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そんな概念である“デジタルトランスフォーメーション”と
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日々ポジティブに変化しています。
このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
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2022 12.26
城崎温泉が導入したウェブプラットフォーム「豊岡観光DX基盤」

このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。

リスナーの方もご存知の通り、全国の温泉地では宿泊施設の廃業が後を絶ちません。そんななか、「まち全体が一つの温泉旅館」がコンセプトの兵庫県豊岡市の城崎温泉では、今年から「豊岡観光DX基盤」というウェブプラットフォームを導入、城崎温泉一帯の収益力向上を目指しています。この豊岡観光DX基盤は、各宿泊施設の予約状況などのデータを自動収集して、地元の旅館やホテルが、個々の予約状況と全体の動向を比較できる仕組みで、効果的な集客戦略の立案につなげようというシステムなんです。

そこで今回は、この城崎温泉の取り組みについて城崎温泉の若手旅館経営者や豊岡市などと一緒に「豊岡観光DX推進協議会」を立ち上げた、一般社団法人豊岡観光イノベーションの一幡堅司さんにお話を伺いました。

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まずは、城崎温泉で導入した「豊岡観光DX基盤」とは、どういうプラットフォームなのか、どんなメリットがあるのでしょうか?

「豊岡市内にある、各温泉旅館、ホテル、民宿が持っているお客さんの予約データ、宿泊データというものが、1か所に集まってくるデータベースになります。
お宿全体のデータが集まってきて、エリア全体、観光地全体の稼働率ですとか、先々のお客さんの波というものが、これで一挙に把握ができますので、各温泉旅館の経営者にとっては、この日はエリア全体の稼働率が低いから、思い切って休みにしてしまおうとか、逆に稼働率が高いので、休館日予定だったけれども、営業してちょっと利益につなげようだとか、そういった判断に使うことができます。
仮に休館日となると、従業員の労務管理になりますし、お客さんがこれぐらいのシーズンによく来るというところがわかると、無駄なシフトとかもしなくて済みますので、労務管理に繋がりますし、ひいては経営改善にも繋がるかなと思っております」

具体的に、どういったデータを集めているのでしょうか?

「こちらは、個人情報以外の宿泊に関するデータほぼ全てといったところが答えになります。宿ごとの稼働率ですとか、1泊2食付き、朝食付き、素泊まりといった予約形態ですとか、あとはネット予約なのか、旅行代理店からの予約なのかといった予約経路の傾向も把握することができます。また、大阪からの方なのか、東京からの方なのかといった都道府県ごとに分けて、地域別の需要といったところも把握ができます。あとは、個人、団体といった比率も把握することができますので、宿ごとに売り分け、売り出し方のヒントにも繋がっていくというところになります」

ライバルの旅館に自分のところのデータが漏れるという心配がないのか…。

一幡さんによると、豊岡観光 DX 基盤のデータ共有に関しては、ある旅館が他の旅館の売り上げだったり稼働率だったり、お客さんの状態だったりを見ることはできないようになっているそうです。ただ、そうは言っても旅館のシステムに直接つないで、これらのデータを収集することになるので、最初は推進協議会の方でも結構な抵抗があるかなという風に思っていたそうです。
しかし、このようなデータプラットフォームが必要だよねという風に声が上がってきたのが豊岡市の行政や推進協議会などではなく、城崎温泉の経営者の人たちからだったことも一つ大きな要因だったこともあり、特に大きな抵抗はなかったそうです。

データの具体的な活用方法についても伺いました。

「このダッシュボードにつけた機能といたしまして、城崎温泉全体のエリアの傾向と自社の稼働率だとか、カレンダーで日ごとの稼働率を見ることができるんですけれども、それに加えて、旅館さんは任意の自分たちで選んだ宿泊施設を5施設程度選んで、それらの統計値とも比較をすることができます。なので、自分の宿と同じぐらいの価格帯の宿10軒と自分の宿の稼働率を比較することで、もう少しこの日は他の旅館が動いているので、うちの旅館もこの食事付きのプランを売ったら、もう少し高単化のプランの予約が入るんじゃないかという風な判断をして、販売改善や経営改善につなげることができるというような使い方をされています」

具体的には、こんな事例もあったそうです。

「夏休みの後半にまだちょっと空きがあるな、でも、このダッシュボードで見ると、同じような価格帯の旅館は高稼働で動いているので、素泊まりだとか、朝食付きだとかいったプランを一旦取り下げて、会食付きプラン、懐石付きプラン、但馬牛付きプランというものを販売してみてはどうかなという風なことをされた結果、結果的に予約が入ったので、安いプランではなくて、ちゃんと食事付きの価格に見合ったプランが、予約で動いたというところが結果としてあります。そういったアクションもありまして、その旅館さんとしては、昨年に比べて、平均客室単価(ADR)が、プラス30%で伸びたという風な事例を聞いております」

一幡さんによると、高齢のため手が回らないだとか、リテラシーが低い施設は、まだまだ参加しづらいといった現状があるそうで、今後は、城崎温泉の若手の経営者の方とタッグを組んで、データのカバー率を高めるために、勉強会や旅館同士のコミュニケーションを図るようなきっかけを作ったりして、より多くの事業者、旅館の方々を巻き込んでいきたいとのことでした。

一幡さん、貴重なお話、ありがとうございました。

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