三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2025.05.20

当事者視点でfemtechのサポートを

Carefull株式会社
代表取締役
張 聖さん
フェムテックに特化した、国内初の福利厚生プラットフォームを提供



ONE MORNING「 The Starters 」
火曜のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。

今週のゲストは先週に引き続き、Carefull株式会社 代表取締役の張聖さんです。

張聖さんは1990年生まれ、中国のご出身。
慶應大学を卒業後、Google Japanで活躍。その後、世界最大級の起業家支援NPOの日本支部立ち上げを経て、2020年Carefullを創業されています。

先週は、主な事業内容について伺ってきました。
今週は、張聖さんがCarefullを創業されるまでについて伺っていきたいと思います。張聖さんは中国のご出身で、5歳の時に日本にいらっしゃったということで、ご両親のお仕事がきっかけとおっしゃっていましたね。
その後の日本での生活というのはいかがでしたか?

「特に小学校は両親の仕事の関係で3回ぐらい転勤をしていたので、そもそも日本語ができないところから始まり、友達作りを頑張った記憶がありますね。両親とも日本語を話せない状態だったので、最初は誰も教えてすらくれない状況で、学校で日本語を頑張っていました。」

そこからすごいなと思うのが、高校は慶應義塾女子高校に進学ということで、やはり勉強は頑張ったんですか?

「はい、勉強はすごく得意でした。
ただ不純な理由もあって、当時、いわゆるオタ活をずっとしていたので、受験勉強に時間を割くのではなくオタ活に時間を割けるように、エスカレーターで大学まで行けるところが良かったんです。なので、その中で女子高で一番偏差値の高い慶應義塾女子高等学校に入りました。」

不純とは今おっしゃいましたけども、自分のやりたいことが明確ですごいですよね。
今も推しはいるんですか?

「今はいないです。というのも推していた時代は、将来の仕事もとにかく芸能人に会える、とりわけ推しだった山Pに会える仕事がいいと思って、メディア業界を目指していたんです。大学時代も芸能人に会えそうなバイトを探していて、映画会社の宣伝部でバイトさせてもらったんですが、そこで毎日のようにタレントさんに会うことができたんです。そういったバイトを4年間やった結果、一緒に働いている社員さんはめちゃくちゃ激務で大変そうで。やはりキラキラした仕事の裏側は普通の仕事だぞという現実に気づきました。」

見た目華やかに見える世界こそ、裏側はみんな頑張っているんですよね。
そして高校からそのまま慶應義塾大学に進学され、大学では社会活動を始められたそうですね。

「そうなんです。あまり勉強を真面目にやる子ではなかったので、毎日友達と遊んだり、時間を持て余していたんです。そんなとき、ひょんなことから先輩が途上国の女子の初等教育NPOで頑張っているということで、チャリティーイベントに誘われました。自分の時間を持て余しているくらいなら、せっかくだったら誰かのために使いたいなと思い、そこからずっと卒業までルーム・トゥ・リード(Room to Read)という学生団体を私が引き継いでやっていました。」

学生生活の中で社会活動されるのが素晴らしいなと思いました。
そして、その後Googleに就職されていますが、Googleに就職されたのはどうしてだったんですか?

「これは自分のアイデンティティとも関わるのですが、やはり中国人だけど、日本育ちで、中身ほぼ日本人という中で、自分自身どこかでコンプレックスを持っていたんです。何人かよくわからないと。当時、オタ活で現実が見えて、逆に仕事の夢がなくなってしまい、何をしたいかわからなくて、とにかく10社程いろいろ業界でインターンをさせてもらったんです。その際に、何をしたいかはまだよくわからないけど、いろいろな国の人と働いたり、価値観が多様な雰囲気や人がすごく素敵だなと思い、「この人たちと一緒に働きたい!」ということで、外資系のGoogleを目指しました。」

なるほど。それで実際にGoogleに入れたわけじゃないですか。すごいですよね。
その後、転職、さらには起業と活動の場を移されていくわけですが、フェムテックという分野に行ったきっかけは何だったんですか?

「これはすごくラッキーだったのが、Googleはずっと同じ会社の中に残り続けるのではなく外に出て活躍するのを推奨していて、それがかっこいいとされるようなカルチャーがあったんですよね。なので、自分もいつかそうなりたいなと思っていた中で、やはり自分がチャレンジするんだったら、数年とかではなく十年ぐらい続けられるテーマが良いなと考えた時に、当時自分が女性の健康課題で悩んだ経験もあったので、このテーマでやってみようという風になりました。」

仲間集めは苦労しなかったですか?

「しましたね。というより、まだ存在しない市場だったので、「数年で何千億行きます!」なんてプレゼンはできないわけです。自分もわからないので。なのであまり周りに声をかけることができなくて、結果的には一人で始めたんです。」

徐々にこの活動はやりやすくはなってきていますか?。

「そうですね。2020年、ちょうど私が立ち上げた年がフェムテック元年って言われていて、メディアさんでもたくさん特集されるようになり、月経や更年期、不妊治療によって、欠勤だったり離職だったりにつながるという経済損失が3.4兆円に上るというレポートが出されて以降、国もすごく力を入れている分野なので、ここの追い風と、自分が立ち上げたタイミングが一緒だったのはすごくラッキーだったなと思います。」

なるほど。今では育休育児休業というのはすでに広く知られて、取り入れている会社って多いと思うのですが、実は家族にまつわる何かしらの理由、健康上の理由で、他にも会社から時間的猶予をもらいたい時ってたくさんあるじゃないですか。
まだ育児休業だけというところも多いんですが、まさに先週おっしゃっていたような、女性だったら生理に伴う休業など、その辺りの価値観の共有がもっと広まるといいですよね。

「まさにそう思います。多様な価値観が受け入れられる社会に日本もなればと思います。」

最後になりますが、これからの夢を教えてください。

「実は、私は今妊娠をしていて、新たなライフステージに自分自身が突入しているんです。初めての出産になるのですが、この妊娠や出産育児というものを体験することで、今まで気づけなかった当事者の困り事を、今後、より力を入れてサポートしていきたいなと思っています。」

Carefull株式会社 代表取締役の張聖さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

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