三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2025.09.30

航空事業から地方創生へ

株式会社 ジェイキャスエアウェイズ
代表取締役
梅本祐紀
民間主導の次世代航空スタートアップ


ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。

今週と来週のゲストは、株式会社ジェイキャスエアウェイズ代表取締役の梅本祐紀さんです。梅本祐紀さんは、兵庫県のご出身。大学卒業後、様々な企業やITスタートアップを経て、2023年、航空スタートアップのジェイキャスエアウェイズの代表取締役に就任されています。
今週は主な事業内容をうかがいます。まず航空スタートアップというのは初めて聞きました。どういった目標から生まれた会社なんでしょうか?

「日本の中に、地域航空と呼ばれる、全国各地に広がる毛細血管のような空路を開こうという目標のもと、生まれた会社です。」

今でも飛行機の空路って地図で見るとすごく複雑に繋がっているように見えるのですが、さらに細かく繋いでいこうということですね?

「大手やLCCが飛ばしている路線は十分あるんですが、それでも賄われてない需要の細い、地方に行くための路線というのはまだまだ足りない状況です。それを大手さんが持っている機材よりも小さいものを導入して、細い需要に対して専用の機材でしっかり収益が上がるように飛行機飛ばしていこう、という構想になっています。」

梅本さんはどういった経緯でこの事業に関わるようになったんですか?

「経緯としては、先ほどご紹介いただいていただいた通り、元々スタートアップの企業をずっと経営してきたんですが、知人の投資家から「これから10年、20年先の日本に必要な事業を作っている人たちがいるからちょっと一緒にやってみないか?」と紹介を受けまして、そのとき共同代表の白根に会いました、飛行機の会社を作るプロだったんですが、やはり経営や資金調達などの部分は少し不得手なところがあるメンバーだったので、それを一緒にやろうということで、2023年の9月に私が共同代表として就任して、ここまで来ているというところです。」

日本の空の現状、課題というのはどういったことがあるんですか?

「日本の空は、先ほどあったように、既存の会社が飛行機を飛ばしているんですが、やはり儲からない路線というのは、残念ながら便が減っており、「やっぱ儲かるのは国際線だよね」「 国内線はちょっとやっぱ新幹線便利だし」となってしまっているのが現状です。でも、新幹線が通っているエリアはいいんですが、特に日本海側、山陰方面や北陸は、まだまだ公共交通で行きづらい場所があるんですが、そこには実は空港があって、じゃあ空を使って飛行機で行けばいいんじゃないかということで、それを進めていこうというところですね。」

例えば、僕は長野によく行くんですが、距離でいうと車で三時間ぐらいなんです。これくらいの距離は飛行機で行くならちょっと近すぎますか?

「微妙なところではあるんですが、場所によりますが1時間弱で松本空港などに行けますので、やはり時短効果はあると思います。それに、今インバウンドで海外から人がたくさん来ているじゃないですか。羽田や成田、関空などの大きな空港から3、4時間かけて長野や富山に行こうというのは、海外の方からしたらハードル高いじゃないですか。でも、飛行機を乗り換えて40分で行けるとなったら、行ってみようかなという気持ちになると思うんです。 そういった流れを作り出していきたいですよね。」

実際にいつ頃からの就航を予定されているんですか?

「来年の秋ごろを予定しています。」

もうすぐなんですね。場所はどのあたりになるんでしょうか?

「関西国際空港から富山空港と、関空から米子空港を結ぶ、2路線からスタートしていきます。その後、5年で7機15路線まで拡大していこうという計画です。」

航空インフラを更に細かくしていこうということで、飛行機や離着陸できる滑走路ももちろん必要になると思うのですが、その辺りはあるんでしょうか?

「日本って、空港が90弱あって、利活用がまだまだされてない場所がたくさんあるんです。」

そうなんですね!だから、僕らが知るような羽田空港、成田空港のような大きな空港じゃなくても、小型の飛行機が離着陸できるような空港を入れたら、たくさんあるわけですね。
飛行機自体は、大手の航空会社と同じような飛行機を使われるんですか?

