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「ITの浸透により、人々の生活をより良い方向に向かわせる」
そんな概念である“デジタルトランスフォーメーション”と
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日々ポジティブに変化しています。
このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
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2021 06.28
様々な業界で導入が進むダイナミックプライシング

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このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介していきます。
今日は、様々な業界に広がるダイナミックプライシングについてご紹介しました。

先日、タクシー業界での導入がニュースになっていましたが、最近、「ダイナミックプライシング」という言葉、よく耳にするようになってきました。
商品やサービスの価格を需要と供給の状況に合わせて変動させる価格戦略のことなんですが、今、様々な業界でこのダイナミックプライシング導入の動きが活発化しています。
飛行機のチケットやホテルでは、すでに導入されていましたが、最近ではレンタカーや高速バスでも導入が進んでいます。
さらに、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのようなテーマパークやコンサートなど、様々な業界で導入されています。

そこで今回は、感染防止や働き方改革など、様々な社会課題の解消にも貢献している、
この「ダイナミックプライシング」について、ダイナミックプライシング事業を展開している
メトロエンジン株式会社の取締役COO 兼 チーフデータサイエンティストの小阪翔さんにお話を伺いました。

まずは、ダイナミックプライシングを事業者が導入するメリットについて伺いました。
「事業者にとっては売り上げの最大化が一番大きなものとしてあります。需要が高い時に値段を上げると、その分売り上げが上がる。
逆に需要が低いときには、値段を下げることによってよりたくさんの注文を取ったり、予約を獲得できたりできるようになる。
そういう意味でも売り上げの最大化、あとは顧客層の拡大というところがあります。
需要が低い時に固定価格と比べて安い価格を提供できるようになると、今まではその固定価格でサービスを受けられなかったり購入できなかった人にもサービスを提供できることになるので、そこでリピートしてもらったりとかいう顧客拡大っていうところもあります」

小阪さんによると、事業者や消費者だけでなく、社会的なメリットもあるんだそうです。
需要が高い時には、どうしても交通サービスやホテルの中、テーマパークの中など、人が集まりすぎてしまう問題がある。
そこにダイナミックプライシングを導入することで、混雑を緩和することができる。
つまり、コロナの時代では、密になるっていうことが健康的リスクにもなりうるので、そういう意味では社会的なメリットもあるとのことでした。

導入が最近進んでいる理由、その他にもこんな事情もあるようです。
「ダイナミックプライシングっていうのは本当にいろいろな要因を同時に複合的に考慮しながら、最終的に何円にすべきなのかという計算をしていきます。
季節要因というのは、夏なのか秋なのか、9月なのか10月なのかであったり、曜日要因では、土曜日なのか水曜日なのか、
あとは、周りにどういうイベントがあるのか、どういう天気なのか、様々な要因の上で、じゃあこの状況で、価格を何円にすべきなのかっていう計算をします。
AIっていうのは、いろいろやれることがありますが、最も得意とするタスクは多くの要因を複合的に考慮して一つのアウトプットを出すというところが一番得意なタスクなので、
ここはダイナミックプライシングにとってすごく重要な技術になっています」

さらに、「オンライン予約」の浸透も導入を後押ししているそうです。
「例えば、現地に行って窓口で看板に500円ですと書いてあり、そこで500円払って入場するようなシステムだと、
その500円を日々変えることは、お客さんにとってあまりユーザーフレンドリーではありません。
500円って看板に書かれているものを600円にしたり450円にしたり、変える手間も事業者側でかかりますし、
もう既に現地まで来て、これから入場しようとしているのに、思っているより高いとか、そういうのはちょっと受け入れられないんですよね。
一方で、オンライン予約っていうのはすごくメリットがあって、もう事前に値段を見た上で行くかどうかを決めてもらうということができるので、
ここでお客様の納得感を得た状態で予約したり、購入してもらったりすることができると思います」

冒頭でタクシー業界の話をしましたが、鉄道やタクシーなどの公共インフラのような交通サービスは、
法令で価格を変動させることができない規制があったんですが、コロナによる売り上げの減少や、密になりすぎる混雑緩和の必要性の高まりなどから、国交省主導で法令改正も進んでいるようです。
このようにダイナミックプライシングが進むことで、私たちの生活や働き方に、こんな影響も出てくるのではないかと、小阪さんはおっしゃっていました。   
「例えば、鉄道の運賃というものが変動制になってくると、通勤費は企業が負担しているケースが結構多いので、
混雑しやすい時間帯ではなくて、安くて混雑しにくい時間帯に通勤できるように、
よりそのフレックス制度っていうのを導入する企業が増えていくんだろうなということが一つ考えられます。
また、テーマパークや動物園など、そういうところでダイナミックプライシングが進んでいくと、
お盆とかゴールデンウィークなど、他の人が休むタイミングで休みを取るコストが高いんですね。
今でも飛行機とかホテルはそういうハイシーズンは高いんですけど、休みを少しずらして、
他の人が休まないようなタイミングで休めるようにすることが、社員側から企業に対して要望として強く出てくると事が考えられるので、
そうすると企業側もそういうニーズに対して応えられるように、休みを取りやすくするための体制を整えたり、
制度を整えたりするっていう流れは十分あるんじゃないかなと思っています」

ダイナミックプライシングは事業者側にも私たち消費者側にも、さらに社会的にもメリットがあるシステム。
鉄道などは多くの人が使う公共インフラなので、慎重に進めなければいけない部分もあると思いますが、どんどん導入が進むといいなと思いました。 

小阪さん、貴重なお話、ありがとうございました。

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