ON AIR REPORT オンエアレポート

ラヴェルのピアノ曲と歌曲を(Voyage Vol.11特集)

16/10/31


今夜もお聴きいただきありがとうございます。

今夜は来月11月27日に行う「 Voyage Vol.11 」についてご案内しました。
2011年よりスタートした三鷹市芸術文化センターでの『voyage(ヴォヤージュ)』シリーズ(全12回)も残すところあとわずか・・・。
第11回は、昨年の第10回でも取り上げた作曲家、ラヴェルの中期の作品を中心に演奏します。
今回はピアノ曲のみならず、メゾソプラノ歌手の林美智子さんを迎え、歌曲にもスポットを当てます。

<プレイリスト>
M1ラヴェル作曲《前奏曲》/ジャック・ルヴィエ(ピアノ)

M2ラヴェル作曲 歌曲集《博物誌》 より<はくちょう>/レジーヌ・クレスパン(ソプラノ)、フィリップ・アントルモン(ピアノ)

M3ラヴェル作曲《クープランの墓》 より<メヌエット>/水戸室内管弦楽団、小澤征爾(指揮)

M1は、1913年作曲。もともとは、ラヴェルがパリ音楽院のソルフェージュ試験(初見演奏)のために用意した課題曲。
その試験で1位を獲得した、当時15歳だったジャンヌ・ルルー嬢に献呈されました。
途中右手と左手が交差するなど、初見で弾くには難しい箇所もありますが、わずか1分20秒の曲にラヴェルらしさも十分に感じられる曲です。

M2は、1906年頃に作曲。ルナールの散文『博物誌』の中から「孔雀」「こおろぎ」「白鳥」「かわせみ」「ほろほろ鳥」の5つを取り上げ
ピアノ伴奏の歌曲に。横山さんは「フランス語の朗読をそのままメロディーにして、ピアノの伴奏でその世界を作り上げたような作品です。楽器演奏家にとっては、歌曲の言葉を通じて作曲家を知ることができる。どんな言葉のときどんな音楽なのか、パリでよく学んだ親しみ深い作品です」とお話しました。

M3は、演奏会ではピアノ・ソロで弾く曲の管弦楽バージョン。
ラヴェルは完成された作品としては、40曲ほどしか作曲していません。
ピアノのための作品としては13の作品があり、そのうち7つは管弦楽に編曲されています。
「オーケストラ・バージョンがある曲は、ピアノで弾くときにもイメージしやすくなります。オーケストラのどの楽器を割り当てているかで、ラヴェルがイメージしていた音色がわかるからです。オーケストラの曲をピアノにアレンジした「ヴァルス」という作品もあります。
2台ピアノで弾くと、オーケストラの多くの楽器をピアノで2人分20本の指で表現できるので、1台で弾くよりオーケストラに近づくことができます。」
横山さんがパリに留学した年、ラヴェルは没後50年でした。50年前までこの地にいたのかと感じ、横山さんがパリで師事した(今日1曲目の)ジャック・ルヴィエ先生の先生、そして、横山さん自身もプライベートレッスンを受けていたペルルミュテール先生は、ラヴェルの直接の弟子でした。ラヴェルの孫弟子である横山さんにとって、大切で特別な作曲家・ラヴェルです。

横山幸雄「 Voyage Vol.11 」
日時:11月 27日 (日)、午後3時開演
場所:(東京)三鷹市芸術文化センター 「風のホール」
【ゲスト】 林 美智子(メゾソプラノ)
曲目: 歌曲集『博物誌』(詩:ジュール・ルナール)、歌曲集『シェエラザード』(詩:ジュール・ルナール)、「前奏曲」、「ボロディン風に」、「シャブリエ風に」、「クープランの墓」

来週は、ロシア革命前後に活躍した作曲家をご紹介します!お楽しみに。