ON AIR REPORT オンエアレポート

7月生まれの作曲家、ヤナーチェクに注目!

16/07/11


今夜もお聴きいただきありがとうございます。

今回は、1854年7月3日生まれのチェコの作曲家、レオシュ・ヤナーチェクの
作品をお送りしました!

<プレイリスト>
M1 ヤナーチェク 《ピアノ・ソナタ「1905年10月1日の街角で」 》より第1楽章 <予感>
ヨゼフ・パーレニチェク(ピアノ)

M2 ヤナーチェク 《ヴァイオリン・ソナタ》 より第1楽章
ヨゼフ・スーク(ヴァイオリン)、ヨゼフ・ハーラ(ピアノ)

M3 ヤナーチェク 《シンフォニエッタ》 より第1楽章
クリーブランド管弦楽団、ジョージ・セル(指揮)

M1は、ヤナーチェク唯一のピアノソナタ。
チェコでの民族復興運動の機運が高まる中、1905年ブルノでチェコ人の青年が武力抗争の犠牲となり亡くなってしまった事件を受け、書き上げられた作品。
当初は3楽章構想だったが初演直前に最終楽章の譜面を焼き捨てたという。初演も満足行かず、自筆譜自体を捨ててしまったが、初演で演奏したピアニストが写しを持っており、
初演から18年後にようやく出版されることとなりました。日々の挫折や希望が直接作品に表れています、と横山さん。

M3は、村上春樹『1Q84』の中でこの曲が使われていることから、近年とりわけ知名度が増しました。


ヤナーチェクが活躍した19世紀後半から20世紀前半は、音楽はロマン派の時代が終わり、新しい時代に移り変わろうとしていました。
西ヨーロッパ中心から、周辺諸国の音楽家が目覚ましい活躍を見せ始めた時代です。
「国民楽派」「民族主義」といわれるこの流れは、ポーランドのショパン、ハンガリーのリスト、ロシアのグリンカなど
19世紀の初めに生まれた作曲家たちが第一世代。
全盛期の第二世代は、ロシアのチャイコフスキーやムソルグスキー、フィンランドのシベリウス、
ノルウェーのグリーグ、チェコのスメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェクなど。
第三世代は、ハンガリーのバルトーク、スペインのファリャ、ブラジルのヴィラ・ロボスなどなど

ヤナーチェクは、モラヴィアの民族音楽にこだわって作曲をつづけました。
20歳で音楽の勉強をするためにライプツィヒやウィーンに行くものの、満足できずにチェコのブルノに戻ります。
30代から故郷モラヴィアの民族音楽を収集し始めます。民族復興運動、政治にも関心をもちインスパイアされた作品も。
そして、50代以降精力的に作曲活動を行い、自らの作風を発展させました。

そうした熱い、魂の叫びが作品からも聞こえてくる作曲家ですね、と横山さんはおっしゃっていました。