25.10.22
高市内閣、発足…維新との連立政権で経済政策はどうなる?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「高市内閣、発足…維新との連立政権で経済政策はどうなる?」
吉田:自民党の高市総裁は、21日に衆参両院の本会議で第104代の総理大臣に選出され、自民党と日本維新の会による連立政権を発足させました。維新が閣僚を出さない「閣外協力」で発足しましたが、塚越さん、まずは、この「閣外協力」について詳しく教えてください。
塚越さん:自民党と維新は「連立政権合意書」を交わしており、今後は一緒に協議を行います。もともと自民党は維新に閣僚入りを求めていたのですが、これを固持したとのことです。定義はないのですが、一般的に連立を組む場合、各党から閣僚や副大臣、政務官を送り出して、一緒に政権運営をするものです。実際、公明党は長年国土交通大臣が入閣しており、石破政権もこの大臣ポストに加えて、公明党から議員6人が副大臣や政務官を務めています。今回は維新を断って、閣僚には入らない「閣外協力」となります。一部、これ連立って言わないんじゃないのか、と言葉としてどうなのかという話があり、今後変わるかもしれません。今のところ連立と言われています。維新の中でも政権運営に入って責任を負うべき、という声もあったそうですが、ベテラン勢を中心に、まずは自民がどこまで維新の政策を実行するか様子見すべき、という言葉もあったそうです。私自身は、大臣を送り込むと「自民とべったり」というイメージがあったじゃないですか。それを回避しつつ、いわば「半身」の状態で関わりつつ自分たちの政策を通してもらうことを考えているのかなと思いました。ただし、首相補佐官として、維新の遠藤国会対策委員長が起用される見通しです。国会対策委員長というのは、他の党との調整をする人なので、この遠藤氏は自民党にも知り合いが多い、つまり情報通なので、今回は自民と維新のパイプ役になってもらうということです。なので、遠藤氏が首相補佐官として官邸入りすると、自民党以外の人が官邸で重要な情報を見聞きするということで、大きいことかなと思いますが、いずれにせよ大臣は送らないということです。実際、閣内に入ると国会審議で野党からの追求もありますし、「政治とカネ」問題も決着がついていないじゃないか!といわれることもあります。また実務的にも、今の維新で閣僚経験者となると、外務大臣などを務めた前原誠司氏など限られるということで、経験不足という指摘もあります。さらにいうと1996年と古い話にはなりますが、当時は自民党、社民党、新党さきがけの3党で連立政権だったのですが、この時に行われた選挙で社民党と新党さきがけが議席を大きく減らして、閣外協力に切り替えたなんてこともあります。やはりリスクがあるんじゃないかということです。ただ、維新の政党支持率ですが、日経新聞とテレビ東京の調査では、政党支持率が5%前後と高くありません。最近は国民民主や参政党が維新の支持率を上回ることもよくあるので、党としても活路を探す中で今回の連立があったのだと思います。
吉田:自民党と維新の連立政権で、経済政策は、どうなるのでしょうか?
塚越さん:今回の連立政権合意書には高市氏と色々な約束事があるのですが、経済に着目すると維新は「身を切る改革」を掲げていますし、歳出削減なども主張しています。ここは、基本的には財政支出の拡大に慎重な党なので、積極財政派といわれる高市氏の考えとは異なります。そういう意味では、自民党内のバランスも難しい中、さらに維新も入ってくるので、高市氏がやりたい政策を行うのは難しいと思います。その上で連立合意書には、自民党が7月の参院選で掲げた「現金給付は行わないこと」が明記されました。実際21日も行いませんと高市氏が話していました。次に、維新など野党の一部が主張していた食料品の消費税率2年間ゼロについては、法制化を検討するとして合意しています。やや曖昧なところがあるので、どこまで実行されるかはちょっと不透明ところもあります。高市氏自身はこれには積極的な姿勢をみせていますが、自民党全体としては減税には消極的なので、表現が曖昧かなというところです。社会保障費の削減など現役世代の負担を減らしていくこともあるのかな、と書かれていると思います。あとは、暫定税率の廃止を行うと話していましたし、このあたりは進むのかなと思います。
ユージ:いったいどういったところが進むのか、注目ポイントですよね。「高市内閣の発足」と「自民党と維新の連立政権」。塚越さんは、どうご覧になっていますか?
塚越さん:色んな論点がありますが、先ほど話したように閣外協力という「半身状態」じゃないですか。そこで、例えば副首都構想とか急に色々な議員定数削減の話も出てきましたが、どこまでできるのかというところで一緒になったとしてもまだ衆院では過半数を取れていない状態もあるわけです。そうしてみると、高市氏を考えると政治の思想的には色々な評価があります。賛否があってそれはそれでいいと思いますが、国民が望むのはやはり「経済」じゃないですか。物価高と高市氏も言っています。やっぱり何だかんだ言っても有効な対策を打てなかったと言えると思います。どこまで色々な維新も含めて関係がある中で、立て直しができるのか、というところに我々はとにかく見るということが重要かなと思います。