今朝は、中小河川で水害リスクが高い理由やバックウォーター現象についてお伝えします。
川幅が狭く、川の長さが短い中小河川では大雨が降ると一気に水かさが増します。 そのため、洪水のリスクが高まりやすい特徴があります。
また、本流の増水によって支流の中小河川の水がせき止められて、
逆流し氾濫を引き起こす「バックウォーター現象」も起こりやすい為注意が必要です。
バックウォーター現象は、大雨などで本流の水位が上昇した際に、
支流である中小河川の水が本流に流れ込めず、
行き場を失う事で逆流や氾濫を引き起こす現象です。
特に本流と支流の合流地点では、本流の増水によって支流の水がせき止められ
水位が急激に上昇します。このため、わずかな時間で川が溢れてしまい周辺に浸水被害が広がります。
2018年西日本豪雨が発生した時、
岡山県倉敷市でバックウォーター現象が起こりました。
この災害では、本流の川の水位が急上昇した事で、
支流である川の水が本流に流れ込めずにバックウォーター現象が発生
この影響で、複数の堤防が決壊して、倉敷市内の真備地区のおよそ3割が浸水しました。 さらに浸水の深さはおよそ5メートルとなるなど甚大な被害をもたらしました。
最近は集中豪雨が増えている事もあり中小河川の水害リスクは高まっています。
大雨の年間発生回数は年々増加傾向にあり、1時間降水量が80ミリ以上の猛烈な雨は 1980年頃にくらべて2倍ほど増えています。
ここで中小河川が水害の時にリスクが高くなる理由についてお伝えします。
中小河川は大雨が降ると急激に推移が上昇しやすいのは、
川の流域面積が小さく、川幅も狭いため、降った雨が短時間で集まりやすくなるためです。
都市部ではアスファルトなどで地面が覆われている為に、
雨水が地中にしみこまず、降った雨が短時間で川に流れやすくなります。
そのため、大雨のピークから川が増水するまでの時間が非常に短く、
避難する時間的な余裕もすくない事から注意が必要です。
また、中小河川では、
洪水ハザードマップが十分に整備されていない地域が多いのが現状です。
2021年に水防法が改正された事により、中小河川も洪水浸水想定区域の
指定対象となり、ハザードマップの作成が進められています。
国土交通省によると、中小河川の洪水浸水想定区域は7198河川が指定されています。
2024年3月末時点で洪水ハザードマップの公表率は、およそ69%という状況です。
そのため、ハザードマップをみても、自分の住む地域のリスクを十分に把握できず、 災害発生時に適切な避難行動をとれない可能性があります。
中小河川の水害は、急激な増水が起こりやすく、避難する時間の余裕がないことも考えられます。
避難情報が出てからの避難では間に合わない可能性もあるため、
洪水警報が発表された段階や雨が強く降り始めた時点で不安を感じる場合は
自主的に避難準備や行動をする事が大切です。
さきほどもお伝えしたように、中小河川沿いはハザードマップが十分に
整備されていない可能性があります。ハザードマップで浸水域に含まれていない場所でも、浸水被害が発生する
危険性がある事を知っておきましょう。