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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.12.16

「おこめ券」は果たして効果があるのか!?

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『食料品の価格高騰を受け、政府が打ち出した経済支援策。「おこめ券」は果たして効果があるのか!?』


吉田:コメをはじめ食料品の価格が高騰していることを受け、政府は全国の自治体に対して『おこめ券』などの配布を促す経済支援策を打ち出しました。そこで今朝はおこめ券配布の狙いや課題について神庭さんと考えます。


ユージ:おこめ券は具体的にどんな形で配るんですか?


神庭さん:政府が直接配るわけではなく、おこめ券やプレミアム商品券を配った自治体に『重点支援地方交付金』を渡す仕組みになっています。食料品の高騰対策として1人あたり3,000円ほど、トータル4,000億円の支援を想定していて、補正予算案に計上しています。2年前の今ごろは、コメ5キロで2,000円しなかったんですけれども、それが今や、4,335円と2倍以上に跳ね上がり、過去最高を更新しています。毎日の主食なので、庶民のお財布へのダメージは大きいですよね。おこめ券の狙いは、“目に見えるわかりやすい物価高対策として国民生活を支援すること”で、ただ、それだけではないんですね。


吉田:他にどんな狙いがあるのでしょうか?


神庭さん:表立って表明はしていませんが、“生産者への配慮”があると思います。「コメが高すぎて買えない、パンやパスタでしのごう」と国民のコメ離れが進んでしまうと、コメ農家にとっても打撃になります。そこで、おこめ券を配れば「せっかくだから」とコメ売り場に足を運ぶ人も増えるという寸法ですね。


吉田:そういう狙いのある『おこめ券』は、いつ・誰がもらえるんですか?


神庭さん:いつ誰に配るかは、自治体ごとに異なります。国は「可能な限り年内での予算化に向けた検討」を求めていますが、自治体からは「厳しい」という声があがっています。ただ、すでに独自におこめ券を配っている自治体もありまして、東京都台東区では、18歳以下の子どもがいる世帯や3人以上の世帯に8,800円分、それ以外の世帯に4,400円分を配っています。愛知県日進市では65歳以上の世帯に絞って4,400円を配布しています。自治体ごとに配布対象もバラバラで、よく言えば“自由”なんですけど、悪く言えば“丸投げ”みたいな感じなっています。そこで、「おこめ券を配らない」と表明する自治体も相次いでいます。


ユージ:そういう自治体もあるらしいですね!


神庭さん:ANNなどによると、東京都江戸川区はおこめ券を配らず、低所得者や子育て世帯の支援を優先する方針です。中野区も現金給付の方がスピーディーな対応ができるということで、おこめ券は配布しないということです。


ユージ:おこめ券だとどうしてもワンクッションありますからね…。


神庭さん:大阪の交野市の市長は、“経費率が高い”“利益誘導につながる”“使える店舗が少ない”ことを理由に、おこめ券を拒否する姿勢を示しています。箕面市の市長もおこめ券を配らないことを表明していて、代わりに水道料金の減免やギフトカード、現金の支給を検討しています。宮城県の仙台市もおこめ券を見送り、1人3,000円分のポイントを支給する予定です。九州だと、福岡市・北九州市・熊本市も配布しません。福岡市は下水道料金の2カ月無料化やプレミアム商品券の発行といった施策を打ち出しています。


吉田:意外に配らない自治体が多いですね、ちょっとビックリです。


神庭さん:そうなんですよね。では、なぜかというとですね、“経費率が高くて政策として効率が悪い”ということが一番でして、JNNが報じた経済評論家の加谷珪一さんの試算によると、仮に10億円のおこめ券を配ったとしても、印刷コストなどで12%が発券団体に流れ、実際にコメと交換できるのは8億8,000円分にとどまる。加えて輸送コストなどに8,000万円ほどかかるということで、結果、10億8,000万円使って8億8,000万円分の支援しかできないことになっちゃう。2億円が途中で消えてしまうということでムダが多いんですよね。発行団体の取り分を減らして、500円で440円分のコメを買えるところを480円分にしましょうという話も出ているんですけれども、ムダが大きいという本質的なところは変わりがないんですよね。


ユージ:しかも、これは仮に10億円ってことですから、もっと大きな金額だったら、もっと大きなムダが出てきますよね。非効率だなと思っちゃうんですけど、他におこめ券の課題はありますか?


神庭さん:物価高対策として逆効果になる恐れがあるということですね。先ほども言ったように、おこめ券にはコメ農家を助ける意味合いもあります。ここ最近、コメの民間在庫が積み上がっていて、将来的に価格が下がるのではないかという先安観が出ていました。せっかく値段が下がりそうだったのに、おこめ券を投入して需要をふかしたら、値上がり方向の圧力になってしまいます。値崩れが防げるので農家や関係団体は嬉しいと思いますが、コメ高騰に苦しむ大多数の国民にとってはツライということですよね。


吉田:あと、政府というか政治家というか、『おこめ券』や『商品券』を配る話が結構出てきますよね?これはなぜなんでしょうか?


神庭さん:選挙対策で、わかりやすくやってる感を出したいのかなと思います。が、本質的には、コメの価格を下げるんだったら、減反政策を見直して増産して、輸入米を増やせばいいんですよね。ただそれは痛みを伴う改革が必要で、業界団体とか農家さんの反発を招くと…。だから、1回こっきりのおこめ券をバラまいて、対症療法でお茶を濁しているということですかね…。現役世代は高い税金を取られた挙句に、ワケのわからない商品券になって返ってくる政治にうんざりしています。それなら最初から税金を取らずに残してほしいと思っている方も多いと思います。最近、政府・与党が「高校生の子どもがいる世帯の扶養控除縮小を検討している」という報道がありました。高市さんはXで、そんな指示を出していないとキッパリ否定しましたが、政府・与党内にそういう情報を流している増税勢力がいるのだとしたら非常に残念です。高市さんの高い支持率は、新しい政治をやってくれるんじゃないかという国民の期待の表れだと思いますので、ぜひともですね、“なんでもかんでも配る政治”から“最初から取らない政治”へ転換していただきたいなと思いますね。


ユージ:そうですね。まだまだ期待している部分はたくさんありますからね。いい方向に行ってほしいなと思います。

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