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このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
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2022 12.19
衛星データとドローンを組み合わせた農地パトロール調査

このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。

近年、農作物が育てられなくなった土地が長期間放置される「耕作放棄地問題」が深刻化していて、自治体では、その対策として耕作放棄地の調査、農地パトロール調査を行なっています。ただ、広大な農地の調査にはかなりの労力が必要とされていて、そこにドローンを導入して、負担を軽減していこうという自治体が増えています。

そこで今回は、アプリとドローンを組み合わせた耕作放棄地の調査を実施している広島県の尾道市農業委員会の事務局長、市川昌志さんにお話を伺いました。

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尾道市の農業委員会では、おととしから実験的にドローンの活用を始めたそうなんですが、導入にはこんな経緯があったそうです。

「耕作放棄地調査、農地利用状況調査ともいいますが、これについては農地法という法律の中で定められているもので、毎年この耕作放棄地を含めた農地の利用状況の調査を尾道市だけでなく、全国の農業委員会では実施しています。
この調査は、農業委員さんと農地利用最適化推進委員さんという委員さんが2名1組で農地の調査をしているわけですけれど、市内全部の農地を目視で確認するということを行っています。農地も平坦なところばっかりではなくて、例えば急傾斜や勾配のきついところとか、イノシシとか鹿とかそういった有害鳥獣を入らせないようにするために柵とかを設置している農地もあったりします。
そういうなかなか入りづらいような農地も見に行かないといけないということもあり、体力的な部分と怪我とか事故、そういった部分のリスクをなんとか回避したいということと、それを回避しながら、効率的に調査ができないかなということで、令和2年に、実験的にドローンを飛ばしてやってみようというのがはじまりでした」

なぜ放棄地が増えているのか、増えるとどんな問題があるのか「耕作放棄地問題」についても伺いました。

「耕作放棄地というのは、色々理由はあると思うんですけれど、高齢化だったり、担い手、跡継ぎがなかなかいないとか、イノシシとか猿とか鹿とか、そういう鳥獣害の害で、意欲をなくしてしまうとかいうことで耕作を諦めてしまうような農地がだんだん増えてきて、そういった耕作放棄地になっている状況があります。
農地自体は国民とか地域のためにある貴重な資源という考え方に基づいていまして、その農地は優良な状態で確保して、例えば稲作や野菜作り、果樹栽培など、そういったことに最大限利用されるようにしていかなくちゃいけないというのが農地なんですけれども、そういう目的がありつつも高齢化だったり、担い手がいないとかいうことで、だんだんだんだん作らなくなって、増えてきているということは、食料自給率も当然下がってきますし、地域としての活力といいますか、そういったものが失われていくというところで、非常に問題なのかなとは感じています」

尾道市の農業委員会では今、ドローンだけでなくアプリを組み合わせて耕作放棄地の調査を行なっています。
このアプリなんですが、サグリという会社が開発した農地状況把握アプリ「ACTABA(アクタバ)」というもので、人工衛生画像からAIが診断して、それぞれの農地の耕作放棄地率を検出。耕作放棄地率が80%ですよとか70%ですよと、地図上で色分けして表示してくれるアプリです。

具体的にはこんな活用の仕方をしているそうです。

「調査の仕方としては、ACTABAが耕作放棄地率、要は耕作放棄地の可能性が高いという判断をした農地がタブレット上に表示されるので、まずこのタブレットに表示された農地を農業委員さんたちは、調査に行くようになります。
これまでは大きな紙の地図を持って、1枚1枚農地を調査しておりましたが、このACTABAを活用することで、紙の地図を持っていかなくても、タブレットを1つ持っていくことで、その耕作放棄地率が高いと判断した農地だけを調査に行けるので、非常に効率的にできるのがまずACTABAの調査になります。
そこで、補完的に例えばタブレット持っていても谷間とか急傾斜地で非常に入りづらいとか調査しにくいような農地は補完的にドローンを飛ばして、タブレットでも見に行きづらい農地はドローンで補完的に見に行くというこの2つを組み合わせた調査をしているという感じですね」

導入後の効果ですが、これまで歩いて半日かけて調査していたエリアがドローンを飛ばすことでおよそ1時間程度で完了したりと、調査時間の短縮には非常に貢献しているとのことでした。また、今までだと調査委員が調査した紙の地図が戻ってくるまでは、その農地の状況が整理できなかったのが、このアクタバを使うことで、タブレット上にその調査結果がすぐに反映されるので、事務局での農地の整理もスピーディに行えるようになったそうです。

最後に今後の展開について伺いました。

「例えば令和3年度の調査結果と今年の調査結果という風に、過去の調査結果が、このACTABAで見ることができれば、昨年の状況と今年の状況を比較することができるので、例えば農地が遊休化、耕作放棄地化する前に農地の活用するための対策が早め早めに打てるようになるんじゃないかなと考えていますし、1年を通して、このACTABAを見ることができれば、ただその農地をそれぞれ見守るということができれば、農地の有効活用という部分では、活かせるのかなと考えています」

市川さん、貴重なお話、ありがとうございました。

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