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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.12.01

防犯カメラ映像が海外サイトに流出

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【防犯カメラ映像が海外サイトに流出】

吉田:家庭や職場に設置された防犯カメラの映像が、知らない間にインターネット上で世界中から閲覧できる状態になっているとしたら…これは映画の中の出来事ではありません。実際に日本国内の防犯カメラ映像が海外のサイトで無断公開され、プライバシー侵害に繋がる事態が発生しています。そこで今朝は、流出の実態や対策について神庭さんに解説してもらいます。


神庭さん:読売新聞とトレンドマイクロの共同調査によれば、日本国内の防犯カメラ映像のうち少なくとも3000件が外部から「丸見え」状態になっていました。内訳は屋内とみられるものが約750件、それ以外が約2200件でした。屋内だと住宅の居間や寝室、子ども関連施設、高齢者施設、医療機関の治療室、オフィス、大規模商業施設、食品工場などの映像がだだ漏れになっていました。マンションのエントランスが一番多かったです。屋内以外では、駐車場や駅のホームの映像があったという事です。


吉田:結構な件数ですね。


神庭さん:衝撃的だったのが、関西の保育園のケースです。子どもが着替えたり、お昼寝したり、園庭で運動したり、といった様子が見えるようになってしまっていました。本来は保護者だけが閲覧できるようにパスワード付きで専用サイトで配信していたはずが、外部サイトで閲覧できる状態になっていました。保育園の理事長は読売の取材を受けて初めて流出を知り、絶句したそうです。すぐにネットから遮断して、数日以内にカメラを撤去したという事です。


吉田:こうした流出は何故起きてしまうのでしょうか?


神庭さん:カメラのパスワード未設定だったり、単純な初期パスワードのままになっていたりといったケースも多いです。ソフトウェアの更新がしっかりされていないなど、セキュリティがガバガバだと簡単にハッキングされてしまいますし、もっと言うとわざわざハッキングしなくてもIPアドレスが分かれば見えてしまいます。ロシアやヨーロッパなど海外にはそういう無防備な映像を大量収集して公開しているサイトがあります。狙いがのぞき趣味なのか、自己顕示欲なのか、何のためにやっているのかは分からないです。また、その流出映像を興味本位で見にいく物好きな人たちが一定数いるという事です。全く自覚なく、自分や家族の姿が全世界に晒されていたらと思うと映画の「トゥルーマン・ショー」みたいで気味が悪いですが、これはプライバシーだけの問題ではないです。


ユージ:それはどういうことでしょうか?


神庭さん:もちろんプライバシーとか肖像権の面でも大きな問題ですが、防犯面でもかなりまずいです。例えば、個人宅のカメラ映像が流出したら、今留守であることが即バレしてしまいます。泥棒に「どうぞお越し下さい」と言っているようなものです。お店の警備状況や手薄になる時間帯も悪い人たちに筒抜けになります。どこに金庫があって、いつ現金を運び出しているのか把握されてしまいます。ATMを映したカメラなら、そこから暗証番号がバレてしまうリスクもあると思います。会社であれば「誰々と誰々が会ってるぞ」というところから経営統合の情報を推測されたり、カメラの性能にもよりますが、ホワイトボードに書かれた機密情報が漏れてしまうなんてこともあるかもしれないです。防犯のための防犯カメラがかえって犯罪を呼び込んでしまうとしたら、皮肉な事です。


吉田:どんな対策が有効ですか?


神庭さん:基本的な事ですが、ウェブカメラを初期設定のまま使うのは絶対NGです。必ずパスワードを設定して下さい。「0000」「123456」「password」「admin」みたいな単純な初期パスワードは何もしてないのと一緒です。そもそも「家庭内とか社内とか狭い範囲で映像を見れれば良い」という場合は、ルーターのファイアウォール設定で外部からの不要なアクセスを遮断しましょう。企業であれば、VPNを使って許可された端末だけがカメラ映像にアクセスできるよう、ネットワークを分離するのも有効です。バージョンが古いままだとウイルス感染やハッキングを招きますので、最新版へのアップデートを欠かさないようにして下さい。トレンドマイクロのシニアスペシャリスト・成田直翔さんはANNの記事でこう呼びかけています。「多くのメーカーのサポート期間は約5年。5年以上前の防犯カメラは、まだ使えるものでも、可能であれば買い替えをおすすめする」とおっしゃっています。


ユージ:防犯カメラの流出問題。神庭さんはどう考えていますか?


神庭さん:防犯カメラって思った以上にいっぱいあります。国内に約700万台以上あると言われています。今回、明らかになった3000件の流出というのは恐らく氷山の一角です。防犯カメラに限らないですけど、今って身の回りのありとあらゆる物がネットに繋がっています。ルーターとかスマート家電、ネットに繋がるIoT製品はサイバー攻撃のターゲットになりやすいです。ウイルス感染させられてサイバー攻撃のターゲットに非常になりやすいですし、踏み台に使われてしまう事もあります。これだけ「セキュリティ気を付けて!」と言われているので、パソコンとかスマホのパスワード設定のアップデートをマメにする人でも、カメラやルーターとかは適当であまり気にしてない人が多いので、改めてパスワードとかの設定を見直して古い物は買い替えたり、バージョンをアップデートする事をしっかり対応して頂きたいと思います。

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