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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.01.05

2026年の日本経済を読み解く3つのキーワード

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【2026年の日本経済を読み解く3つのキーワード】

吉田:トランプ関税、株価5万円超え、円安にコメの高騰と経済面でも激動だった2025年。それでは今年、2026年の経済の行方はどうなっていくのでしょうか?今朝は、神庭さんに「日本経済を読み解く3つのキーワード」を解説してもらいます。まず1つ目のキーワード、お願いします。


神庭さん:1つ目のキーワードは「インフレ税」です。インフレで実質的に政府の債務(借金)が減少することです。高市政権は「責任ある積極財政」を掲げていて、GDPに占める債務残高の比率を減らしていくことを目指しています。日本の債務残高対GDP比は230%近くあり、先進国では群を抜いて高いです。一方で、2020年に258%のピークをつけて以来、ここ数年は年々下がってきています。「GDPに比べて借金の比率が順調に下がってるならいいじゃん」と思うかもしれないですが、ここには数字のマジックがあります。


ユージ:どういうことでしょうか?


神庭さん:インフレによって、名目GDPが膨らんでいます。GDPは国内で生産されたモノやサービスの付加価値の総額です。分母の名目GDPが増えれば当然、債務残高対GDP比は減少します。今年度の国の税収は80兆円を超え、6年連続で過去最高になる見通しです。物価高で消費税収が膨らみ、賃上げで所得税収も増えています。これはつまり、家計から政府に所得が移転しているということです。税金は率でかかってくるので、知らない間に私たちが払う税金は増えている状態です。これは「増税するぞ」と言われると、みんな「ふざけるな!」と怒りますが、インフレ税は静かにじわじわ増えるサイレント増税なので気付きにくいです。


ユージ:確かに、そういう意識はなかったですね。


神庭さん:真正面から財政健全化を進めると国民の反発が起こります。「だったらインフレ税で清算しちゃえ」という発想はとても危険です。インフレ税は特に経済的弱者の暮らしを直撃します。「マクロで見ると高齢世代から現役世代へ富が移る」というメリットもなくはないですが、なにぶんハードランディングで副作用が大きいです。積極財政で需要をふかしまくることで、インフレ税という目に見えない国民負担が増えていないか?ということを、経済ニュースに触れる際に是非その点も意識して欲しいです。


吉田:2つ目のキーワードは何でしょうか?


神庭さん:2つ目は「株高不況」です。エコノミスト・藤代宏一さんの書籍のタイトルです。株価が5万円突破して、企業も続々と過去最高益を更新しました。それなのに実質賃金は10カ月連続でマイナスでした。「全然、景気が良くなっている気がしない」と思ってる人が多いと思いますが、そういう時代の空気をとても良く言い表している言葉です。藤代さんは、企業が株主還元を強化して配当や自社株買いを増やした結果、株価は上昇したものの、消費者が感じる景気の実感とはズレが生まれたと分析しています。株高の恩恵が株主に偏り、労働者への還元が後回しにされたことが「株高不況」の主な原因だと指摘しています。


ユージ:なんでそんなことになってしまったのでしょうか?


神庭さん:エコノミストの河野龍太郎さんと唐鎌大輔さんの共著「世界経済の死角」によりますと、1990年代末の金融危機以降、企業は正社員の長期雇用制を維持する為に、非正規雇用への依存を強め、正社員の給与のベースアップ(ベア)を凍結しました。河野さんは「儲かってもため込むばかりで、賃上げにも国内投資にも消極的な大企業こそが、日本の長期停滞の元凶」と批判しています。「賃上げ、賃上げ」と言いますが、年齢や勤続年数に応じて上がる「定期昇給」と基本給を引き上げる「ベア」はしっかり区別する必要があります。定期昇給は毎年、給与の高い高齢社員が退職し、給与の安い新入社員が入ってくるサイクルがあります。個人レベルでは給料が上がっていても、企業が支出する人件費の総額は変わらないです。春闘のニュースで「賃上げ」という言葉が出てきたら、そのうち定昇分を除いた「ベア」がいくらなのかに着目して欲しいと思います。


吉田:3つ目の注目ワードは何ですか?


神庭さん:3つ目は「利上げ」です。日銀は先月、政策金利を0.5%から0.75%に引き上げることを決めました。ただ、円安やインフレは全く収まっておらず、市場関係者は年内にまた利上げがあるとみています。ここで気になるのが、連動して上がる住宅ローンの変動金利です。不動産経済研究所によると、東京23区で11月に発売された新築マンションは平均1億2420万円です。「なかなか手が出ない」という状況になっていますが、最近は夫婦ペアローンや50年ローン、車のような残価設定型住宅ローンまであります。「残クレアルファード」ならぬ「残クレマイホーム」です。年収上限めいっぱいでローンを組むと住宅ローン破綻のリスクも高まります。多少金利が上がっても対応できるように、くれぐれも余裕を持った返済計画を立てて欲しいと思います。2026年、全体として言えるのは、インフレの影響で「持てる者」と「持たざる者」の格差が残酷なまでに開いていくということです。株や不動産を持っている人たちは、インフレで資産を膨らませ、ますます豊かになっていきます。少ない額からでも新NISAでコツコツ積立投資をするなど、本格的なインフレ時代の突入に備えて頂きたいと思います。

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