イメージ
イメージ
キヤノンマーケティングジャパン presents Solution in my life
カラー
カラー
カラー
Every Monday 8:38 〜8:48
Every Monday 8:38 〜8:48
「ITの浸透により、人々の生活をより良い方向に向かわせる」
そんな概念である“デジタルトランスフォーメーション”と
いう言葉が広がり、
私たちの暮らしは、より豊かに、より便利に、
日々ポジティブに変化しています。
このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
2024年度以降はこちら
2021 07.05
農村の生産者と都市の消費者をデジタルでつなぐ「産直アプリ」

null
このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介していきます。
今日は、農村の生産者と都市の消費者をデジタルでつなぐ「産直アプリ」の現状と未来についてご紹介しました。

新型コロナウイルスの感染拡大は様々な業界に影響を与えていますが、生産者と消費者を直接つなぐWEBプラットフォーム「産直EC」の市場は、コロナ禍で急伸しています。
そこで今回は、フードロスや第一次産業の人材不足などの社会問題の解決にも貢献している「産直EC」の現状と未来について、
国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ」を運営する株式会社ポケットマルシェ代表取締役・高橋博之さんにお話を伺いました。

ご存知の方も多いと思いますが、ポケットマルシェは、スマートフォンを通じて簡単に生鮮品を売ったり買ったりできるアプリなんですが、
コロナ前(去年2月)と比較して、ユーザ数は約6倍に、注文数はピーク時に約20倍となり、今年6月時点で利用者は約32万人に拡大しているそうなんです。

高橋さんによると、利用者が急増した理由は2点。
ひとつは、外出自粛によって自炊をする方が増加し、食材の取り寄せ需要が拡大したこと。
もうひとつは、飲食店の休業や休校等で販路が縮小した生産者への応援消費の動きが活発になったことだそうです。
さらに、高橋さんは、「応援消費」について、こんなお話をされていました。
「物があふれた時代なので、消費に意味を求め始めている。
物がない時代は、とにかく物を持ってること自体が価値になっていたが、これだけ物が溢れているので、自分が買うことに意味を求め始める。
その一つが、困っている生産者を自分が購入することで、困っている生産者の力になるというのは意味ではないか」

産直ECというと、スーパーで購入するより鮮度のいい食材を手に入れられるというメリットが頭に浮かびますが、高橋さんによると、他にも様々な効果があるそうです。
「やはり食卓の会話が変わるっていうんですよ。これ何々県の何とかさんって人がこういう風にとってきたものらしいよっていう話をすることで、
同じ食べ物でも、そのありがたみっていうか、理解と感謝が生まれるので、非常に楽しいっていう話をよく耳にします。
あと、捨てられなくなった人たちも多くて、フードロス、食品廃棄の問題もあるんですけど、作っている人の思いを知ると、捨てられなくなるのが人間だと思うんですよ。
もう一つは食育。今、子供たちに魚の絵を描かせると切り身の絵を描くなんて話も聞くんですけど、
それぐらい食べ物を作る世界から離れてしまっているので、その子たちが、例えばウナギを注文すると、生きたまま届くんですよ。
すると、「ママ、これ何するの?」「食べるのよ」「えー、かわいそう」っていう会話になるそうなんです。
なので、子供たちも自分たちが食べてるものは、生き物の命なんだってことを知ってもらう、そういう効果もあるのかなというふうに思ってます」

さらに、高橋さんによると、ポケットマルシェ(ポケマル)をやっていて、こんな発見もあったそうです。
「みんな、楽しいって言うんですよ。生産者もユーザーも。情緒的な価値っていうか、家族みたいに食べ物以外の会話をしている人たちが非常に多くて、
家族の話だとか仕事の悩みだとか。今、東京は無縁社会とか言われていますけど、そういう情緒的な関係性を育むのが非常に難しい時代になっているんですよね。
その中で、みんな、情緒的な関係性を求めているんだなっていうのも発見でした。

ポケットマルシェのサービスの特徴として、ただ食べものを売買するだけでなく、
生産者と消費者が生産の背景や食べた感想などについて直接やり取りできるところが挙げられますが、実は、そこがキーポイントなのかもしれませんね。
最後に、デジタル化が進む中、ECサイトはどう変わっていくのか?高橋さんに伺いました。
「産直ECとよく言われますが、僕は産直SNSという風に言っています。ただの物とお金の交換の場じゃなくて、食べ物を通じていろいろな関係性が育まれていく。
これって、まさにSNSですよね。生鮮版のフェイスブックとも言っていますが、普段食べる食べ物を通じて育まれる関係性ですし、
実際に子供を連れて収穫体験に行こうかって、故郷のない人たちが地方の農家に行き始めたりしているので、そういう意味で新しい社会のインフラかと。
よく自助共助公助と言いますが、自分一人で処理できる人はいいかもしれないけど、そういう人ばっかりじゃないし、しかも人間はひとりでは生きていけないんだから。
公助は財政が厳しい中、どんどん絞られていく時に、やはり共助なんですよ。
新しい共助をどう作っていくかという時に、じゃあ今、町内会はどうなんだというと、地域社会だけでやっていくのも難しいし。
そうすると、一つのテーマを軸にして、興味のある人が物理的な距離の壁を超えて緩く繋がっていく、
産直ECはそういうふうに産直SNSにしていきたいっていう願いが僕の中にある。それをみんな潜在的に求めているはずかなと」

デジタルによって、物理的な距離を超えて、直販のハードルを下げただけではなくて、単なる生産者と消費者を超えた関係性というか、繋がりやコミュニティが生まれてきているんですね。とても興味深いお話しでした。

高橋さん、貴重なお話、ありがとうございました。

ツイッター Facebook
Top