東日本大震災で岩手県釜石市は大津波に襲われましたが、
市内の小中学生ほぼ全員が命を落とすことなく避難できました。
背景にあったのは「津波てんでんこ」の教え。
これは
「津波の時には、家族だろうと他の人には構わず、
各自てんでんばらばらに一刻もはやく逃げなさい」
という防災教育です。
一方で、この「津波てんでんこ」。
東洋大学の及川康(おいかわ・やすし)准教授などが
2014年に全国1000人以上を対象に調査したところ、
およそ7割が「知らない・聞いたことがない」と回答しました。
そして、防災関係者などを驚かせたのが、こんな事実です。
「知らない」と答えた人の内の7割が
正しい「津波てんでんこ」の意味を伝えても、
賛同できないと答えたんです。
及川准教授にお話を伺いました。
津波てんでんこという言葉は
ともすると「自分だけが助かればいいんだ」
「利己主義なんじゃないか」と言う
誤解が生まれつつあるのは事実だと思います。
しかし、いざ津波に遭った時、
てんでばらばらに自分だけで逃げられるのかと言う
苦しさや葛藤を、リアリティを持って想像出来る人は
果たしてどれ程いるでしょうか。
津波が来たら、てんでんバラバラに逃げる。
それができるような関係性を
平常時から作っておかなくてはなりません。
さらには、自分だけ生き残ってしまったという時の
後悔の念、自分を責めるという気持ちを低減する。
そういった役割もしてくれると思います。
「津波てんでんこ」を徹底することによって
「大切な人もきっと逃げている」と思えるので、
お互いが素早く避難できます。
その姿を周りが見ることによって、
逃げない人達に避難を促すこともできます。
結果的により多くの命が救われるんですね。
そして、及川先生も仰っていましたが、
津波てんでんこという
「約束」をしておいたと言う事実が大切です。
例えば、あなたが津波で亡くなって、
大切な人が生き残ったとき。
その大切な人が「自分だけ生き残ってしまった」と
自分を責める気持ちを
「約束」が少し和らげてくれます。
いま、大切に思う人がいるのであればこそ、
「津波てんでんこ」とはどういうものなのか、
一緒に確認しませんか?