26.01.21
2週ぶりに値下がりでも高値が続くコメの価格…今後の見通しは?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「2週ぶりに値下がりでも高値が続くコメの価格…今後の見通しは?」
吉田:農林水産省は先週金曜日、全国のスーパーおよそ1,000店舗で1月5日〜11日に販売された米5キログラムあたりの平均価格が、前の週より149円安い4,267円だったと発表しました。2週ぶりに下落したものの、4,000円台の高値が、去年、2025年9月以降、続いています。塚越さん、米の価格の現状を詳しく教えてください。
塚越さん:お話にありましたけど、まだまだ高いですよね。1月5日〜11日に販売された米5キログラムの平均価格は税込み4,267円と、前の週より149円安くなりました。依然として高いですよね。農林水産省によりますと、今回は通常とは異なる年末年始の時期でしたので、このまま下がるかどうかは見通せないとしています。ただし、全体の値下がり幅が100円を超えたのは、政府が随意契約に切り替えて備蓄米を放出した、2025年6月後半の値段が100円以上下がったとき以来となります。備蓄米放出の決定は2025年の2月でしたが、実際に2,000円くらいの備蓄米が出たのは2025年6月でした。ちなみに、このときは7月になると平均価格が3,500円まで下がりました。その後、石破政権では米の増産に舵を切ると表明されました。高市政権になって2025年10月、元農林水産省の官僚でもあった鈴木農林水産大臣が就任すると、いろんな要因はありますが、「需要に応じた生産」、簡単に言えば元の方針に戻ったこともあって、結局高止まりが続いています。他にも様々な要因がありますが、流通経路が複雑なこともあり、要因が見通せないところもあります。この流通経路を可視化しないと全体像が掴めないのです。農林水産省は調査対象を拡大する方針をとっているのですが、なかなか時間がかかっているところです。
吉田:米の価格、このまま下がっていくのでしょうか?
塚越さん:公益社団法人の「米穀安定供給確保支援機構」の調査によると、今後は価格が安くなる見方が強くなっているということです。また2025年度産の米は前年よりも大幅に増えたとみられていて、米の卸の大手によると在庫は例年より3割程度多いということです。一方、すでに高い値段で仕入れた業者としては、安売りは損になるのでまだ価格を下げていないともみられていて、ここが高止まりの原因になっているとみられます。在庫が増えていることや、3月は多くの企業で決算になるので、それまでに在庫を整理しておきたいという点もあると思います。さらに、3月は気温が高くなる前に米を低温倉庫に移す時期ということで、そうすると保管料などの経費もかかるので、それまでには売っておきたいと考える業者もいるということです。これらをまとめると、「できれば売りたいけど、高値で仕入れたので損切りはできない」というのが現状でしょう。今は業者が様子見合いをしている感じだと思います。先程の話を踏まえると、3月に向けては安くなっていくものと思われます。また今も過剰在庫の整理なのか、ときおり市場価格より安い値段で米がスーパーに並ぶことがありますが、これも様子見しながら市場に出している感じだと思います。
ユージ:米の価格の高値が続いていること、塚越さんは、どうご覧になっていますか?
塚越さん:3月を目処に安くなるといっても、現時点ではやはりまだ高いですし、生活必需品だからこそ「安くなるのを待つ」というのも難しいですし、そうなってはよくないですよね。米問題は2024年から議論になっていますが、根本的な解決にはなっていません。日本銀行が発表した2025年の「企業物価指数」という、企業間で取引されるモノの価格の指数で、農産物は前年比36.9%も上昇していて、他を圧倒します。これは米の影響が強いんじゃないかと言われている。こうした物価高や米政策についても、選挙となれば私たちも考えるべき争点のひとつだと思います。また、2026年の米作りに関しては、2025年に比べて生産を抑制する見通しが示されています。2025年が多かったための調整ということですが、そうなると、たとえ政府の想定基準を超えていたとしても、再び米不足に陥る可能性はありますよね。私個人としては、輸出を視野に入れた石破政権での「米増産」という舵取りは、良かったように思います。もちろん今、農家さんは価格のことで大変なので調整はありますが、とはいえ全体で考えてみると、国の舵取りとしてどちらの方向に行くのかを、もう一度捉える必要があるでしょう。お米券の話も出ましたけど評判は悪いですよね。今回選挙にもなりますので、どこまで争点になるか分かりませんが、米という観点から情勢を見ておくことは重要かもしれないですね。