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このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
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2023 06.19
長野県松本市の電力データを活用したフレイル予防

このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。

フレイルとは、年齢を重ねることで様々な身体機能が徐々に低下していき、介護が必要な状態になりますが、その介護が必要になる一歩手前の状態のことを言います。
また、このフレイルには健康に戻れるという特徴があって、適切な対応を行うことで健康状態を維持できるので、このフレイルをできるだけ早く把握するということが大切と考えられています。
そんななか、長野県松本市では、認知症などにもつながる恐れがあるこのフレイルを電力使用データから検知し予防につなげる事業を今年度から本格的に展開します。

そこで今回は、この事業について、松本市健康福祉部 健康づくり課 フレイル予防担当の横内忍さんにお話を伺いました。
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まずは、この事業をスタートするにいたった経緯について、お聞きください。

「松本市では、令和3年度からフレイル予防対策として地域に出向いていきまして、高齢者が集う場所で直接対面してJ-CHSというフレイルの判断基準があるんですけれども、その基準に沿ったチェックを実際に行ってフレイルかどうかの判定を行ってきました。直接高齢者とお会いして、実際に握力などの測定をするので、その場でフレイルかどうか確実に判定できるものなのですが、ただこれには弱点がありまして、高齢者がそこに来てくれないとできない、こういった通いの場に出てこない高齢者にはできないという難点と、人手がかかるということが問題になっておりました。
松本市では、高齢者が7万人近くいますが、そのうち地域に出向いてフレイルチェックができたのは、年間1200人ほどでした。しかも、1年に1度実施するのが事業のものですので、毎月チェックができるということではない。それから、そこに集う場所に来ない高齢者に対してできるシステム、この電力スマートメーターによるフレイル検知というシステムを知って、まずは、実証実験を行ってみようということになりました」

実証実験では、93人が参加。その結果、83%という高確率で検知できることが確認でき、フレイルと検知された方のうち、13人が保健師が介入することでリスクが低下したということが分かったそうです。これらの結果を受けて、今年度から本格的に事業展開することになったということなんです。
具体的なサービス内容について、横内さんはこのように話されていました。

「電力事業者に送られた30分ごとのデータを、学習済みのAIが分析して、フレイルかどうかを判定しているというのが、このサービスの仕組みになります。健康な方とフレイルの方では、電力の使い方に違いがあるということがわかったらしく、例えば、健康な生活であると、起きて朝の活動が始まりますので、電気をつけたり、朝食の準備をしたり、お掃除をする、また、テレビを見るとか、出かけるときには電気を消して、帰宅後には夕飯の用意や入浴するなど、電気の使い方にメリハリが見られるそうです。
一方、フレイル状態に近くなってくる方は、外出が減ったり、家事がおろそかになって家事をしなくなったりといった、健康な方との違いが電力使用量に出る。そこをAIがたくさんのフレイルの方と健康な方の電力の使い方を学習して、自分では気づかない状態の変化をAIが教えてくれるというサービスになります」

参加した方の感想について伺ったところ、「自分が元気で過ごせているなということがわかって安心した」とか「見守られている安心感がある」といった声だったり、実際フレイルと判定された方には、フレイルの状況が分かって良かったという声もあったそうです。
そして何より、普段の生活をしているだけで良いので、気軽に利用できて良かったという声が多かったとのことでした。

最後に、今後の展開について、横内さんに伺いました。

「このサービスを使っている自治体は、三重県の東員町と松本市だけ。初めてということで前例がないサービスになりますので、正確性というところはある程度見込んでいるんですけれども、何分前例のない取り組みで市税を投入するというところにおいては、慎重な判断が実は求められてはいました。だけれども、これまで前例のない超高齢社会、それから人口減少を迎える中で、従来の取り組みだけでは対応できないのではないかという課題として考えておりましたので、そこの突破口になるのかなという期待もしております」

横内さん、貴重なお話、ありがとうございました。

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