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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.01.22

家計から見る衆議院選

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『家計から見る衆議院選挙』


吉田:高市総理が、月曜日に衆議院の解散を表明しました。明日の通常国会で解散、総選挙は1月27日公示、2月8日投開票です。そこで今朝は、各党の政策、生活への影響を考えながら、投票先を考えるポイントをお届けします


ユージ:塚越さん、まず各党の減税政策はどうなっていますか?


塚越さん:やっぱり注目されているのは減税、中でも『消費減税』ですよね。今のところ、大きくわけると4つのスタンスがあるかなというところです。1つ目は、『自民党』と『維新の会』、要するに与党が掲げているもので、食料品の消費税を2年間に限りゼロにするというものです。2つ目は、立憲民主党と公明党の新党『中道改革連合』が掲げるもので、食料品の消費税ゼロを恒久的にめざす案です。3つ目は『国民民主党』の掲げるもので、食料品に限らず消費税を当面の間一律5%に下げる案。最後は、消費税そのものを廃止する案で、速やかな廃止を掲げるのが『れいわ新選組』。まず一律5%に下げてから廃止するのが『共産党』。『参政党』も段階的に廃止するといった案です。他にもいくつかありますが、全体としては減税のスタンスは変わらず、内容が4つくらいのバリエーションがあるというところですね。


吉田:その上で、問題となるのが財源ですよね?


塚越さん:はい、そうですよね。食料品の消費税ゼロにすると、年間でおよそ5兆円の財源が失われるということなんですけれども、例えば、自民党は、高市総理が補助金や租税特別措置の見直しとか、税金以外の収入を充てると述べていらっしゃるんですね。特に、特例公債、つまり、“赤字国債の発行には頼らない”ことを強調して、財政規律に配慮をみせています。とはいえ、詳細については今後…という感じですね。他にも、中道改革連合からは、政府系の投資ファンドをつくって、活用されていない基金や国のお金を運用させて、その利益で埋めるという案が出ています。これ例えば、私たちが積み立てている年金を管理・運用する『GPIF』という独立行政法人が実際に非常に高い運用益を出しているんですね。じゃあ、こういうことをやればいいじゃないか!という話なんですけれども、国のお金をどこまで運用していいのか?と、運用だって間違えることもありますし、失敗してしまうリスクもあります。いずれにしてもすぐにできる話ではないですよね。国民民主党も様々な資金の運用で埋めましょうと言っていますし、共産党は大企業や高所得者からの税の強化などを掲げているところなんですけど、これらも全体としての詳細はこれからというところです。


ユージ:減税は物価高対策の“特効薬”なのでしょうか?


塚越さん:特効薬かどうかは、価値観にもよりますが、わかりやすい部分はあります。例えば、平均的な4人家族だと年間6万4000円程度負担が減るといった試算もあるので、子育て世帯や所得の低い世帯には特に恩恵があります。一方で、消費税はすべての人に公平にかかるので、高所得者にも恩恵がいくという批判もあり、例えば、火曜日に配信された日経新聞の社説では、低所得者層に絞った『給付付き税額控除』の実現を急ぐ方が筋だと主張しています。また、これで国民の消費が増えて景気が良くなるのならいいのですが、昨今の物価上昇がこれで止まるわけではないので、財政悪化やそれに伴う金利上昇、円安が止まらなければ、どこまで効果が期待できるかについては、ちょっと難しいところもあるし、判断が分かれるところかなと思います。


吉田:税収減以外の課題も挙げられていますよね?


塚越さん:そうですね。まず、高市総理は去年、食料品だけゼロにするとレジや経理システムの切り替えにコストがかかると指摘していました。今でも、そういった点はあると思います。昨日も話しましたが、飲食店は10%の消費税がかかるので、外食産業のダメージが懸念されます。それに加えて、ちょっと難しい話なので手短に言うと、飲食店では仕入れの時に支払う消費税がゼロになりますが、その分が控除されなくなります。一方で、外食の売上には10%課税されると、差し引きして納税する額が増えるケースもありえる、つまり、飲食店にとっては税制の面でも不利になる可能性があるという指摘もあるので、こうした点がもし本当になるなら、なんらかの調整が必要だと思います。


ユージ:衆議院選挙で投票先を考えるポイントはなんでしょうか?


塚越さん:今回、減税という意味では、あまり変わらないんですよね。そこのバリエーションになってくるので。ただ、サプライズ解散の側面が強いので、今、ご説明してきましたけれども、これからより詳細が出てくると思いますので、私たちも細かく見ていって、自分が何が大事なのかをまず見る必要があるのかなと思います。あとは、昨日、アメリカのベッセント財務長官が日本の長期金利が上がって危ないという、危惧する発言もあったりしたので、選挙を前に日本の財政についてもちょっと気にしていく必要があるのかなと思います。

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