「少し小さいサイズでエアバスグループにATRという会社があるんですが、そこのATR 72 -600型という機体を使う予定です。機体名の通り72人乗りなんですね。大体皆さんがイメージする国内の路線は160名ぐらいの中型ジェットで飛んでいるんですが、その半分ぐらい。だから細い所のところの需要も賄え、採算が取れるという計画です。」

小さい機体を使うことによるメリットはなにかあるんですか?

「メリットでいうと、小さいので車と同じように燃費がいいんですよね、大きい飛行機より燃費が良くて、かつ高度が大体8000m〜10000mを切るぐらいなので、天気がよければ眺めが楽しめます。加えて、高度が低い分、体に優しい、耳鳴りがしづらいといった長所もあります。」

この機体に関して「ターボフロップ」というキーワードを伺ったのですが、この「ターボフロップ」とは何でしょうか?

「動力がジェットではなくて、昔風に言うといわゆるプロペラを用いたものです。」

プロペラって最近の飛行機にはもうついていないイメージがあって、小型機についているイメージでした。

「これは最新のプロペラ機ですね。世界では1500~1600機販売されて運航されていて、日本ではあんまり見ないんですが、世界ではメジャーヒットの機体なんです。」

そんなすごい機体だったんですね。
株式会社ジェイキャスエアウェイズでは、地域航空事業だけではなく、地域創生事業もされているということで、こちらどんなことされているのか教えてください。

「私、航空業出身ではないんですが、なぜこれに関わったかというと、やはり日本の地方を元気にしたいっていう気持ちがあって、地方って地方創生の名のもとにすごいいいことやっている人たくさんいるんです。 ただ、それを知るきっかけが必要だったり、行くきっかけ方法だったりが必要になるので、地方にだけ頑張ってもらってもなかなかうまくいかない。だからそこに人を連れていく。そして、我々の就航地の皆さんと一緒に手を取り合って、地方創生を一緒にやりましょうと、そこまでやりきる会社として最初から立ち上げていくのが、本当の意味での地域航空であり、地方創生につながると考えています。就航地と一緒に盛り上げていく、そういった取り組みを今後やっていきたいと思います。」

素敵な試みだと思います。
お話を聞いているといろいろなところに飛んでほしいなと思うんですけれども、現在、社員さんは何人ぐらいらっしゃるんですか?

「実は社員はもう64名まで増えていますね。」

来年の秋から就航ということでかなり忙しいタイミングだと思うんですけれども、準備は進まれていますか?

「準備は、機体の調達、資金の確保、人材採用、そしてこれは許可業なので、航空局の許可の申請とか、そういうところも同時並行でやっていて忙しいですね。この後も支援者や航空局との打ち合わせのためにすぐ大阪に行かないとダメなんです。」

パイロットやキャビンアテンダントさんも必要だと思うのですがその辺りはいかがでしょうか。

「そういったスタッフの採用もスタートしています。」

行き先の空港との連携など日本全国が対象ということで大変なやりとりですよね。

「それだけのやりがいがある事業だと思っています。飛行機のいいところは夢があるじゃないですか。結構応援してくれる方はたくさんいらっしゃいますね。」

そうなんですね。キャビンアテンダントの方や社員さんが60人以上いるということで、まだ実際には飛んでないじゃないですか。お給料はどうしているんでしょうか?

「資金調達で賄われていますね、今は。我々、あの行政からの支援とか、補助金を受けずに100%民間資本で進めているんです。親会社がいるわけでもないので、就航地の富山や山陰の企業さん20社以上からご出資いただいています。他にはビジョンに賛同してくれるファンドなどから出資をいただいて、今、お給料の原資はそこになっています。」

日本ってまだまだ魅力的なところがたくさんあるので、こういったことをきっかけにどんどん広がっていくといいなというふうに思いました。」

梅本さんがジェイキャスエアウェイズに感じた可能性について、教えてください。

「航空業の人たちだけで作るわけじゃなく、地方創生も含めてやりきる。 そのために共同経営者で私のような人間も来て、スタートアップや、金融業界出身の人、あらゆる人材が集まって、みんなで日本のための会社を作ろうと協力して事業を行っているのが一番の魅力です。」

素敵ですね。最後に、これまで乗り越えてきたハードルを教えてください。

「ハードルしかなかったんですが、ハードル乗り越えたら忘れてしまうので。次のハードルしかもう見えてないですね。」

  • Facebook
  • X
  • LINE

TOP