みらい図鑑

VOL.294「アスパラガスの茎で作るほうじ茶」

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東京23区の中で、最大の農地面積を誇る練馬区。

農業と福祉、そして、クリエイティヴの連携により、
地域の農産物を活用した、新たな加工品が生まれました。

アスパラガスの茎を焙煎してつくる「ほうじ茶」。
名前は、「翠茎茶(すいけいちゃ)」です。

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アスパラガスは、青果として出荷される際、
通常、茎の下の方はカットされて、廃棄処分となってしまいます。

ですが、この部分にも栄養や甘みがたっぷり含まれていて、
素材としての価値は十分にある。

そこに目をつけたのが、株式会社「REDD(レッド)」。

「翠茎茶」の企画・販売を手掛け、
アスパラガス生産農園と、加工作業を請け負う福祉作業所をつなぎ、
農福連携を活かした6次化の取り組みを、練馬区内で完結しています。

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6次化商品を作る際に、
いろんな地域の人と連携することが大事なポイント。

そう語るのは、「REDD(レッド)」の代表、望月重太朗(もちつき・じゅうたろう)さん。

「そこには若手のデザイナーやクリエイター、アーティストのような、
価値を作る方に加えて、福祉作業所との連携で加工やパック詰めをするとか。
シンプルな作業から、ちょっと手の込んだ作業まで、
いろんな作業者の方と連携して出来ることが、
練馬の中にたくさんあるんです。」

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単なる食品ロスを防ぐための取り組みとしてだけでなく、
品質やパッケージデザインにもこだわった「翠茎茶」。

農福連携にクリエイティヴを投入することで、
新たな経済循環を作ろうとしています。

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「福祉作業所の作れる価値と、それを表現できるクリエイターの価値。
その2つをしっかり連携させながら、
練馬の農産物をしっかり活かした形で、
未来につながる価値作りをおこなっていきたいと思っています。」

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鮮度の高いまま回収したアスパラガスの茎を、
丁寧に乾燥させ、低温でじっくりとローストすることで、
甘みと旨みを引き出した「翠茎茶」。

「美味しいお茶」をきちんとつくることが、
持続性のあるモデルづくりにつながっているんですね。

VOL.293「Re-食器」

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割れてしまったり、いらなくなった食器、皆さんは、どうしてますか?

燃えないゴミに出した場合、
その多くは埋められ、千年たっても土には還りません。

なかでも、陶磁器や焼き物は、
「陶土」という限りある天然の資源を原料としています。

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この貴重な天然資源を未来に残したい、と、
約20年前に始まったのが、食器のリサイクル、「Re-食器」。

不要な食器を回収し、再利用することで、
陶土を無駄に使わない、環境に優しいリサイクル食器を作る。

活動の中心となっているのは、
日本で作られる陶器のうち、6割を占める「美濃焼」の産地、
岐阜県・東美濃の生産者さんたちです。

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回収した使用済みの食器は、1ミリ以下になるまで粉砕。

そうやってできた“食器くず”を
従来の粘土に練りこんで「リサイクル土」を作り、
この土を使って、成型し焼くことで、「Re-食器」が生まれます。

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「Re-食器」を生産する会社のひとつ、
「市原製陶」の代表、金津 誉(かなづ・ほまれ)さんのお話です。

「届いた器は、粉の状態まで粉砕して、もともとの陶器になる土に、
ものによっては5割混ぜ込んで、また成型をしています。
少しでもゴミを減らして再利用できないかな、という想いでやっています。」

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埋め立てても循環していかない焼き物をどうやって循環させるか。
それが、「Re-食器」の原点。

焼き物を再利用して、また新たな焼き物を作ることは、
環境を守り、資源の有効活用にもつながります。

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「国内はもちろんですけど、
世界的にも、陶器のリサイクルをしている産地はあまりないので、
先駆けとして、
それこそ世界の器を再生する先端を走っていけたらと思っています。」

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美濃焼の産地で生まれた、食器のリサイクル。

壊れてしまった食器に、もう一度、命を吹き込む取り組み、、、
生産者さんたちの挑戦はこれからも続きます。
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