26.03.30
共同親権や養育費「離婚のルール」は4月からどう変わる?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
【共同親権や養育費「離婚のルール」は4月からどう変わる?】
吉田:4月1日から改正民法が施行され、離婚後の子育てのルールが大きく変わります。そこで今朝は「共同親権」や「法定養育費」といった新たに始まる制度について、神庭さんに解説してもらいます。まず共同親権について、改めてどんな制度か教えてください。
神庭さん:親権というのは、子供を育てるために世話や教育をしたり、子供の財産を管理したりする権限・義務のことです。結婚している間は、父親と母親が共同で親権を行使しますが、問題は離婚した後です。これまでの民法では、離婚後は父親か母親のどちらか一方を親権者とする必要がありました。それが法改正で、父母の共同親権とすることも、どちらか一方の単独親権とすることもできるようになりました。
ユージ:これは選択肢が増えたっていうことですね?
神庭さん:そうです。絶対に「共同親権しなきゃいけない」というわけではなく、それ自体はよくある誤解で、共同親権が原則となるわけではないです。家庭裁判所が父母と子供との関係性などを考慮して、共同親権とするか、どちらかの単独親権とするかを決めます。ユージさんがおっしゃったように「選択肢が増える」ということです。既に離婚して単独親権のご家庭でも、法律が変わったからといって自動的に共同親権に切り替わるわけではないです。
吉田:では、どんな場合は単独親権になるのでしょうか?
神庭さん:法務省のパンフレットによると、こんなケースだと家裁は必ず単独親権にすると決まっています。1つ目は「虐待のおそれがある時」。2つ目は「DVのおそれやその他の事情で、父母が共同して親権を行うのが難しい時」です。ここでいう虐待やDVは殴る・蹴るなど身体的な暴力に限らないです。これ以外でも、共同親権とすることで子供の利益が害されるような場合は単独親権とすることになっています。
ユージ:共同親権のイメージが湧かない人も多いと思うのですが、具体的にどんな風に子育てをしていくのでしょうか?
神庭さん:何でもかんでも、父親と母親で相談しなくちゃいけないかというと、全然そんなことはないです。日々の日常的なことに関しては、子供と一緒に住んでいる親が単独で親権を行使できます。例えば「食事や服装の決定」「短期間の観光目的での旅行」「心身に重大な影響を与えない医療行為の決定」「通常のワクチンの接種」「習い事」「高校生の放課後のアルバイトの許可」。こういったことが、単独でできるということです。
吉田:結構、幅広く認められているんですね。ではどんな時は共同で決める必要があるのでしょうか?
神庭さん:それは「子供の引越し」「進路に影響する進学先の決定(高校に進学せずに就職するといった判断を含む)」「心身に重大な影響を与える医療行為の決定」「預金口座の開設など財産の管理」など、大事なことは2人で決める必要があります。ただし「DVや虐待から逃れる必要がある」「子供に緊急の医療行為を受けさせないといけない」「入試の合格発表があって入学手続きの期限が迫っている」といったケースは例外で、父母の一方が親権を行使できることになっています。
ユージ:共同親権のメリット。デメリットは何でしょうか?
神庭さん:メリットは、離婚後の子育てに両親が関与できることです。親が離婚しても、子供の親であることは変わらないです。父親と母親が子育ての責任を持ち続けることは、子供にとっても良いことだと思います。例えば、片方が「高校なんて行かなくていい。中学出たらすぐ働きなさい!」と主張したとして、もう一方が「いや、高校は出ておいたほうがいいんじゃないか?」と言うことで、進路選択に多様な価値観が反映される可能性もあります。デメリットは、その裏返しです。虐待やDV、モラハラを繰り返す毒親だったとしても、関係が続いてしまうリスクがあることです。そういうケースは単独親権にすることになっていますが、人間が制度を運用する以上、絶対はないです。虐待などを見落として共同親権にしてしまう可能性もあります。
吉田:養育費についても新しい制度が始まるそうですね。
神庭さん:はい。2021年度のひとり親世帯の調査によると、養育費を受け取っているのは母子世帯の28.1%で、父子世帯の8.7 %に留まります。こうした養育費の不払いを減らす為の仕組みが導入されます。これまで養育費の差し押さえには公正証書や調停調書などの「債務名義」が必要でした。4月からは養育費に「先取特権」と呼ばれる優先権が与えられ、債務名義がなくても父母の間で作った文書があれば差し押さえを申し立てられるようになります。さらに養育費の取り決めがなくても、子供1人あたり月2万円の「法定養育費」を請求できるようになります。支払いが滞れば差し押さえもできます。
ユージ:いろいろな制度が変更になる印象なのですが、神庭さんはどう思いますか?
神庭さん:法定養育費が2万円と聞くと少なく感じるかもしれないですが、これはあくまでも必要最低限の額です。父母が養育費について取り決めを交わすまでの暫定的なものです。不払い、ゼロ円よりはマシです。他にも離婚の際に夫婦で財産を分け合う、財産分与の請求期間が2年から5年に伸びるなどの変更もあります。結婚生活を送っているうちから「離婚後のことなんて正直考えたくないよ」っていう人が多いと思いますが、今回いろいろな変更点が加わっていますので、いざという時の為に、変更点を確認しておいて頂きたいと思います。