ON AIR REPORT オンエアレポート

散歩にまつわる音楽

17/05/26


新緑の季節ですね。自然の中を散歩するのも楽しい季節です。 作曲家の中には、「散歩」を習慣としていた人も少なくありません。
散歩しながら音楽のアイディアを練った、歩いている時にインスピレーションが湧いてきた、など様々なエピソードが残っています。
今回は、「散歩」にまつわる音楽を集めてお送りしました。

<プレイリスト>
M1 ベートーヴェン 《交響曲第6番「田園」》 より第1楽章
演奏)クラウディオ・アバド指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
・1808年に完成された。ベートーヴェン自身によって「田園」と標題がついています。

M2 プーランク 《散歩(プロムナード)》より 1曲目<徒歩で>2曲目<車で>
演奏)パスカル・ロジェ(ピアノ)
・1921年に書かれた全10曲からなる作品。それぞれ徒歩(呑気に)、車(非常に興奮して)、馬(穏やかに)、船(興奮して)、飛行機(ゆっくりと)、バス(動揺して)、鉄道(生き生きと)、馬車(ゆっくりと)、自転車(はやく)、駅馬車(ゆっくりと)、とタイトルと曲想が付けられています。飛行機ーゆっくりと、などプーランクらしいですね。
・2曲目の途中、楽譜に「CHOPIN」と記された箇所があり、ショパンをイメージして書いたと思われます。

M3 ブラームス 《ヴァイオリン・ソナタ 第1番》より 第1楽章
演奏)オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)、マリア・ジョアオ・ピリス(ピアノ)
・≪雨の歌≫とも呼ばれるこのソナタ第1番Op.78は、1878年から1879年にかけて、夏の避暑地だったベルチャッハで書かれました。


ベートーヴェンは大の散歩好きで、よほど体調が悪くない限り雨の日でも欠かさなかったと言われています。散歩には五線譜と筆記用具を持ち歩き、アイディアが湧くと、どこであってもすかさずメモをしていたそうです。中でもベートーヴェンが最も愛した散歩道が、ウィーンのハイリゲンシュタットのあたりです。緑が生い茂り、川のせせらぎが心地よい「ベートーヴェンの小径」は、今では観光スポットとしても有名です。
ブラームスは、毎日規則正しく、早朝1時間ほど歩き、昼には「赤いはりねずみ」というレストランに出かけるのを毎日の習慣としていたといわれます。

チャイコフスキー、サティ、マーラーなど、散歩を習慣にしていた作曲家はたくさんいます。サティの散歩は、パリのカフェや酒場で、いつも持ち歩いた小さな五線譜にアイデアが浮かぶと、おもいつくまま音符をかきつづっていたそうです。
最近の研究では、自然の中だけでなく、「散歩」すること自体で、脳が活性化してアイディアがわいてきたり、考えがまとまりやすくなるそうです。
横山さんは、今ごろから暑い季節が大好き。演奏旅行でいろいろな土地へ行くと刺激を受けますが、その日の演奏会が優先なので、あまりふらふらしてもいられませんね。音楽家として自然の中を歩き回ってみたいととおっしゃっていました。

次回、5月28日は、ロシアの作曲家、バラキレフの特集です。お楽しみに。