ON AIR REPORT オンエアレポート

『トーク&ライブ・イン・福岡』イベントレポート

16/10/10


福岡で初となる公開収録



『CELVIANO Grand Hybrid presents 天才ピアニスト 横山幸雄のピアノでめぐり逢い』。福岡で初となる公開収録が過日9月23日、福岡レソラホールにて行われました。会場には抽選で選ばれたリスナー200名が来場し、横山幸雄さんのCELVIANO Grand Hybridによる生演奏とトークを楽しみました。ロビーにはCELVIANO Grand Hybrid の試奏ブースも設けられ、多くのリスナーが実際に音を出し、音色やタッチを確かめる姿も。途中リスナーからの質問コーナーでは、横山さんの思い出を交えた楽しいトークもあり、会場は大いに盛り上がりました。




TOKYO FMで10月9日(日)と、10月16日(日)、FM FUKUOKAで10月13日(木)、10月20日(木)と、2週にわたって、このイベントの模様をお届けいたします。

ショパンを中心に6曲を生演奏

今回演奏されたのは、このイベントのために横山さんがセレクトした6曲。1曲目に演奏されたシューベルトの《 4つの即興曲 op.90 》第2番は、非常にポピュラーな作品です。歌曲を多く遺したシューベルトのピアノ曲には人の声が感じられる作品が多い中、この曲は速いパッセージの連続でピアノならではの表現が楽しめる一曲となっています。

続いてはショパンの20代前半の代表的な作品より、《 バラード第1番 op.23 》と《 アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ op.22 》の2曲が演奏されました。ショパンをライフワークとしている横山さんにとって「ピアノを弾くときに一番自然体で普通に弾けるのがショパン。自分自身に完全に馴染んでいる作曲家」とのことです。早熟の天才として知られるショパンは、すでに10代にして多くの作品を遺していますが、20歳になると生まれ故郷のワルシャワを去り、父親の祖国であるフランスのパリへ向かいます。ウィーンを経由して翌21歳でようやくパリへ到着しますが、ちょうどその頃に着手された作品です。そしてショパンの若き晩年に書かれた《 舟歌 op.60 》も演奏されました。舟歌とはもともとヴェネツィアのゴンドラの船頭が船を漕ぎながら歌うバルカローレを模した音楽。恋人ジョルジュ・サンドとのヴェネツィア旅行を楽しみにしていたと言われるショパンですが、結局それは叶わず二人は別れを迎えます。



ショパンに続いて演奏されたのはリストの《献呈》と《ラ・カンパネラ》。リストは1500曲以上ともいわれる膨大な数の作品を遺していますが、その中には編曲作品も多く含まれています。「ピアノの魔術師」と呼ばれるリストですが、実は編曲の名人でもありました。今回演奏された《献呈》はシューマンの歌曲がもとになっており、《ラ・カンパネラ》のオリジナルはパガニーニのヴァイオリン協奏曲です。リストはさまざまな作品をピアノ独奏用に編曲していますが、単なる編曲にとどまらず「リストの作品」として生まれ変わらせています。当時、オーケストラやオペラなどの大規模な作品が演奏される機会は限られていたため、こうしてピアノ一台で演奏できるように編曲することが求められていたといえるかもしれません。



リスナーの方からの質問コーナー

FM FUKUOKAのこはまもとこさんとのトークパートでは、リスナーからの質問にじっくり答えてくれた横山さん。「暗譜のコツは?」と訊かれ「やはりピアニストにとって暗譜で演奏することは大変なことでストレス。ただし覚えるのが難しいのではなく、覚えたものを間違えずに弾くことが難しい。覚えるときは頭の中に整理棚をつくって、必要なときに正しい場所をぱっと開けられるようにしておくことが大切」との答えに、会場からはどよめきも。また、10歳の男の子から「子どもの頃、勉強は得意でしたか?ピアノはどのくらい練習していましたか?」と質問され、「得意な分野は体育と社会科。反対に算数、理科など理科系が苦手。数字をみていると頭がクラクラ(笑)…10歳の頃はだいたい1日4?5時間ピアノの練習をしていた」など子ども時代の思い出も語ってくれました。



CELVIANO Grand Hybridについて

今回は6曲全てをCELVIANO Grand Hybridのベルリン・グランドで演奏した横山さん。弾き心地について尋ねられると、「電子ピアノには、誰が弾いても同じという画一的なイメージがありましたが、昔のものとは全くの別物で、表現力が非常に広がったと思います。このピアノ(CELVIANO Grand Hybrid)は微妙なタッチにも繊細に反応してくれて、何人かの演奏者で弾き比べをしたら、ピアノ自体が変わった?と思うほど違った音色に聞こえるのではないでしょうか。」と電子ピアノの進化に驚いていました。



今年デビュー25周年を迎えた横山さん。今後の演奏活動にもますます注目が集まります。なおこのイベントで演奏した音源は、『天才ピアニスト 横山幸雄のピアノでめぐり逢い』のホームページで聴くことができます。合わせてお楽しみください。

⇒『トーク&ライブ・イン・福岡』公開収録音源はこちら

【演奏楽曲】
・シューベルト:4つの即興曲 op.90 より第2番
・ショパン:バラード 第1番 op.23
・ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ op.22
・ショパン:舟歌 op.60
・リスト:献呈 S.566
・リスト:ラ・カンパネラ S141-3