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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.06.10

衆議院を通過した『個人情報保護法』の改正案…その問題点は?

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『衆議院を通過した「個人情報保護法」の改正案…その問題点は?』


吉田:先月26日に衆議院を通過し、国会で審議されている『個人情報保護法』の改正案。こちらについて、野党から問題点を指摘する声が上がっています。塚越さん、まずは個人情報保護法の改正案と、その問題点について、教えてください。


塚越さん:個人情報保護法の改正案は衆院で可決されて、現在は参議院に送られ、今の国会中に成立する見通しということです。今回、何が問題かというとですね、病歴や犯罪歴、思想信条といった、『要配慮個人情報』と呼ばれる重要な情報を、AIの開発や統計情報の作成といった、個人を特定しない目的で使うことに限定すれば、本人の同意なしに取得・提供できるようにするという点です。要配慮個人情報の取得は、今の法律では本人の同意が原則必要なのですが、これが緩和されます。具体的には、SNSなどで公開されている情報だったり、企業が保有している情報を他社に提供することも、目的が限定されていれば本人の同意なしでOKとしますが、これには住所や名前も入る可能性があります。一方で、違反した企業には課徴金制度を新設することで、1,000人を超える大規模な個人情報を不正に取得・利用した業者には、要するに制裁金が科される罰則がついているということですね。今回の法改正の背景には、AI開発でネット上の情報を大規模に収集・分析するために個々の同意取得が困難だったという問題があります。AIの開発を発展させるためには、学習データ、特に個人に関する情報を大量に収集して分析する必要があるので、今回の法改正は、簡単に言うとAI開発のために規制を緩和しましょうということですね。とはいえ、私たちのSNSの情報を大量に、しかも、“勝手に”知らないところで収集されたり、企業に提供されるとしたら、個人を特定しない使い方に限定されるとはいえ、やっぱり気分はよくないですし、抵抗を感じる人もいるかなと思います。今回は特に野党議員から、個人情報漏洩に関する懸念が相次いでいます。例えば、情報漏洩が起きるとセンシティブな情報が犯罪者に渡ってしまう可能性があります。他にも中道改革連合の長妻昭議員は、外国企業に重要な情報が渡ってしまうリスクの指摘をしています。その上で、少なくとも収集したデータを企業に提供する場合は、個人の名前は秘匿化するなどルールを作るよう求めましたが、政府は事業者の負担になるとして応じなかったということです。


吉田:野党が指摘している問題点について、与党はどのような説明をしているんですか?


塚越さん:先ほどの個人名の匿名化について、松本デジタル大臣は先週金曜の閣議後の会見で、音声データや画像データなどの場合、氏名を一つずつ削除するのは大変なので、匿名化は難しいと話しています。なので、AIに学習させて、残ったデータは確実に廃棄するような縛りをかけると言っていますけれども、具体的にどうするのか?というところは課題だと思います。なぜこうした対応になるかというと、先ほども話したように、今回の法改正の目的はAI開発を進めることなんですよね。AIの開発は特に米中が先行しています。これに遅れをとってはいけないということで、どんどん、どんどん学習しやすいようにするということなんですが、規制と開発の間で「針の穴に糸を通すようなバランスでつくっている改正案だ」と大臣はおっしゃっています。なので、政府としても課題があることはわかりつつも、できることは進めたいという立場だと思いますので、賛否は分かれると思いますが、論点としては明確でわかりやすいかと思います。


ユージ:個人情報保護法の改正案とその問題点。塚越さんはどうご覧になっていますか?


塚越さん:ビジネスとしては重要だと思うんですけど、少なくとも名前を匿名化するようなルールは必要だと思います。特に外国企業にどれくらい情報を渡していいのか?とか、そういった、どの範囲で?みたいなところは、もうちょっと詰める必要があると思います。個人情報がどんどん漏れていって、今回のような『要配慮個人情報』が収集できちゃうと、分析の質が上がってAIにはいいんですけど、詐欺などに悪用された場合、ターゲットにもっと酷いことをしてくる恐れもあります。例えば、この人こういう病気だなとわかると、今も詐欺電話はいっぱいありますけれども、特定の病気の人にいい薬がありますよ!みたいな詐欺電話があると、当事者は苦しんでいるので、どうしても詐欺に引っかかるリスクは上がりますよね。こういったことになってしまうこともありますので、かなり危険があるかなと思いますし、他にもいろいろな情報が漏洩してしまうと、様々なサービスで差別的な扱いを受け、人権侵害につながる可能性もありますので、やっぱり、ビジネスと安全を天びんに掛けると、柔軟に対応してほしいので、名前の匿名化とかできることはまずやってから法案を通してほしいなと思いますね。

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