感覚ですから。いろんなもんに左右される。ほんまにおいしいと思った時は、どういう時にどういうシチュエーションでどうなるんかな、というのは僕の中でありますね。カロリーが摂取できて、味のバランスが整っていればなんでもおいしいのか。そんなことはないやろと思って」
小山「最近、一部の料理屋さんがものすごく値段が高くなったじゃないですか」
村田「料理屋というのは料理を提供するのが仕事ですけども、おおやけの人に対しての公共性がなかったら駄目になると思ってるんです。誰のために自分がやってんのか。自分のために料理作るんやったら、別に画家が好きな絵を描いて、死んでから評価されたっていうのもありますから。それはええんですけど。お金をとってやるんやったら、誰のために誰を幸せにするのかということをポリシーとして持つべきですよね。お金さえ儲かったらええんやというなら、料理屋なんかやめた方がいい」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、今日は『いま、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
村田「日本の海のあなたへ」
小山「海に宛てた手紙ではないんですか?」
村田「海に宛てた手紙です」
村田さんから、日本の海のあなたへ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(11月10日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、村田吉弘さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 村田吉弘さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
村田吉弘さん、ありがとうございました!
村田さんの新刊『ほんまに「おいしい」って何やろ?』も、ぜひお手に取ってみてください。
『ほんまに「おいしい」って何やろ?(集英社)』
小山「村田さんは確か、フランス料理でしたよね、最初?」
村田「もう何とかして逃げたろと思って」
小山「三代目を継ぐのではなく?」
村田「継ぐのはもう重たいじゃないですか。自分にも他の道があるやろ思って、フランス料理やりたいなと。その頃食べるものは、ちょっと脂っ気があるものがおいしいと思いますし、日本料理は毎日見ていますから、もうええかと」
小山「ずっと家では日本料理に接していて、フランス料理の本場に行って厨房を覗いたり、シェフと触れ合ったりした時に『フランス料理すごい!』と思いました? それとも、『日本料理の方がすごいんじゃないか』と思いました?」
村田「僕らがフランス料理やと思っていたものは、フランス料理ではないということがわかったんですよ。エビフライもなければハンバーグもないですし、オムライスもないんですよ。メニューの見方さえわからないんですよ。その頃は毎日、リュクサンブール公園という公園を抜けて、ソルボンヌ(大学)へ学食を食べに行っていたんです」
小山「ソルボンヌへ通っていたわけではなく?」
村田「学食へ通っていただけで(笑)。ちゃんと勉強している奴もいましたよ。そいつを仲介してフランス人と喋るわけです。『日本料理なんて蕎麦や寿司ばかりで、ちゃんと食べないと栄養失調になるぞ。ちゃんとフランス料理を勉強して帰った方が、自国のためになる』と。なんかむかついてね、『何言うてんねん、日本料理にはものすごくたくさんの種類があって、文化的クオリティにおいてはフランス料理に負けへん』と一生懸命言うてたんですよ……何しに来たん? と(笑)。フランス料理を勉強しに来たのに、日本料理の肩持って一生懸命喋ってんな、という自分がいるのがわかった。
日本料理って誰も知らんのですよ、フランスではまだ。文化的クオリティでは決して負けてへんなと思って、これを世界の料理にするのがライフワークやと思って。20歳の青年ですよ」
小山「それは何年くらいですか?」
村田「1970年頃。それからずっと、51年間同じことをやっているんですよ」
宇賀「村田さん、先日、本を出版されました。集英社から『ほんまに「おいしい」って何やろ?』。気になるタイトルですけど……」
小山「村田さんの厳しいお言葉がありますね。『最近のタレントはすぐにおいしいと言ういけどわかっていない』とか」
宇賀「やっぱりね、一口で『おいしい』と言うのもどうかなと思っていたんですけど……村田さん、ズバリ『おいしい』ってなんですか?」
村田「難しいんですね。何でもかんでもおいしいって言いますから。テレビを見てたらそういう番組ばっかりじゃないですか。そんなに何でもかんでもうまいか、と。ほんまにおいしいって何やろうなあと考え出すと、おいしいにもレベルがあって。ほんまにおいしい時は涙は出るけども、声は出ないとかね。心に訴えかけられるような、死んだおばあちゃんが作ってくれた煮付けを食べた時に、料亭で食べるほど味のバランスが整っていたり旨みがあったりするのではないけども、おいしいなって思う。非常においしいという味覚は、ええ加減な感覚ですから。いろんなもんに左右される。ほんまにおいしいと思った時は、どういう時にどういうシチュエーションでどうなるんかな、というのは僕の中でありますね。カロリーが摂取できて、味のバランスが整っていればなんでもおいしいのか。そんなことはないやろと思って」
小山「最近、一部の料理屋さんがものすごく値段が高くなったじゃないですか」
村田「料理屋というのは料理を提供するのが仕事ですけども、おおやけの人に対しての公共性がなかったら駄目になると思ってるんです。誰のために自分がやってんのか。自分のために料理作るんやったら、別に画家が好きな絵を描いて、死んでから評価されたっていうのもありますから。それはええんですけど。お金をとってやるんやったら、誰のために誰を幸せにするのかということをポリシーとして持つべきですよね。お金さえ儲かったらええんやというなら、料理屋なんかやめた方がいい」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、今日は『いま、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
村田「日本の海のあなたへ」
小山「海に宛てた手紙ではないんですか?」
村田「海に宛てた手紙です」
村田さんから、日本の海のあなたへ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(11月10日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、村田吉弘さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 村田吉弘さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
村田吉弘さん、ありがとうございました!
