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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.07.15

相次ぐ水難事故、どう防ぐ?

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。


今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


「相次ぐ水難事故、どう防ぐ?」

吉田:今日は海の日。これから、海やプールなどでの水遊びの機会も増えるということで、水難事故を防ぐためのポイントを解説していただきます。水難事故というと先週、静岡県下田市の海水浴場で、遊泳中に流されて行方不明になっていた中国籍の女性が、およそ36時間後に千葉の房総半島沖で救助されたというニュースがありましたよね。


神庭さん:36時間ってすごいですね。36時間も漂流して、静岡から千葉まで直線距離で80kmも流されたということですから、ほとんど奇跡の生還と言っていいと思います。報道によれば、女性は水着姿で浮き輪に入った状態で流された。浮き輪があったのが不幸中の幸いですが、溺れる危険以外にも、この暑さで長期間にわたって水分がとれないとなると熱中症のリスクもありますし、また逆に海水温で体が冷えて低体温症に陥ってしまう危険もあります。救助された女性は脱水症状があったものの、意識はハッキリしていて命に別状はないとのことなので、そこは良かったなと思います。


ユージ:なぜ、そんなことになってしまったのでしょうか?


神庭さん:NHKによれば、女性は「泳ぎ始めてから30分ぐらいたったあとに流されていることに気がつき、必死に戻ろうとしたが戻れなかった」と話しているそうです。警察や海上保安部は、潮の流れの影響で流されたのではないかと調べているといいます。そもそも、女性が泳いでいた時間帯が午後7時半頃と非常に遅いです。夜間の遊泳は溺れても気づきづらく、非常に危ないので、ナイトプール感覚で夜の海で泳ぐのは絶対にやめて欲しいなと思います。遭難した方を責めたいわけではなく、皆さん一人ひとりの命を守るために頭にいれておいて欲しいなと思います。


吉田:36時間もの間流され、生き延びて本当に良かったと思うのですが、できた理由は何でしょうか?


神庭さん:比較的最近の水温が高くて、先ほど挙げた2つのリスクのうち低体温症に陥るリスクが下がっていたということ。この間、大雨が降ることもなかったということです。浮き輪があったので、常時ずっと水に浸かっている状態ではなく、時に海から体を引きあげることができたのも良かったのではないかとみる専門家もいます。さらには流された先の南房総は船舶の交通が多く、発見してもらいやすかった。そこにたまたま勇気あるタンカー乗組員の方がいて、海に飛び込んで懸命に救助をしてくれたということです。いくつもの偶然が重なった、奇跡的な救出劇かなと思いますね。


ユージ:そこで今回のテーマですが、夏の水難事故は、どんなことに気をつけたらいいでしょうか?


神庭さん:政府広報オンラインでは、7つの注意点を挙げています。1つ目は、「立入禁止」の場所には近づかない。2つ目は、体調が悪いときは無理をしない。3つ目は、単独行動を避ける。4つ目は、子供から目を離さない。5つ目は、お酒を飲んだら海や川には入らない。飲酒をして海水浴中に事故に遭った人の死亡率は飲んでいない人の約2倍です。6つ目は、ライフジャケットの常時着用。大きすぎると水に落ちた時に脱げてしまう。サイズに合ったものを着てください。7つ目が、連絡手段の確保です。防水ケースにスマホを入れておいて万が一、救助が必要な時は警察110番か救急119番に電話する。海の事故なら海上保安庁の118番。GPSをオンしておけば、海上保安庁側で位置情報を把握できます。


吉田:川遊びでは、どんなところに注意が必要ですか?


神庭さん:ライフジャケットの装着はもちろん、水に入るのは「ひざ下」までにすることです。それでも強い流れで流されることがあります。公益財団法人河川財団の資料によると、ライフジャケットの着用時に流されてしまった場合は、1つ目は無理に立とうとしない。2つ目は、元いた場所に戻ろうとしない(流れに逆らうことになってリスク増)。3つ目は、流れの緩やかな場所へ避難することが大事です。流れに直角に泳ぐと簡単に流されてしまうので、「フェリーアングル」と言って、上流側に斜め45度程度の角度をとって泳ぐのが大切です。子どもを川で遊ばせる時も、親が上流にいると救助が間に合わないことがあるので、保護者は下流側にいるようにしてください。子どもはギャーとかワーとか叫ぶ間もなく静かに溺れてしまいますから、この点も注意が必要です。


ユージ:海での注意点は、どうでしょうか?


神庭さん:海には、離岸流といって海岸から沖合へ向かう潮の流れがあります。海上保安庁のサイトによれば、流速は毎秒2mにもなります。これはオリンピック自由形の金メダリストが泳ぐ速さとほぼ一緒だそうです。本当にあっという間に沖に流されちゃいます。海上保安庁は、離岸流に巻き込まれても慌てない(流れに逆らって泳がない)。岸と平行に泳ぐ。沖向きの流れから抜け出せたら、岸に向かって泳ぐように呼びかけています。


ユージ:水難事故に遭遇してしまった時はどうしたらいいでしょうか?


神庭さん:もしもの時は「浮いて待て」とよく言われます。衣服を着た状態で水難事故に遭った際に、バタバタして体力を使うよりも「背浮き」の状態で救助を待つということです。海上保安庁によれば、落ち着いて体の力を抜く。息を吐くのを我慢する。あごを上げて手足を大の字にするのがポイントだということです。ただし、波がある状態だと顔に水がかぶったりしてパニックになることもあります。「浮いて待て」も絶対万能というわけでもありません。人が溺れていても、慌てて飛び込まないでください。浮力があるもの、ライフジャケットや浮き輪を投げ込んであげるなどの対応が良いと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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