25.12.30
神庭さんが注目したネットの注目ワード2025

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
【神庭さんが注目したネットの注目ワード2025】
吉田:今朝は2025年、神庭さんがネットやSNSでグッときた言葉、心に残った出来事など、「ネットの注目ワード」を振り返ってもらいます。まず1つ目は何でしょうか?
神庭さん:1つ目は「約束された不快」。今年2月に話題になった言葉です。元々は4年前、旧Twitterで、あるユーザーが《好きな人や元交際相手のSNSをわざわざ見に行くのは「あらかじめ予測された不快を感じる」ことが快楽になり、やめられなくなるからだ》という趣旨の投稿をしたのが発端。この時も1.6万の「いいね」を集めるなど反響があったんですが、今年になって再度注目を集めました。当初は「予測された不快」と言われていましたが、別のユーザーが「約束された不快」と少し言い回しを変えた投稿が、1100万回以上表示されるなど改めて話題になりました。「すごい分かる」「うわぁ、これ私だ」と共感する声が広がったんですね。
ユージ:分かってるけど見ちゃう…、SNSだと結構ありますよね。
神庭さん:なかには「臭い靴下を嗅ぎたくなる心理か」と言っている人もいました(笑)。私は昔「さんまのからくりTV」で見た、動物のおもしろ映像を思い出しました。チンパンジーが自分のお尻のにおいを嗅いで倒れてしまう動画。それの人間版、SNS版かなと思いました。私の解釈だと、約束された不快は大きく4つに分類できるかなと思います。1つ目は嫉妬系。わざわざ元カノ、元カレの投稿を見に行くようなケース。2つ目は怒り系。私は「怒りの日替わり定食」と呼んでいますが、月曜日はバイトテロに怒り、火曜日は迷惑系YouTuberに怒り、水曜日は芸能人の不倫に怒り……みたいなパターン。3つ目は恐怖系。ネットで悲観的な情報ばかり読み漁ってしまうことを「ドゥーム・スクローリング」と言います。災害やコロナ禍の時などに怖いニュースや、ネガティブな投稿を延々スクロールしてしまう。メンタルに良くないですし、変な陰謀論とも結びつきやすいんですよね。
ユージ:ついつい、やっちゃってる人も多そうですね。
神庭さん:自分が「あ、約束された不快を求めちゃってるな」という時は一度スマホを置いて、深呼吸してほしいです。人生は早押しクイズではないので、SNSを流れるすべての情報に反応する必要はありません。「いいね」「悪いね」より「どうでもいいね」の心構えが大切かなと思います。
吉田:神庭さんの今年のネット注目ワード、2つ目は何でしょうか?
神庭さん:2つ目は「一般男性・一般女性」。今年も多くの有名人の方がご結婚されて、お相手の「一般男性」「一般女性」って誰やねん?とネットでも話題になりました。芸能人の結婚報道で、いつから「一般男性」「一般女性」が使われているか、スポーツ紙の記事を調べたことがあります。調査の結果、最も古い「一般男性」は2001年の奥山佳恵さんの結婚報道、最も古い「一般女性」は2002年の俳優・原田龍二さんの結婚報道で使われていました。
ユージ:よく調べましたね(笑)。凄いですね、神庭さん。
神庭さん:「一般男性」も「一般女性」も2000年代の中頃まではほとんど紙面に登場しませんが、2006年あたりから徐々に増え始め、2015年には一般男性295件、一般女性476件まで増殖しました。2005年に個人情報保護法が全面施行され、その翌年から増えているのでスポーツ紙側が配慮を強めるなど、何らか影響した可能性があるかなと思います。なぜ「一般男性・一般女性」を使うのか、以前取材したスポーツ紙の方はこう言っていました。「タレントさんからすれば『一般の人・普通の人だから追いかけないでください』ということでしょうし、我々メディアからすると『だから深く掘り下げて書くことができないんですよ』という、読者向けのエクスキューズでもある。『一般』という言葉には、『氏素性は出せませんが、推察してください』という思いが込められているんです」と仰っていました。
吉田:2025年のネット注目ワード、3つ目をお願いします。
神庭さん:3つ目は、やはり「グエー死んだンゴ」だと思います。類上皮肉腫と呼ばれる希少がんを患い、闘病していた札幌市の中山奏琉さんが10月、22歳の若さで亡くなりました。その2日後、生前に予約投稿していたとみられる「グエー死んだンゴ」という言葉がXで発信され、3.6億回も表示されるなど大きな注目を集めました。そもそも、「グエー死んだンゴ」というのは、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)でよく使われていたネットスラング。暴言をぶつけられた時に「グエー死んだンゴ」と茶化して、そこに「成仏してクレメンス」と返すという流れが、一つのお約束になっているものです。最期までユーモアを忘れない中山さんの投稿は多くのネット民の心を打ち、《香典代わりにがん研究に少額を寄付したので成仏してクレメンス》と返信する人が登場。がんの研究機関や病院への支援を呼びかける善意の輪が広がり、多額の寄付が集まりました。日頃、炎上やら誹謗中傷やら嫌なことも多いSNSですが、捨てたもんじゃないと思いましたし、日本のインターネット史に刻まれる出来事だったと思います。