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26.04.27

武器輸出解禁、その背景と課題とは?

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番組コメンテーターと気になるニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長、神庭亮介さんです。
今朝のテーマはこちら!


武器輸出解禁、その背景と課題とは?

吉田:政府は21日、「防衛装備移転三原則」と運用指針を改訂しました。これにより殺傷力のある武器の輸出が原則的に解禁されることになります。そこで今朝は武器輸出解禁の狙いや課題について、神庭さんに解説してもらいます。まずは、武器輸出に関する政府の方針変更、具体的に何がどう変わるのか、教えてください。


神庭さん:政府はこれまで「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の用途に限って防衛装備品の輸出を認めてきましたが、この5類型を撤廃しました。これによって護衛艦や潜水艦、戦闘機、ミサイルなど、殺傷力のある武器の輸出が原則的に解禁されることになります。武力紛争で戦闘が行われている国への輸出は原則NGですが、日本の安全保障上の必要性を考慮して「特段の事情がある」と認められた場合は、例外的に輸出を認めます。これはアメリカを念頭に置いた規定とみられています。


ユージ:目的はなんでしょうか?


神庭さん:高市総理は「パートナー国からのニーズに応えて防衛装備移転を行うということは、同志国の防衛力の向上にもなる。紛争の発生を未然防止する意味もあり、日本の安全保障の確保になる」と話しています。


ユージ:これ、どこへでも輸出できる、ということですか?


神庭さん:そういうわけではなくて。中国やロシア、北朝鮮に自由に輸出できたらおかしなことになりますので。殺傷力のある「武器」と殺傷力のない「非武器」の2つに分類し、「非武器」に関してはどこへでも輸出できるんですが、「武器」の方には制約を設けます。アメリカやイギリス、オーストラリア、フィリピン、インドネシアなど日本との間で「防衛装備品・技術移転協定」を締結した17カ国に限定するということなんですね。


ユージ:さきほど、目的については、「日本の安全保障の確保になる」というお話がありましたが、具体的にはどんなメリットがあるんでしょうか?


神庭さん:メリットの1つ目は、「抑止力の底上げ」。他国と共同開発した武器については今回のルール変更の前から移転が認められていまして、オーストラリアに「もがみ型護衛艦」を輸出する計画も進んでいるんですね。今後は、共同開発に限らずパートナー国への武器輸出が可能になります。日本製の武器を持つ国が増えてくると部品をお互いに融通しあったり、整備・改修したりしやすくなるんですね。連携が深まることで、地域の抑止力アップにつながるのではと期待する声もあります。2つ目は、「日本の防衛力の維持」ですね。日本の防衛産業はこれまで自衛隊の内需頼りでした。日経新聞によれば、過去には需要低迷を背景に、生産設備や人員を縮小してきたという経緯があるんですね。これだと防衛力が空洞化してしまいます。平時に武器を輸出できるだけの生産能力を持っておけば、有事の際にそのリソースを国内向けに振り向けることができます。そして量産によって「調達コストを下げる」効果も期待されています。


吉田: デメリットはどんなところにありますか?


神庭さん:デメリットの1つ目は、「紛争の拡大に加担する懸念」です。もちろん抑止によって未然に紛争が防がれることもあるかもしれないが、かえって火に油を注ぐリスクもあります。例外とはいえ「特段の事情」があれば戦闘中の国にも武器を輸出できる、というのはとても問題。日本が提案、締結する武器貿易条約にはこんな規定があります。《通常兵器が平和及び安全に寄与し又はこれを損なう可能性、国際人道法・国際人権法の重大な違反等に使用される可能性について評価し、著しい危険性がある場合は、移転を許可しない》たとえば、アメリカによるイラン攻撃は、100人以上の国際法の専門家が国連憲章違反だと批判しています。こういう状況下でアメリカに武器を輸出した場合、武器貿易条約との整合性が問われてくるということです。2つ目のデメリットは「平和国家」としての「日本のイメージへの影響」です。


ユージ:どういうことでしょう?


神庭さん:宮沢喜一元総理は外務大臣時代の1976年、国会でこう言っています。「たとえ何がしかの外貨の黒字がかせげるとしても、わが国は兵器の輸出をして金をかせぐほど落ちぶれてはいない。もう少し高い理想を持った国として今後も続けていくべき」それからちょうど50年経って、高市総理はこんなふうに答弁しました。朝日新聞によれば「日本をとりまく情勢は厳しいものになってきている。時代が変わったと感じる」「お金をかせぐことが『落ちぶれたこと』だとは思わない」確かに時代は大きく変わりましたが、武器輸出は国論を二分するテーマでもあります。産経新聞の調査では「反対」「どちらかといえば反対」が合計58.5%を占めました。男性は賛成の方が多いが、女性は70.5%が反対しているということなんですね。


ユージ:武器輸出の解禁、神庭さんはどう考えますか?


神庭さん:メリット、デメリットありますが、私が違和感を抱くのは「決め方」の方なんです。日本の安全保障の大転換ですから、できれば閣議決定だけで済ませないで、国会で議論を尽くし、法制化も検討してほしかったと思います。自分の国は自分で守る。そのための防衛力強化は必要なんですけれども、日本がアメリカの「武器工場」みたいになることは避けないといけません。他国の戦争に無制限に巻き込まれないように、一定の歯止めが必要です。現状だと国会には事後に通知すればいいということになっているんですけど、少なくとも戦争当事国に輸出する場合には事前に国会の承認を求めるべきじゃないかと思います。アメリカにも議会に事前に伝える仕組みがありますから、参考にしたらいいんじゃないかなと思いますね。

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