26.01.01
AIの成長を支える2026年注目の“電力インフラ”

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『AIの成長を支える2026年注目の“電力インフラ”』
村田:AIの成長、データセンターが増える一方、世界でも電力のひっ迫やインフラへの負荷が課題になっています。脱炭素で再生可能エネルギーも進めたい中、電気をいつ、どう使うのか?電力インフラは次のステップに進んでいます。そこで注目が集まっているのがスマートグリッドと大規模蓄電池。今朝は、塚越さんに最新の“電力インフラ”について解説いただきます。
ユージ:昨日、「電力確保が課題」というお話も伺いましたが、そんな中、今、注目されている『スマートグリッド』について教えてください。
塚越さん:『スマートグリッド』というのは、発電所から家庭や工場に電気が届くまでの流れを『ICT』、つまり、情報通信技術で細かく“見える化”して、自動で制御する『次世代の送配電網』のことです。もっと簡単にいえば、“どこで・どれだけ電気が使われているかをリアルタイムで見えるようにしましょう、把握しましょう”ということです。これまでの電力網は「発電所から送電、家庭」という一方向が基本でしたが、スマートグリッドは、すべてがつながるので、双方向で電気の動きがわかります。なので、企業や家庭など時間帯で電力が足りなさそうなところを事前に把握できるので、電気のムダが減ります。あと、天候に左右されやすい太陽光や風力といった再生可能エネルギーも、無理なく組み込めるようになるというわけなんですね。今も導入が進んでいますが、さらに国全体で制御できるように整備が進められているということですね。
村田:続いて、『大規模蓄電池』はどうなっていますか?
塚越さん:太陽光発電の特徴は、昼は発電できても夜はできないことですよね。蓄電池は、昼に余った電気をためて夜に使ったり、災害時の非常用電源としても使えます。こうした役割を担うのが、大規模な蓄電池です。世界では、巨大な蓄電池が次々に建設されていて、イギリスやアメリカ、オーストラリアなどでは、電気使用のピーク時には、発電所の代わりになるような巨大な蓄電池が実際に稼働しています。日本でも、電力系統につながって需給バランスを調整する『系統用蓄電池』というものや工場や事業所向けの『産業用蓄電池』が広がりつつあります。簡単にいえば、発電するだけでなくて、“ためて、必要なときに出す”という発想が重要になっているということですね。
ユージ:今、お話があった『スマートグリッド』と『大規模蓄電池』は、私たちの生活にどんなメリットがあるのでしょうか?
塚越さん:まずは、“電気料金を抑えることができる”かなと思います。電気の状況を把握できる『スマートメーター』を利用すれば、自分がどういう時間に電気を使っているかとか、どういうときの電気が安い・高いとかがわかるようになります。「この時間はちょっと高いから、安い時間帯で充電しよう」といった習慣づけができれば、実際に電気代を抑えることができますし、自宅に発電装置があれば、電気を売ることも今以上に簡単になるかなというところです。次に、“停電リスクが下がる”ということですね。昔に比べると停電は減りましたが、災害が起きたときに電力状況を把握して、優先的に電力の供給地区を特定するなど、災害が起きたときの停電のリスクを下げることなどが期待できます。もうひとつは、“脱炭素への貢献”ですね。政府は『GX(=グリーントランスフォーメーション)戦略』を進めていて、太陽光と蓄電池をエネルギーのマネージメントを組み込んだ住宅基準を立ち上げています。2027年ごろからは段階的に運用が進むので、発電と蓄電を兼ね備えて、足りない分も効率的に電力を利用する家がどんどんできるということで、電気代を安くするだけでなく脱炭素に貢献できるようになるかなというところですね。
ユージ:『電力インフラのこれから』について、塚越さんはどう思いますか?
塚越さん:昨日もお伝えしましたが、生成AIの需要によって、めちゃめちゃ電気が足りなくなってくるということなので、発電を増やすとか、再エネを進めていくことも、もちろん大事ですし、同時にムダを作らないことも大事で、そういう意味で、スマートグリッドとか蓄電池は大事になってきますし、個人的には、昨日もお伝えしましたけれども、『人型ロボット』が将来的に人手不足に対応すると思います。そうなると、ロボットに使うのは電力ですよね。私はですね、将来的に、10年とかのレベルで、介護ロボットができると思っていて、日本はかなり高齢化社会なので、介護ロボットの分野では覇権を取れるんじゃないかとも思っているんですよね。ドラえもんみたいな文化があるので、仲良くなることも上手だろうと思います。そういうときに大事なのが電気ですよね?だから、電気代を安く済ませるということも大事ですし、電気をムダにしないこと、それによって競争力を高め、介護ロボットなどを輸出することも重要になっていきますし、国内への供給も大事になってくるということで、日本は化石燃料が全体の7割を占めてますけれども、これから今年もいろいろ議論になると思います、いろいろな問題もあると思います。けれども、再エネも広げていく、スマートグリッドや蓄電池を活用していくということが大事になってくるかなと思います。