26.01.29
続編が見られなくなる…漫画・アニメの海賊版被害拡大

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『続編が見られなくなる…漫画・アニメの海賊版被害拡大』
吉田:経済産業省は、漫画やアニメ、キャラクターグッズが、オンライン上で違法に配信・販売される『海賊版』について、2025年の被害額の推計が10兆4000億円に上ると調査結果をまとめました。そこで、漫画・アニメの海賊版被害について塚越さんに解説いただきます。
ユージ:漫画やアニメなどの海賊版被害10兆円超えてるんですね…。
塚越さん:額だけ聞いてもとんでもないことですよね…。例えば、アニメやゲームといったコンテンツの海外売上、つまり、輸出額は2023年度で5.8兆円なんですよね。政府も基幹産業と位置づけるくらい大きなものなんですが、被害額はその売上を超えてしまっています。また、去年の外国人観光客の消費額は速報値でだいたい9.5兆円なので、こちらも額だけみればインバウンド消費を超えているということです。もちろん、海賊版を利用した人が正規版なら全員がお金を払っていたとはなかなか言えないわけですけれども、とはいえ、本来のルートで作者や制作会社にお金が届いていたら、日本のアニメや漫画、ゲームはもっと産業として大きくなっていますし、現場の待遇改善にもつながりますよね。この調査は出版社や映像大手が加盟している、一般社団法人『CODA(コンテンツ海外流通促進機構)』が日本やアメリカ、中国やベトナム、フランスの消費者にアンケートして、その結果から被害額を推計したものです。被害の内訳としては、漫画などの出版が2.6兆円と2022年と比べて3倍になっています。他にも映像が2.3兆円、ゲームが5000億円、音楽が3000億円、また、今回から初めて調査したフィギュアやプラモデルといったグッズが4.7兆円と、合計で10兆円を超えると推計されています。
吉田:では、どんな海賊版が出回っているのでしょうか?
塚越さん:だいたい3つのパターンがあります。まず一つ目は、タダで見られる、ゲームがプレイできるといった、ある意味、昔からあるタイプです。簡単にいえば、違法サイトでアニメや漫画を丸ごと配信して、独自に字幕などをつけるものもあります。日本でも『漫画村』といった違法サイトが問題になりましたよね。これに加えて、ゲームのコピーや改造したROM、課金データがついた改造アカウントを配布したり、販売するケースもあり、違法な業者が儲けることになりますが、こうしたものはウイルス感染などのリスクもありますので、絶対に手を出してはいけません。二つ目は、粗悪な偽グッズですね。公式に無許可で作られたフィギュアやアクリルスタンドにキーホルダーですね。公式のイラストを無断で印刷したものなどがあって、安い場合が多いですが、正規品と同じ価格帯で売られるケースもあるということで、見分けがつきづらいというのが問題ですよね。最後三つ目は、AIを使った新しいタイプのものです。人気のキャラクターにそっくりのAI画像などが出回るということですけれども、元作品を無断でAIに学習させている可能性もあるということで、これは使い方にもよりますが、悪用している場合は広く捉えて海賊版といえるので今後は法整備も含めての課題ですね。全体として海賊版が広がっている背景には、AIによって翻訳や偽グッズの設計が簡単になって流通が加速したことがあります。日本アニメは世界的に人気が拡大していますが、特に正規版の販売が追いついていない地域で海賊版が増えている側面もあるということで、正規版を世界全体に販売する体制を整えるといった課題もあるかなと思います。
ユージ:対策はどうなっていますか?
塚越さん:経産省によると、漫画の被害はベトナムで多く、グッズは中国で多いということで、経産省は2025年度の補正予算に350億円を計上して、現地当局と連携する拠点をベトナムに新設して、海賊版対策や訴訟体制を強化したり、日本の正規版の漫画を配信する、海外向けのプラットフォームを作って普及支援するということです。また、一般社団法人『CODA』は海外当局と連携して、有名な海賊版アニメサイトの運営者を中国で刑事摘発させるといった、国際的な取り締まりを実施しています。調査によると、一人当たりの海賊版の消費数自体は減っていますが、日本のコンテンツに触れる人が多くなったので被害額が増えているということで、メーカー側も正規品の証明シールを貼るなど、見分けをしやすくする取り組みをしていますし、配信プラットフォームなどをどんどん作っていって、お金を払えば公式で簡単にいろいろ楽しめますよといった努力をメーカー側もしていく必要があると思います。
吉田:アニメや漫画のファンである私たちができることはなんでしょうか?
塚越さん:やっぱり、公式と海賊版の見極めも難しくなっているので、オークション・フリマアプリなどで不当に安いものは、おかしいよね?と気を付けていくとか、公式かどうかを見極めるのは大事です。今回は海外の話が多かったですが、日本国内でも、日本人が海賊版に触れることもあるので、「それは、よくないよ!」と伝えるのも大事ですよね。
吉田:そうですよね。ちゃんと公式のものを買うとか、ちゃんとした形で見ることが、2期とか3期とか次につながると思うので、正式に推し活しましょう!