26.04.01
今月から始まる『子ども・子育て支援金』について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
【『子ども・子育て支援金』、4月から社会保険料に上乗せ…その負担額の目安は?】
吉田:政府は、今月から少子化対策の財源として、公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」の徴収を始めます。塚越さん、この「子ども・子育て支援金」について、あらためて教えてください。
塚越さん:これまでも何度か解説していますが、いよいよはじまります。この支援金は、少子化対策と子育て支援の拡充のための財源として、4月から医療保険に上乗せして徴収されます。金額は今年度は総額で6,000億円、来年度が8,000億円。そして再来年の2028年度には1兆円と、段階的に引き上げられます。
吉田:1人が負担する金額は、いくらなのでしょうか。
塚越さん:金額は加入している医療保険制度や年収によって変わりますが、こども家庭庁によりますと、会社員や公務員の方は2026年度は月額で、年収400万円だと384円、年収600万円だと575円が上乗せとなります。年間にすると数千円という感じですね。実際は5月の給料から天引きとなりまして、明細に「子ども・子育て支援金」と記載されるように、こども家庭庁が事業者に依頼しているということです。次に、自営業などで国民健康保険の場合は、一世帯あたり月額平均でおよそ300円ですが、国民健康保険は家族が増えると金額も増えるのですけれども、夫婦と子どもがいて1人が働いているケースだと、年収300万円だと月650円くらいになります。年収がもう少し高いケースで場合によっては年間で1万円になるケースも出ると思います。さらに75歳以上の後期高齢者医療制度に加入している人は、こちらも年収や居住地で異なりますが、ひとりあたり月額平均でおよそ200円です。これら2つの保険制度の加入者には、6月〜7月頃に通知書が送付されまして、具体的な金額や徴収開始時期が通知されることになります。いずれにせよ、今年度は月額数百円という感じですが、来年度、再来年度と徴収の最終的な額は上がるので、負担も増えてくるところです。実質賃金が上がらない中でボディーブローのようにじわじわと効いてくると思います。
ユージ:金額の違いはあれど、全ての世代から徴収した支援金は、どういったことに使われるんですか。
塚越さん:こちらは法律で使い道が決まっています。たくさんあるので、かいつまんでお伝えすると、まず児童手当の所得制限の撤廃と、児童手当を高校生年代まで延長する。こういうところで使われます。次に、妊娠時に5万円、出産時に5万円の計10万円の給付と、面談を3回行うことで、出産・育児の孤立化を防ぎます。また共働き世代の支援として、両親ともに育児休暇をとる場合は手取りの10割相当を支給。他にも育児の時短勤務者への支援だったり、保育所の利用や、自営業の人には国民年金や保険を1年間免除など、妊娠から親の金銭的支援まで幅広くあるという感じですね。
ユージ:いよいよ始まる「子ども・子育て支援金」。塚越さんは、どうご覧になっていますか?
塚越さん:この問題では、子どものいない人にはお金が取られるだけで不公平だという、いわゆる「独身税」批判もありますが、ちょっと違うのかなというところもあります。例えば、民間の有識者たちでつくる「未来を選択する会議」が最近、18歳以上の2万人を対象にした調査結果を発表していますが、人口減少に危機感を感じるという回答は、60歳以上で75.2%と高く、29歳以下でも62.9%と、やはり高い数字が出ています。人口減少が全員に関わってくる問題だということは、20代でも感じているということです。そうすると、子どもがいる・いないにかかわらず、国全体に関係してくることだと思われます。ただ、その上で問われるのは、この支援が本当に最適なのかということです。もちろん、先ほどの調査でも、夫の休日や育児参加が増えると第2子以降が生まれる確率が上がるといった結果も出ていますので、支援そのものは必要です。けれども、結婚した夫婦は平均すると減ってきてはいますが、2人前後の子どもを持つという傾向は維持されているんですね。そうなると、既婚の夫婦への支援はもちろん大事なのですが、少子化のより大きな原因は、そもそも結婚する人が減っているということなんです。今回の支援金は夫婦の方に支援しているわけですが、そもそも結婚に向けて動けない人が多くて、年収が低いと結婚しにくい、特に男性は年収が低いと結婚しにくいというデータも出ています。そう考えると、この「独身税」という批判は、結婚に対する意識というところから出ている問題とも思えます。そのため、結婚していない方への支援も必要で重要になってくるのではないかと思います。あとは「本当に効果があるのか」。これも何十年も前から少子化が叫ばれているのに、実際「このくらいのお金を入れたら、これだけの効果がありました」ということをデータで出さなければ、納得感は得られませんよね。徴収額だけが増えて効果が出ないとなれば、不安になり不満になるので、データをきちんと検証して示していくことが、政府に求められているというふうに思いますね。