25.12.24
卵の価格、エッグショック超えの最高値…長期保存できる『加工用卵』に注目

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
【卵の価格、エッグショック超えの最高値…長期保存できる『加工用卵』に注目】
吉田:農林水産省が12月16日に発表した、卵の価格動向調査によりますと、12月8日〜10日の全国平均の小売価格は、1パック10個入りは308円となり、2003年の調査開始以降の最高値となりました。平年に比べて27%高い、ということです。塚越さん、まずは、卵の価格高騰と、その背景について、詳しく教えてください。
塚越さん:卵の価格は物価高の影響もありますが、一番は『鳥インフルエンザ』なんですね。2024年の秋から2025年のはじめにかけて鳥インフルエンザが発生して、多くの鶏が処分されたことで、卵の供給量が減っています。そこにかけて、年末はクリスマスケーキなどで需要が増えることで、値段が上がってきているということです。価格についてですが、2023年の春先にも鳥インフルの影響で価格が高騰して、2023年の7月には1パック10個入りで306円と、当時の最高値となりました。これは『エッグショック』と呼ばれたのですが、今回は2円上がって308円と、2年半経って物価高ではあるものの、最高値を更新してしまいました。ただし、日本養鶏協会によると、鶏卵の生産量は戻っていくので、いずれ価格も落ち着く見通し。2026年の上半期にかけて、ひな鳥を再飼育する割合が9割程度まで回復する見込みなんですね。とはいえ、そもそも物価高ですし、資材価格や餌代など色々と高騰しています。何より、2025年も秋から鳥インフルエンザがいくつか発生していて、1月が最も多く発生する時期ということもあり、懸念材料は多くある、というのが現状です。
吉田:こうしたなか、長期保存ができる『加工用卵』への関心が高まっているようですね。
塚越さん:そうなんですね。近年の卵不足に備えて、農林水産省は長期保存できる加工用卵の利用拡大に乗り出します。これは殻を割って溶いた状態の卵に、熱処理を加えて殺菌・冷凍する、というもので『冷凍液卵』などと呼ばれます。これだと1年半から2年程度保管できるということで、主にお菓子やパンメーカーが卵の供給量が減った時に活用する目的があります。また、卵は年末では鍋やケーキで需要が増える一方、夏は逆に需要が下がる傾向があるということなので、このあたりの調整ということですね。夏に買っておいて、冬には冷凍液卵などを使うということで、冷凍液卵を増やしたいということです。『備蓄米』ならぬ『備蓄卵』とも言えるのではないかと思います。農水省は事業者を支援するために、冷凍液卵を保管する施設の整備費用を、最大で半額程度補助する方針ということです。これは業者のためでもありますが、私たち一般消費者が買うスーパーの卵価格の高騰を抑える効果もあると思います。ちなみに、日本養鶏協会の2024年のデータによりますと、国内の国産の鶏卵およそ250万トンのうち、殻付きの卵(つまり一般的な卵)の消費は全体の8割で、家庭用や業務用に使われています。そして残りの2割が液卵などの加工用卵ということで、これをもっと増やそうということですね。また、冷凍液卵には黄身と卵白が分かれたものや、乾燥したものもあるということです。乾燥したものは水分が少ないので、カルボナーラに使うと濃厚な味になるのだそうです。さらに、殻を割る手間が省けて省スペースになり、殺菌もされているので衛生的にも良いということです。殻にはサルモネラ菌がいると言うじゃないですか。そして価格も安定する。このように手軽なので、今後は家庭用も視野に入ると思いますね。
ユージ:『卵の価格高騰』と『加工用卵』への関心が高まっていること、塚越さんは、どうご覧になっていますか?
塚越さん:最近の冷凍技術は大変優れていますし、企業の技術もすごいですよね。これから今以上に技術が進んで、一般消費者にとっても価格が抑えられるなら、ありがたいと思います。ただ、いずれにしても、この年末の卵価格は高くなってしまっていますね。先週に神庭さんが解説されたように、ケーキはチョコ等も含めて、全て値段が上がっているということなのですが、今日、明日くらいはちょっと奮発してもいいのかなと思いますね。一方で、年末年始に食べるものの価格を今のうちにみておくことも必要かな、柔軟に調整することが必要かなと思います。また、鳥インフルエンザなどの感染症だけでなく、輸入品は、海外との貿易、国際関係の変化、円安、国家間の対立、戦争などの影響を受けて、ますます価格が高くなっていく可能性はあります。そこで、世界情勢や環境問題に私たちの生活が非常に密接に関わっていること、ちょっとした毎日買うものの価格もかなり影響されていることを、忘れてはならないと思います。今日はクリスマス・イブですが、様々な世界の状況に我々の生活が関係してるということも考えつつ、それでも楽しめる時は楽しむことも大事なのかなと思います。少し奮発するというのも、ご家庭によって事情がありますけれどもね。
ユージ:でも、「今までの卵の価格が安かった」という考え方も。お米の時もそう言われてましたよね。「上がっちゃったけど、本来この価格でも感謝するべきだね」みたいな。
塚越さん:そういうのは思いますよね。
ユージ:塚越さん、ありがとうございました。