26.04.02
『世界で広がる 子どものSNS規制』について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは情報社会学がご専門の、学習院大学非常勤講師 塚越健司さんです。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『世界で広がる 子どものSNS規制』について
吉田:去年12月、オーストラリアが世界で初めて16歳未満のSNS規制を施行。先週、インドネシアも東南アジアで初めて規制を導入しました。今日は、この世界的な子どものSNS規制の流れについて 塚越さんと考えていきます。
ユージ:塚越さん、子どものSNS規制が世界で広がる理由、これ何でしょうか?
塚越さん:去年のオーストラリアの法律以降、SNS規制は加速しています。背景にあるのは、やっぱり若者のメンタルヘルスへの懸念ということでサイバー上のいじめだけじゃなくて、性的・暴力的なコンテンツに接してしまったり、特に若い人はSNSで写真を見るとですね、特に女性はボディイメージについて悪影響がありまして、インスタグラムで超美形をいっつもいっつもみていると、なんだか自分が劣っているように感じてしまう、というわけですね。もうひとつ大きな問題は「依存」ということで、アルコール依存問題等にも取り組んでいる、国立久里浜医療センターの調査では、10代〜20代のSNSで「病的な使用」が疑われる、というレベルの人は、およそ140万人規模に達するという報告もあります。他の世代と比べても突出してるんですよね。これまでSNSやスマホは保護者、家庭が管理するというスタンスだったんですけれども、オーストラリアやインドネシアは、責任は保護者ではなくプラットフォーム企業であると位置づけるようになりました。こういうスタンスのもとにオーストラリア政府は去年成立した法律に違反の疑いがあるとして、InstagramやTiktok、YouTubeなど5つのプラットフォームについて調査してます、ということを今週月曜日に発表していますね。
吉田:去年の12月に世界初の規制を始めたオーストラリアでは、どんな影響が出ているのでしょうか?
塚越さん:世界初の試みなので、やっぱり気になるんですけど、まず、16歳未満が特定のSNSを使うことを禁止する法律が施行して数日以内で、16歳未満のアカウントおよそ470万件が削除や利用停止になったということで、多かったのはInstagramとかFacebookを所有しているMetaが大半ですね。ただ、実際には他の調査によると7割くらいの子どもはまだ使い続けているというデータもあったりするんですよね。じゃあまあポジティブなのかネガティブなのかどうなのかっていうとですね、イギリスの調査会社によると、保護者からは「家族の会話が増えた」というポジティブな報告がある一方で、抜け道使って相変わらずSNSを利用する子どももいるということがあった。とくにですねSNS禁止に関しては当初から、たとえばLGBTQなどのマイノリティの子どもなど、地元ではなくてSNSにしか同じ悩みを抱えた人がいないなんていう場合はですね、そうした人たちとのコミュニケーションが絶たれてしまうなんていう懸念も議論されてまして、SNSの良いところも規制される、というのはやっぱり課題なんですね。
ユージ:子どものSNS規制の動き、日本でもあるんでしょうか?
塚越さん:はい、今のところ具体的な規制案ていうのは出ていないんですが、高市総理も2月の国会で、「青少年を守る環境整備は重要なんだ」という方針を示していますし、こども家庭庁もですね、闇バイトや性的広告問題など、広く未成年のネット環境の整備を進める上で議論をはじめてまして、法改正については年末を目処に判断するとしています。ただ実際に規制するとなると、けっこう手段が難しいんですよ。マイナンバーカードを使った年齢確認ていうのがありますけれども、マイナンバーカードは義務じゃないなんていうこともあるじゃないですか。じゃあどこまで全員に普及させられるか、どこまで使っていいのということで、やろうと思っても、けっこうね、まだまだ課題はあるのかなというところですね。
吉田:SNSの規制は、今後も広がっていきそうですか?
塚越さん:大人も含めて、やっぱりいろいろ規制は必要なのかなというところで、先日もカリフォルニア州で、20歳の女性が子どもの頃から使ったInstagramや、YouTubeの依存的な設計でうつ病になったということでMetaとGoogleを訴えたんですけれども、まあ600万ドルの損害賠償が認められたんですよね。それ大きいですよね。これから控訴とかで続くとは思うんですけれども、こういった件もあるんで本人の意思の問題っていうよりも設計だろうと。制度設計の責任を問うっていうですね、そういった流れは世界的なのかなというところで子どもだけじゃなく大人も関係しているのかなと思います。私は常日頃から言ってるんですけど、スマホもそうですし、アプリって何兆円、何十兆円と稼いでる超巨大企業が作ってるじゃないですか。個人の意思じゃ勝てないよ、なのでやっぱり依存とかしないような設計をつくってくださいっていうのは必要ですよね。対応なかなか難しいんですけど、EUだとたとえば「透明性レポート」といって、企業がどういう責務を果たしたか、というのは毎年レポートを課している、ていうところもあるんですね。まあ日本も一部やってるんですけど、まだまだ限定的なのでもうちょっとやっていこうっていうところもあったりします。ただ規制強くなるとさっきも言ったようなデメリットの部分も出てきちゃうので、そこのバランスっていうのはこれからも重要なのかなと。もうひとついうとですね、規制すればするほどじゃあ会話が増えるかっていうと、家族の場所があるところだと未成年会話ができるんですけど、そもそもそういう場所がないからSNSにいくっていう根本の問題あるじゃないですか。これ大人もそうなんですよね。だからSNSに規制をするんであればその分「サードプレイス」っていいますけれども自由に話せる場所を社会全体でつくっていく。そしてまあ勝手にね、SNSの利用が少なくなるっていうバランスをこれからつくっていく必要があるんですね。