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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.10.21

被害が広がる“ダークパターン”、その手口と対策

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「被害が広がる“ダークパターン”、その手口と対策」

吉田:インターネット上で消費者を誤認させて意図しない選択へ誘導する「ダークパターン」を減らそうと、一般社団法人ダークパターン対策協会は15日、ダークパターンを使わない誠実な事業者を認定する仕組みを始めました。ダークパターンによる被害総額は1兆円以上にもなると推計されており、対策が急務です。そこで、よくあるダークパターンや防止策について神庭さんに解説してもらいます。


ユージ:これまで何回か番組でも取り上げてきましたが、神庭さん、改めてダークパターンについて教えて下さい。


神庭さん:あの手この手でユーザーを欺く、オンラインサービスの罠のことです。国民生活センターには、過去にこんな相談が寄せられています。1カ月無料のサービスを1カ月だけと思って申し込んだら、翌月から自動更新されていた。退会したつもりが、退会になっていなかった。退会方法がわかりにくく、非常に時間がかかった。というものです。これやられた!という人も多いと思います。


ユージ:めちゃくちゃある!僕もインターネットで買った洋服のサイズが合わなかったんですよ。参ったなと思ったら返品可能と書いてあって返品の仕方が書かれた紙まで入っていて、その通りに送ったら買ったときの内袋がついていないと返品できなかったんです。返品の仕方には書いていなかったんです。


吉田:これはダークパターンですか?


神庭さん:ダークパターンか微妙ですが、ちょっと意地悪ではありますよね。


吉田:ちなみに、神庭さんも経験ありますか?


神庭さん:最近イラっとしたのは、Web広告を閉じるための×ボタンが遠くにあって、なかなか閉じられないサイトです。


ユージ:小さくて押せないと思ったら広告を押しちゃう、みたいなね。


吉田:広告の閉じるボタンって嘘の閉じるボタンだったりしませんか?


神庭さん:そうです。フェイクでウォーリーかよ!っていうくらい、わかりにくい場所にバッテンがあります。見つけた時に謎の達成感がありますけど。


ユージ:僕の場合は、指が太いから×ボタンを押しているのにサイトに飛びます。


吉田:そんなに指が太いんですね。


ユージ:すごい太いので。


神庭さん:本当イライラしますよね。入会するときは、スルッと入れるけど、解約の時はめちゃくちゃハードル高いというのもよくあって、「解約をご検討の方にプレゼントキャンペーン」「最後にもう1回だけチャンスをください」「見逃したコンテンツはありませんか」みたいな。しつこい元カレですか?みたいな。


ユージ:ちなみに今月もし辞めなければ、ポイントがこれだけ付与されるけど本当にいいですか?みたいな。


吉田:冷めた気持ちは戻らないから諦めてください。


神庭さん:ひょっとしたら、将来お客さんになってくれるかもしれないので、そこは印象を下げてもしょうがないと思いますけど。最近は、だいぶマシになってきましたけど、昔は電話じゃないと解約できないサービスもありました。


吉田:最近で話題になったダークパターン、どんなモノがありますか?


神庭さん:SNSで「ダークパターンだ」と話題になったのは、大手通販サイトの登録手続きです。「登録しない」の方は小さく目立たない字なのに、「登録する」の方は黄色く目立たせてあって、いかにもクリックしたくなる感じになっているわけです。しかも、「次に進む(登録する)」と書いてあって、パッと見だと次のページに進むだけなのかな?と勘違いしそうなものになっています。もう少し分かりやすくしてもいいんじゃないかなと思います。


ユージ:あれはどうなんだろう?定期便になっているやつ。1つ買ったつもりなのに、毎月届いてよくみたら定期便って小さく書いてあるやつ。


神庭さん:それは、まさにダークパターンですね。


ユージ:そうですよね。日本はこのダークパターンへの対応がまだ甘いのでしょうか?海外ではどうなっていますか?


神庭さん:欧米だと、もっと対策が進んでいて、読売新聞によれば、大手通販サイトがダークパターンを使って不当に会員登録に誘導したとして、アメリカの連邦取引委員会が提訴。通販サイト側が25億ドル、約3,700億円を払うことで合意しました。


ユージ:日本も厳しくして欲しい。


神庭さん:そうですよね。


吉田:今回、日本で立ち上がった民間の認証制度はどんなモノがありますか?


神庭さん:一般社団法人ダークパターン対策協会が、ダークパターンによる消費者被害を減らすために始めた「NDD認定制度」というものです。ダークパターンを排除した誠実な事業者のサイトを認定する仕組みで、合格すると認定マークが付与される。マークがあるサイトだと信頼が高まり、消費者も安心して利用できるというものです。国もまったく無策というわけではなく、法規制を強化しているわけですけど、努力義務で罰則がなかったり、複数の法律にまたがっていて規制のエアポケットが生じたりと、巧妙なダークパターンに対してまだまだ法律が追いついていません。こういった国の不十分な点を民が補うという意味で、ダークパターン対策協会の取り組みに非常に期待できるなと思います。ただ1つ、注文があるとすれば審査料がちょっと高いです。協会のサイトによると、中小企業で初回審査の場合、申込単位によっては37万5,000円になるそうでそういうパターンもあります。もう少しリーズナブルな価格だとより普及するかなと思いました。


ユージ:ダークパターン対策、より徹底するために、何が必要だと思いますか?


神庭さん:規制のグレーゾーンを潰すためにも、バラバラの法律で取り締まるのではなく、EUやアメリカのような包括的なダークパターン規制を導入する必要があると思います。もう1つが、AIの普及もカギになると思っていて最近ChatGPT上で買い物できるInstant Checkoutという機能がアメリカで始まりました。「ダークパターンを回避して、安くていい商品を探して」とAIに指示したら、AIがノーストレスで買い物を代行してくれる時代がくるかもしれないですよね。実際に、クレジットカードの明細を読み込ませて、いらないサブスクを自動で解約してくれるAIエージェントを開発した人もいます。ダークパターンが人間を騙してくるなら、消費者の側はAIを武器にして立ち向かう。そういうやり方が徐々にスタンダードになっていくのではないでしょうか。


ユージ:ホテル予約もね、サイトによってバラバラだったりしますからね。安い部屋を取ってといったら、見つけてくれるのは便利かもしれませんね。


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