村田さんの新刊『ほんまに「おいしい」って何やろ?』も、ぜひお手に取ってみてください。
『ほんまに「おいしい」って何やろ?(集英社)』
ポストカーが石川県金沢市におじゃまします!
11月16日(土)、17日(日)に石川県 金沢駅周辺で開催されるイベント【金沢から能登へエール】に、ポストカーが登場します。震災、豪雨の被害があった能登を応援するためのイベントです。「金沢駅西イベント会場」と「石川県立音楽堂」の2箇所で開催され、ポストカーは音楽堂の方に登場します。
時間は両日10時から午後3時までです。ポストカーでは、石川県の名所、名産品が描かれたオリジナルのポストカードでお手紙が書けます。イベントでは、能登の名産品が並ぶマルシェや、体を動かして元気を作るメキメキ体操コーナー、ぽすくまとの撮影会もあります。
ポストカーには投函口が3つあります。1つ目は「誰かへの手紙」、2つ目は「自分への手紙」、3つ目はイベントごとに「宛名のない手紙」だったり「サンポス」や「ぽすくま」への手紙を受け取っていたのですが、今回は能登の皆さんへの応援のお手紙を差し出せる投函口になります。
もちろん、能登宛以外のお手紙も書けます。また、金沢中央郵便局の、兼六園「ことじ灯籠」などがデザインされた風景印が押印されます。
観光シーズン真っ盛りの石川県にお越しの際は、ぜひイベント【金沢から能登へエール】にお立ち寄りください!
年賀状にまつわるエピソードを募集します
現在番組では、「年賀状があったおかげで、久しぶりに集まることができた!」など、皆さんの年賀状にまつわるエピソードを募集しています。他にも「こんな年賀はがきがあったら面白い!」「お年玉くじの景品はこんなものが欲しい」などなど、年賀状の「これから」について考えて送ってください。ご応募いただいた方には、抽選でプレゼントの用意もあります。宛先は【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】。しめきりは、11月14日(木)必着です。
こちらは番組ホームページからもご応募いただけます。たくさんのご応募、お待ちしています。
ご応募はこちらから
公開収録が決定しました!
今年も、大分県での番組公開収録が決定しました!11月30日(土)午後3時から、別府市にあるトキハ別府店ブルーテラスにて行われます(オープンスペースです)。
現在、番組の中で、お手紙を読んでくださる方を募集しています。詳しくはFM大分のホームーページをご覧ください。
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
今回のメッセージは、石川県〈穴水郵便局〉前勝也さんでした!「僕は穴水郵便局に所属しているのですが、今回の地震があり、金沢市の方に避難しています。被災後、やっぱり街並みも全然違うし、家は潰れているし、仕事をする気持ちになれませんでした。避難先で、自分と同じ珠洲市出身の方と出会い、『あんた見ん顔やね。』と言われて、僕が珠洲市出身であることを伝えたところ、『私も珠洲やって。大変やったね。』と言われました。『まだ金沢に来て数日なので、またお願いします』とご挨拶したところ、『なんか安心したわ。頑張って配ってくれとってありがとう』という言葉をいただきました。自分の中で嬉しい出来事でした。」
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
全国の皆さんからのお便りや番組で取り上げてほしい場所
を教えてください。
〒102-8080 東京都千代田区麹町1−7
SUNDAY'S POST宛