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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.02.02

働き過ぎを防止!勤務間インターバル制度とは

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【働き過ぎを防止!勤務間インターバル制度とは】

ユージ:トレンドネット、今週はスペシャルウィークということで「およそ40年ぶりの労働基準法大改正。働き方、どう変わる?」と題して、私達にとって身近であり、大切な「働き方」について月曜から木曜まで、様々な切り口で深掘りしていきます。初日、月曜日のテーマは、「働き過ぎを防止!勤務間インターバル制度とは」です。


吉田:およそ40年ぶりとなる労働基準法の改正に向けて議論が進んでいます。高市早苗総理が打ち出した労働時間規制緩和の方針を受けて、厚生労働省は通常国会への法案提出を見送りましたが、実現した場合、職場への様々な影響が予想されます。そんな大改革の中から、今朝は働き過ぎを防ぐ為の「勤務間インターバル制度」や連続勤務の規制について取り上げます。まずは、勤務間インターバルとはどういったものなのか?神庭さん、教えて下さい。


神庭さん:これは「退社してからまた出社するまで、一定時間は休みましょう」という仕組みです。退勤から出勤までの休息時間、インターバルをしっかり確保することで、働く人の健康や睡眠時間を守り、働き過ぎや過労死を防ぐ為のものです。2018年に働き方改革関連法が改正され、事業主の努力義務が定められました。政府は、勤務間インターバルの導入企業を2025年までに15%以上に引き上げることを目指していましたが、厚労省の調査ではたった6.9%に留まりました。あくまで努力目標であって、守れなくても別に罰則はないです。78.7%の企業が「導入予定はなく、検討もしていない」と回答するなど、浸透しているとは言い難い状況です。そこで、法改正によって義務化できないかという話が出ています。


ユージ:具体的に何時間インターバルを取ればいいでしょうか?


神庭さん:冒頭でお話があったように、通常国会への法案提出は見送りになったので具体的なことはまだ何も決まっていないですが、有力視されているのは「11時間」という数字です。先行するヨーロッパでは、EUやイギリス、ドイツ、フランスが最低11時間の勤務間インターバルを義務付けています。韓国でも一部業種で11時間のインターバルを設けています。


ユージ:日本も同じように11時間のインターバルを導入したとして、これはどういう風に変わると思いますか?


神庭さん:具体例で説明すると、いつもは9時出社、18時退社の会社員が23時まで残業したとします。会社の近くで遅い晩御飯を食べて、終電で帰って、ベッドに入ったのが午前2時。翌朝も9時出社だとしたら、7時には起きないといけないので、睡眠時間は5時間しか取れないです。これが、11時間の勤務間インターバルがある世界線だと、23時の退社から少なくとも11時間あけないといけないので、翌朝の出社時間はどんなに早くても10時以降ということになります。睡眠時間が1時間増え、通勤ラッシュも避けられる。疲れが取れた分だけ、仕事の生産性もアップするかもしれないです。


吉田:他にも、過労を防ぐ為に連続勤務日数の規制強化を求める声もあるのでしょうか?


神庭さん:労働基準法では、労働者に毎週1回の休日を与えるのが原則になっています。ただ、例外もあって「4週4休」といって4週間に4日休めばOKな変形週休制の職場だと、休日を固めることで理論上は最長48連勤という無茶な働き方もできなくはないです。厚労省の資料によると、精神障害の労災認定で「2週間以上に渡って連続勤務を行った」ことによるストレス強度は全項目の中で18位にランクインしています。連続勤務は労働者にとって大きなストレスで、精神障害や過労死の原因にもなりかねないです。そこで、現在の4週4休の特例を2週2休に改め、労働基準法に「13日を超える連続勤務をさせてはならない」旨の規定を設けるべきだという意見が出ています。


ユージ:課題は何でしょうか?


神庭さん:最大の課題は、企業側が対応できるかという点です。人事システムを提供するjinjer株式会社の調査によれば、労働基準法改正にあたって、44%の企業が「勤務間インターバル制度の義務化」への対応が最も難しいと回答しました。また、もし「14日連続勤務」が発生しそうになったとしても、73%の企業が事前に検知できないことが分かりました。社員が勤務間インターバルや連勤規制に気付かず、働き過ぎ状態になってしまいそうな場合、企業の側はリアルタイムで気付いてアラートを出さないといけないです。ところが、中小企業にはそういった対応ができる人事システムがなく、未だに手作業で人事情報を入力している会社も少なくないです。


ユージ:これはどうしたらいいでしょうか?


神庭さん:「法律変えるから後は宜しく」ではなく、人事システムを刷新して新しくシステムを導入する企業に、助成金を出すなどの後押しも政府としては対応することが大切だと思います。あとは、一気に厳格化した場合、勤務間インターバルを取った「ことにする」、連勤してない「ことにする」ような「ヤミ・インターバル」や「サービス連勤」みたいなことが見えない所で横行する可能性がある訳です。とりあえず「やったことにすればいいんでしょう?」みたいなことになる可能性もあります。そうならないようするには、しっかりと罰則を設けて実効性を担保した上で、充分な周知期間を設けていきなり変更せず、移行期間を設けてもいいと思います。特に中小企業には配慮が必要だと思うので、そういった形でスムーズに進めていくことが大切だと思います。

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