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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.11.20

ガソリンだけじゃない自動車税制の見直し

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「ガソリンだけじゃない自動車税制の見直し」

吉田:ガソリン税に上乗せしている暫定税率の廃止法案が25日にも衆議院を通過する見通しです。それにより暫定税率(1リットル当たりおよそ25円)が12月31日で廃止に、政府は移行措置として、価格を抑える補助金の増額を始めています。そんな中、ガソリンだけでなく、自動車に関わる税金制度の見直しの声も上がっています。そこで、「自動車税制の見直し」ついて、塚越さんと考えます。


ユージ:塚越さん、まず自動車税制について、どんな声が上がっていますか?


塚越さん:はい。自動車税制の抜本的な見直しは来年、2026年度に予定されています。その税制改正案が決まるのが今年の年末ということで、各都道府県でも議論が始まっています。例えば自動車産業が多い愛知などの11都県と浜松市、名古屋市が13日、自動車取得にかかる税負担の軽減を求める声明文を自民党と維新の税制調査会長に提出しています。他にも、自動車ユーザー団体の「JAF」と、自動車の製造販売輸送に関わる団体で構成される「自動車税制改革フォーラム」が、声をあげています。この2団体の試算によりますと、例えばユーザーが308万円の車を買うと、13年間でおよそ190万円の税負担があるということです。これは平均的な自動車保有年数が13年ということで13年という試算が出ています。この税金が高いですね。この額について先程の試算によると、自動車に関する税金が低いアメリカと比べるとおよそ23.4倍になっています。自動車税が高いといわれるイギリスと比較しても1.4倍なので、やはり日本の自動車税は高いですね。


ユージ:高すぎますね。実際、自動車にかかる税金も種類も色々あるんですよね。


塚越さん:はい。細かくみてみると、主に税は「自動車の購入の時」「保有」「走行時」に税金がかかり、加えて消費税もかかります。自動車購入時には、「自動車重量税」といって、重さで税金がかかります。軽自動車は定額ですが、新規登録の際などに支払う必要があります。次に「保有」しているとかかる税金は、「自動車税(種類別)」というもので、毎年4月1日時点で、車の種類によってお金がかかります。また、購入から13年経つと税金が高くなりますが、EVやハイブリッド車といった、環境性能の高い車は上がらないものもあります。最後の「走行」にかかる税ですが、これはガソリン税で、今回暫定税率の25.1円は廃止されますが、ガソリンの本則税率だけでも28.7円は残ります。また、走った距離に応じて課税する「走行距離税」も議論にあがりましたが、今回の税制改正では見送るということです。もっといいますと、自動車保険のうち、「自賠責保険」は加入が必須です。結局、車に乗らなくても、家にあるだけで保険料やら税金がかかりますね。実際、ふたりはどうでしょう?


ユージ:高い!


吉田:高い!なくてはならないものなので、払っていますが…。


ユージ:その他、「自賠責保険」もそうですし「任意保険」も入らないといけません。乗らなくてもかかるお金が多すぎる!


塚越さん:都心だと電車などもありますけど、絶対に車が必要な方が家族で何台か所有する中ですごくお金がかかることありますよね。


吉田:では、どんな税制の見直しが求められていますか?


塚越さん:先程のJAFは要望書の中で、重量税の廃止だったり、ガソリン税に消費税がついているのは二重課税になるので、消費税分の廃止、また環境性能割の廃止なども求めています。いずれにしても、お金だけでなく手続きが複雑なので、税金をもっと簡略化・明瞭化することで、自動車産業がもっと活性化されるべき、といった事を述べていますね。


ユージ:課題は、税収減ですよね?


塚越さん:税金は道路やインフラの維持だったり、雪の対策などにも使われるので、色々お金がかかります。先程の走行距離税なども財源の埋め合わせ案としてはありました。ただ、それをやると「元も子もない」ということで、今回は見送りです。財源論は「財政規律」としては分かりますが、やっぱり国民は色々な負担がかかっているので将来の成長を見越した上なら国債発行なら分かるのですが、なかなか厳しいということで、最終的には経済が成長するしかないかなと思います。とはいえ、バランスが重要ですが、責任ある積極財政ということで、やはり減税は必要かなと思います。これも、国民が期待しているということです。他にも自動車の寿命が延びているので、13年で税金が高くなって買い替えなきゃいけないというのは、これはどうなのかという話とか、EVをどうするんだという議論もあります。税金を取るにしても、まだまだ自動車の産業は一気に変わっているので、ここでやるべきことはまだまだあるんじゃないかなと思います。この後のプランをどうするのか、期待したいところです。とにかく高いですね。


ユージ:高いです。塚越さん、ありがとうございます。

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