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26.02.09

衆院選で圧勝!高市政権を待ち受ける「3つの壁」

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【衆院選で圧勝!高市政権を待ち受ける「3つの壁」】

吉田:「第51回衆議院議員総選挙」は2月8日に投開票され、自民党は公示前から大きく伸ばして単独で3分の2を超える、315議席に対して圧勝しました。そこで今朝は、選挙後の高市政権を待ち受ける「3つの壁」について神庭さんに解説してもらいます。歴史的な大勝利で向かうところ敵なしに見えますが、壁はあるのでしょうか?


神庭さん:これは実はあるんです。まず1つ目は「民意の壁」です。高市総理は食料品の2年間の消費税ゼロが「悲願」であり、「国民会議で検討を加速する」と述べました。そこに期待して票を投じた有権者も多いと思いますが、財源が不安視されています。消費税に関しては2つのシナリオがあると思います。1つは約束通りに下げるパターンです。この場合、財政は悪化し、円安とインフレも加速します。そして、2年後に「もう1回税率を引き上げます」という時に民意の大反発が予想されます。2年後の2028年には参院選があります。世論を押し切って「果たして税率を戻せるのか?」「選挙に勝てるのか?」という問題が起こります。


ユージ:これが1つ目。もう1つのシナリオは何ですか?


神庭さん:もう1つは「TACOってやめるパターン」です。もともと消費減税の公約は、野党との間の争点を潰すことが狙いの1つでした。「検討を加速したけどやっぱりやめました」とうやむやにする作戦もやれなくはないです。これだけ勝ちましたから、勝てば官軍で野党が何を言おうと知らぬ存ぜぬ、数の力で押し切れます。とはいえ、消費減税に期待して票を投じた有権者も大勢います。こちらのシナリオだと、財政規律が守られるが当然、民意は離れて支持率も下がります。世論の反発がすぐ来るか、2年後に来るのか。どっちにしても民意が壁として立ちはだかってくるということです。


吉田:高市政権を待ち受ける壁。2つ目の壁は何でしょうか?


神庭さん:これは「マーケットの壁」です。株は爆上がしていますが、円安が進み、金利も上昇しそうです。1月下旬、自民や中道など各党が消費減税を打ち出したことを受け、財政悪化への懸念から国債の価格が急落しました。40年物の国債利回りは一時4.215%をつけ、過去最高を記録しました。ブルームバーグによると、資産運用会社のバンガードは「財源の裏付けのない財政支出には限界がある」として、超長期国債の持続的な買い入れを停止しました。さらに円も売り込まれ、一時は1ドル=159円台前半まで下落しました。ここで颯爽と現れた救世主がアメリカのベッセント財務長官です。今回の選挙の主演女優賞は間違いなく高市さんですが、助演男優賞はベッセント長官です。


ユージ:どういうことでしょうか?


神庭さん:円安是正の為に日米が連携してレートチェックを行ったとみられ、1ドル=159円台から152円台前半まで一気に円が上昇しました。レートチェックというのは為替介入の前段階で、中央銀行が民間銀行に為替の水準を問い合わせることです。当局から「今、ドル円いくらですか?」と聞かれたら銀行はブルって為替介入があるんじゃないかと警戒します。しかも今回、日銀だけでなくアメリカのFRBも協調したことで市場に本気度が伝わり、一気に円高に振れたわけです。いくら人気の高市さんと言えども、選挙直前や選挙期間中に1ドル160円まで下落したら円安批判は免れないです。ベッセントさんが助演男優賞というのはそういうことです。トランプ政権の意図としては「時間稼ぎしてやるから選挙頑張れよ」ということだと思いますが、あれだけディール大好きな人達が無料で出血サービスしてくれるとは思えず、後日どんな請求書が届くのか怖いです。


ユージ:確かに何かしら請求書が来るかもしれませんね。それにしてもレートチェックの効果はすごいですね。


神庭さん:残念ながらその後、高市さんの「円安ホクホク」発言でレートチェックの効果が半減しました。円安を容認していると受け止められ、再び円売りが進みました。みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト唐鎌大輔さんは選挙期間中に「高市演説を受けて〜危うい現状認識〜」というレポートを出し「円安で国内投資が増える」という考え方について「前時代的な発想」と指摘しました。「マーケットの壁」って非常に厄介で、市場は何も忖度してくれない訳です。高市さんは「補正予算頼みの予算編成をやめる」と言っています。そういう改革をガンガン進めて、市場の信頼を取り戻して欲しいです。


吉田:3つ目の壁は何でしょうか?


神庭さん:これは「身内の壁」です。選挙戦のさなか、週刊文春が高市事務所の内部資料を入手したとしてスキャンダルを連発していました。事実なら高市さんの身内から情報がダダ漏れしていることになるので「大丈夫かな?」と心配になりました。「円安ホクホク」などの発言を見ていると、高市さん周辺の経済ブレーンの質も心配です。もっと片山財務大臣の知恵を借りて、責任ある積極財政の「責任ある」の部分を強化した方がいいと思います。みずほの唐鎌さんのように、耳の痛いことを言ってくれるエコノミストを招聘して身の回りに置いておくことも大事だと思います。「アベノミクスの生みの親」と言われるイェール大学の浜田宏一さんのように、リフレ派の中にも傾聴すべき発言をしている方がいます。そういった意見も参考に、市場との間で丁寧なコミュニケーションを重ねて欲しいですし、うっかり発言を避けてしっかり防御していって欲しいと思います。

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