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このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
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2023 05.08
自律航行システム「エイトノット AI CAPTAIN」

このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。

先月、自動運転の実用化を盛り込んだ改正道路交通法が施行され、自動運転「レベル4」の公道走行が解禁されました。
車の自動運転はよくメデイアでもよく取り上げられるのでご存知の方も多いと思いますが、実は、AIを使った船を自動運航するシステムの開発も進んでいます。背景には、深刻化する船員不足や船員の高齢化などがあり、国も2025年までの営業運航を目指しています。

そこで今回は、自動運航の現場について自律航行システム「エイトノット AI CAPTAIN」を開発した株式会社エイトノットの代表取締役 CEO、木村裕人さんにお話を伺いました。
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まずは、開発の経緯、背景について伺いました。

「小型船舶なんですけれども、一般的には20トン未満のサイズの船のことを小型船舶と総称しています。 我々がその小型船舶をメインに今、自立航行システムを開発している理由としては、大きく分けて2つあります。1つがやはり、その船舶の数自体が非常に多いということで、国内には大体32万隻くらいの船舶が登録されていますが、そのうちの98%にあたる31万隻以上の船というのが小型船舶になります。なので、数としてまず圧倒的に多いのが小型船舶であるというのが1つありまして、続いて、やはり事故に関係するのも小型船舶が多いというような課題があります。
なので、年間起きている海難事故、船舶の事故のうち7割以上が、小型船舶が関係しているような事故になりますので、我々としては、テクノロジーを使ってそういった事故を減らして、より安全なものに小型船舶を進化させることによって、水上モビリティの可能性というのをどんどん引き出していきたいなと考えています」

海上保安庁のデータでは、2021年に発生した海難事故1942件のうち、約7割の1400件が「見張り不十分」「居眠り運航」といった人為的ミスで起こっているそうなんです。そういった理由からも自律航行のシステムが求められているそうです。

では、自律航行システム「エイトノット AI CAPTAIN」とは、どういうシステムなのか、こちらをお聞きください。

「AI CAPTAINは、小型船舶向けの自立航行プラットホームと言っていまして、現在ですと操船アシスト機能を中心とした後付けできる自立航行システムと言えるかなと思っています。我々はこの自立航行船、船自体を開発しているんですか、というご質問はよくいただくんですが、我々の開発しているものは船ではなくて、あくまでもシステムということで既存の船舶に後から我々の開発したAI CAPTAINを実装することで、船を自律化することができるというところが1つ大きな特徴になります。
仕組みとしては、車の自動運転によく使われているセンサーを船の方でも活用していまして、例えばGPSを中心に位置情報をコンピューター上で使って、さらにその周辺にあるような環境をしっかりとカメラやライダーといったセンサーでセンシングをしていくことによって、安全航行を担保していくというような仕組みになっています」

実用化に関しては、すでに社会実装が始まっているそうです。具体的には今年1月、広島市の宇品(うじな)という港の周辺で、AI CAPTAINを実装した小型船舶を実際に水上タクシーとして、旅客船事業者に利用してもらい、営業航行としてスタートさせているそうです。もちろん、こちらは全国初の事例だそうです。

実際にAI CAPTAINを導入した旅客船の事業者さんからはこんな反応があったそうです。

「旅客船の事業者さんにおいては、特に経営サイドから言われる話として、船員さんの確保は難しい。特にベテランの船員さんの確保は非常に難しくなっているということで、人によってどの船長さんが船に乗るかによって安全性が変わってきてしまうというところが、大きな課題だと言われていることが多いです。その点我々のシステムというのは、操船はもちろん、その運航する海域の情報というのもあらかじめ取り込んでいるので、誰が乗っても同じ安全性を常に担保できるというところが、1番評価をいただいているポイントです。
さらに発展的な話で言いますと、新しく着任された船長さんにおいても操船スキルの習得、そして海域の知識の習得に大体1年ぐらいかかってしまうと言われていますので、そういったトレーニングコストを削減していくにも非常に我々のシステムがお役に立っているというコメントをいただいています」

最後に、木村さんに今後の展開について伺ったところ、

「今は、船に乗るということ自体が非日常的な体験になっていますが、これが非常に利便性の高い乗り物であると感じていただけるような環境を作っていきたいと思っています」と、お話されていました。

木村さん、貴重なお話、ありがとうございました。

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