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26.02.17

選挙戦でも注目、外国人政策の行方

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


「選挙戦でも注目、外国人政策の行方」

吉田:共同通信によりますと、衆議院議員総選挙に言及したXの投稿のうち、「物価高・消費税」に次いで多かったのが「外国人政策」に関するもので、45万件もの投稿が集まりました。そこで今朝は、外国人政策への関心が高まる背景や課題について、神庭さんに解説してもらいます。


ユージ:明日、第2次高市政権が発足する見通しですが、外国人政策ではどんなことに力を入れていくと言っているんでしょうか?


神庭さん:1月23日に高市政権が取りまとめた外国人政策によりますと、大きく以下の4点を実行していくことになりそうです。1つめが「在留資格審査の厳格化」。社会保険料や税金の支払いをしているか確認を徹底する。日本にとって「好ましくない外国人」を、航空会社と連携して空港から退去させる。2つめが「特定技能・育成就労制度」の見直し。いま在留中の人数も含めた受け入れの上限を設定し、従来よりも減らす。3つめ「土地取得に関するルールの検討」。安全保障の観点から、外国人の土地取得等に関する規制を8月までにとりまとめる。国境離島以外で所有者が定まっていない土地の国有化を検討する。最後に4つめ「帰化要件の厳格化」。原則として10年以上在留することを求め、日本社会に融和していることが必要だというふうにする。こういったところを進めていくということなんですね。


ユージ:以前より厳格にしていこうという印象を受けますね。課題は何でしょうか?


神庭さん:社会保険料や税金の未払いなどは外国人・日本人、関係なく厳しく対応すべきだと思いますし、あとは安全保障のための土地取得規制の強化や、帰化要件の厳格化もどんどんやったらいいと思うんです。一方で気になったのが、政策を紹介するページに書かれた「自民党・政府はいわゆる移民政策を推進していません」という言葉なんですね。政府はずっと「移民じゃありません。実習生です。特定技能です。育成就労です」というふうにごまかしながら、事実上の移民政策をとってきました。覚悟や責任のないままに、ぬるっと移民を進めてきた結果、様々な問題が噴出して、かえって反移民感情を強めてしまったんですね。そこへの反省がないままに外国人政策を進めてもうまくいかないんじゃないかなという気がしていて。過去の政策のどこに問題があったかというのをきちんと認めたうえで、未来への処方箋を考えるべきではないかなと思います。


吉田:外国人政策をめぐって、神庭さんが最近気になっているニュースは何でしょうか。


神庭さん:AERA DIGITALの『インドカレー店はあと3年で激減、新大久保は「廃墟」になる? 経営・管理ビザ「厳格化」でレストランが直面する理不尽』という記事が興味深かったですね。2025年の10月、日本で起業する外国人経営者向けの「経営・管理ビザ」の要件が厳しくなりました。これまでは500万円の資本金があれば良かったのが、一気に「3,000万円以上」に引き上げられたんですね。中国の方が経営・管理ビザで日本にやってくることが急増しまして、中にはペーパーカンパニーをつくってビザを悪用しているようなケースもありました。それでルールを厳格化したら、ビザ更新の費用を用意できないインド・ネパール料理店が存続の危機に陥ってしまったという話です。


吉田:本来の狙いと違うところで副作用が出てしまったという感じでしょうか。


神庭さん:まさにおっしゃるとおりで、逆にお金を持っている中国の方々にとっては、500万円が3,000万円になったところで大して痛くないというところです。AERAの記事の中で、『カレー移民の謎』の著者である室橋裕和さんは、このように分析しています。「経営・管理ビザの取得要件の厳格化は、本来の目的であった中国人の移住の抜け穴をふさぐことにはほとんど効果がなく、日本で真面目に飲食店や零細企業を営むネパールやタイ、ベトナムなどの人たちを直撃しています」ということで、これじゃ本末転倒ですよね。世界中の美味しいものが気軽に食べられるのが日本の魅力の1つなのに、それが失われてしまうのは残念だと思います。実態のないペーパーカンパニーを摘発するとか、もっと本質的な対策を急ぐべきじゃないかなと思います。


ユージ:選挙も含め、外国人政策がこれだけ注目を集める理由はどこにあるのでしょうか。


神庭さん:日本人が貧しくなったことが大きいのではないかと思います。1世帯あたりの平均所得金額は、1994年の664万円から2023年は536万円までダウンしました。もちろん高齢化の影響もあると思いますが、失われた30年の間に2割近くも平均所得が減っています。物価が上がって生活は苦しくなる一方、円安で外国人観光客がたくさん押し寄せる。外国人労働者も増えて、時には文化的な摩擦も起こります。そうすると、不安や不満のはけ口、わかりやすいぶつけ先として外国人政策が浮上してきているのかなという気がしますね。


吉田:そんな中、求められるのはどんな対策でしょうか?


神庭さん:忘れてはいけないのは、外国人問題は実は日本人問題の裏返しでもあるということですね。格差が拡大していること、人手不足、社会保障への不安などの日本社会の歪みが、鏡のように外国人問題に写し出されているわけです。決して「外国人を追い出せば全部解決する」みたいな乱暴な話ではないんですね。だからこそ、日本を再び豊かにしていくこと、現状に不安や不満を抱く人たちに対して「あなたたちのことは忘れてませんよ」ということで、しっかりケアしていくことが大切です。高市政権は外国人政策に関して「秩序ある共生」を掲げています。排除か、受け入れかの二項対立ではなくて、秩序ある形で共生を進めていく。その調整レバーをどこに置くかという部分で、高市総理の手腕が問われているのかなと思います。

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