26.02.11
仕事を効率化する生成AIの使い方

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『生成AIのヘビーユーザーほど残業時間が長い…仕事を効率化する使い方は?』
吉田:パーソル総合研究所の調査で、生成AIの利用者のうち、業務時間が減少した人は、およそ25%、4人に1人にとどまったことが分かりました。また、生成AIの利用頻度が高い「ヘビーユーザー」ほど、残業時間が長いことも分かっています。塚越さん、こちらの調査結果について、詳しく教えてください。
塚越さん:今回の調査は全国3,000人の正規雇用者に行ったもので、まず、大枠でいうと、仕事で生成AIを使っている人は全体の32.4%、およそ1,840万人ぐらいということです。都市部だと4割を超えていて、逆に地方だと2割台の地域もあるということで地域差でばらつきはあるといった感じです。利用者でいうと、20〜30代や管理職などに多く、30代以上の女性や高齢層で低く、世代や性別の利用にも差がみられました。調査を詳しくみていくと、まず生成AIの利用者は、調べ物や文章作成など、AIを活用したタスクは平均して16.7%の業務時間を削減できたと回答しています。ですが、業務時間全体が減ったと答えたのは25.4%でした。どういうことかというと、AIを使ったタスクで仕事時間は減っているのに、全体の仕事時間が減ったのは25%程度ということで、思ったより減っていないのかなといったところです。もっとみていくと、AIを週4日以上使っているヘビーユーザーの週の残業時間は平均8.34時間なんですが、週に1〜3回のミドルユーザーだと7.79時間、月に数日以下のライトユーザーは5.08時間と、AIを使う人ほど残業が多くなっちゃってるんですね。さらに、AIを使わない人の残業時間は4.99時間と、つまり、AIの利用者よりも残業が少ないということで、逆にAIを使ってる人の方が残業が多いということがわかったんですね。
ユージ:なんでなんだろう…?
塚越さん:そう、なんでなんだろう?ということなんですが、調査をもっとみていくと、生成AIで業務時間を削減できたと答えた人の中の61.2%の人が、「空いた時間で仕事をする」と答えています。つまり、AIを使って早く仕事を終えると、空いた時間でもっと仕事をしちゃうということなんですね。実際、業種や職種、職位の違いをならして分析しても同じ傾向で、全体としてAIは、業務時間を短縮する層よりも、もともと残業時間の長い層で多く使われている可能性が指摘されています。つまり、もともと残業時間が長い人がさらに使っているわけで、これはちょっと問題かなと思います。
吉田:この調査結果、塚越さんは、どのようにご覧になりましたか?
塚越さん:一言で言えば「空いた時間でもっと仕事する問題」が可視化されたと思います。これは私が「タイパ沼」と呼んでいる現象に近いかなと思います。どういうことかというと、私はNetflixの動画とかを1.5倍で見ちゃうんですよ。そうすると普通より早く見終わるじゃないですか?それで何するかというと、さらに別の動画を見るんですよね。同じような人も多くいると思うんですけど、これと同じなんじゃないかなと思います。空いた時間にさらに仕事をしちゃう人が6割ぐらいいるということですが、具体的な業務としては「日常業務」が75.4%と、空いた時間で日常の仕事をしてるんですね。一部の人がもっと残業をしてしまったり、日常業務が多いのは問題とパーソル総合研究所は指摘していて、日常業務よりももっと業務改善などに時間を振り分けたり、詳しい人にAIを丸投げして偏るのではなく、組織的なインフラをつくることを提案しています。「AIは使えない」とか「AIが仕事を増やす」ということではなくて、どうやって企業全体で生成AIを使うかが問われていると思います。
ユージ:塚越さんは、生成AIを使っていると思うんですけど、仕事でも使っているんですか?
塚越さん:毎日使っていますよ。『ChatGPT』と『Perplexity』をよく使っていますね。ワンモで話す内容も、基本は自分で書きますが、最終的なファクトチェックとか、もっと良い論点を出してもらったりしています。なので、実は仕事量は減らないんですよ。だけど、クオリティは上がったと私は思っています。AIはより突っ込んだ論点なども出してくれるので、クオリティは上がって、基礎的な調べ物は時間削減につながりますけど、会社で使うなら使い方の設計は大事だと思いますね。
ユージ:仕事で生成AIを使うとき、自分の個人情報など具体的なことを入力すると精度が上がるということですが、それは良いのでしょうか?
塚越さん:確かに精度は上がりますが、そこは問題ですよね。会社用のビジネスアカウントを使うと個人情報など入力したデータなどは学習に使わないという契約にあったりするので、会社で一度決めた方がいいと思います。社員個人が勝手に使っちゃって…とかあるので、会社全体で決めてルール化していくのがいいと思います。
ユージ:会社内でしっかり整備していくことが大事ですね。