三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2018.05.29

伝統工芸から工芸へ!

中川政七
株式会社中川政七商店
代表取締役会長
中川政七
伝統にとらわれない時代に適応した工芸品

先週に続いてスタジオにお越し頂いたのは、
株式会社中川政七商店 代表取締役会長、中川政七さん。
中川政七商店は、1716年(享保元年)創業!
本社は奈良県で手織りの麻織物から始まった、300年の歴史を持つ老舗企業です。
中川さんは一般企業を経て、ご実家の家業である中川政七商店に入社し、
2008年に十三代社長に就任、2018年より会長を務めています。
創業時からの麻織物、時代の変化に応じた麻生地などの雑貨の
製造・販売、工芸メーカーのコンサルティングなど、
既存の枠を超えたビジネスで注目されています。

創業300年を機に襲名をした中川さん。
日本の工芸を元気に!そんなビジョンを前回お伺いしましたが、
実際には、こんな取り組みをしています。
     
「GINZA SIXの店舗では、工芸がどんどん潰れているので、
 他のメーカーの商品を買って売っていく、セレクトショップの要素もあります。
 やっぱり日本の工芸を元気にするというのを掲げていて何もやらないのは、
 ただのハリボテのビジョンになってしまうので、ビジョンとして掲げた以上は、
 やりましょうということで、セレクトして売っていますし、
 もっと言うと潰れそうな会社に経営再生コンサルとして、入っていって、
 実際に立て直すということもしています。
 最初にやったのは長崎の波佐見焼という焼き物のメーカーの立て直しで、
 決算書を見せてもらうところから始めて、業務改善したりとか、
 商品、ブランドを新しくつくったりして、立て直していくことをやっています。」

コンサルとして立て直しも行う中川さん。
工芸の問題点をこう指摘します。

「みんなものしか見てないんですよね。
 職人はいいものだけつくっていれば黙して語らずみたいな。
 今もデザインがブームになっているので、
 工芸品のデザインをよくしようとデザイナーが入るんですが、
 ものだけ良くなっても会社は良くならないんですよね。
 やっぱり会社の中で商品はあくまでも部分なので、
 全体を良くするという目線で対応していかないといけないので、
 だから決算書から見るんです。本当にちょっとしたボタンの掛け違いだと思うんです。
 良い技術はあるけど、ものになった瞬間にお客さんに響く良さが失われている
 ということが度々あるので、そこをちょっとずつ直してあげるっていうことですね。」

最先端の技術と古くからの知恵の詰まった工芸品。
この2つは共存できるのか?伺いました。

「今もずっと伝統工芸といわれるんですが、
 伝統は古くから続くというポジティブな意味もあると思うんですが、
 一方でネガティブな意味もあると思っています。 
 例えば、自動車産業って100年続いていますが、
 誰も伝統自動車産業とは言わないわけです。
 それは何かというと、時代に適応して進化しているからだと思うんです。
 工芸はある時代からその進化が止まってしまったから伝統ってついたと思うので、
 これからは新しいITのちからとか、テクノロジーとか、
 どんどん取り入れていくべきだと思います。」

最後に、中川さんの今後のビジョンについて伺いました。

「社長から会長になってやりたいことが一つあって、
 キーワードは教育だと思っていて、
 職人を育てることももちろんそうなんですが、
 仕事上手になるのも、サッカー上手になるのも、
 受験勉強上手になるにも一緒だと思うので、
 そういうことに資する事業をやりたいと思っていて、
 最近始めたのは茶道にまつわる事業です。
 茶道の新しい入口をつくろうということで、
 『茶論(さろん)』という事業を始めて、先月奈良にお店ができたんですが、
 今度9月には日本橋にお店ができます。」

株式会社中川政七商店 代表取締役会長、
中川政七さんのインタビューお届けしました。
中川さん、ありがとうございました。
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