歴史学者の本郷教授が語る オタクのすすめ(2018/09/01 放送)
今週は、歴史学者の本郷和人(かずと)さんをお迎えしました。
東京大学史料編纂所の教授として、中世を専門に研究している本郷さん。1960年10月12日東京生まれで、歴史に興味を持ったのは小学校3年と4年の間の春休みだったとか。
「親父がちょっと奮発してくれて、京都、奈良にわりといい旅行をしたんですよ。その時に、特に奈良ですね。奈良のお寺の美術、あれに打ちのめされて、それから古いものが好きになったんですね」「仏像の美しさとか建築の豊かさとかそういうものが」
「仮面ライダーとかウルトラマンも好きでしたよ。でも、なんかちょっとジジ臭い子だったんですよ。だから落語家になるか、歴史を勉強するかどっちかがいいかなと思ってて」
また、10代の頃にはお坊さんになろうと思っていたという本郷さん。子供の頃は友達があまりいなくて、一人で本を読むことが多かったとか。
「いわゆるオタクですよ、オタク。特に女の子と遊んだってことがまったくないんですよ。逆に言うと、女の子と遊ぶ時間をやめたら相当いろんなことできますよ。ホントに!それは僕は心からオススメします。若い方で今これを聞いてくださっている方は、女の子と遊ぶのやめなさい!二次元でたくさんです!僕ぐらいにはすぐになれます」
本郷さんはご自身の1日についてこんなふうに話してくれました。
「朝5時に起きて、もぞもぞしてて。缶コーヒーを1本飲んで。で、パソコンに向かうと。そんな感じですね。ご飯は1日1食ですね。大学はだいたい10時くらいに研究室に行くかな。僕らはいわゆる裁量労働制ってやつで、ようするに成果だけきちんと出せば、あとは好きにしていいんですよ」
また、本郷さんは学者という職業についてこんなこともおっしゃっていました。
「僕は大好きです。楽しいですね。ただ、みなさんに言っておくと、儲かりませんよ(笑)。儲からない。っていうか、歴史の研究者は駄目ですね。らない」
「みなさんご存知かもしれませんけど、どんどん大学の先生のお給料は減らされてるんです。それで、取ってこいって。競争的資金っていうのがあって。これも自分でもらっちゃ駄目なんですよ。だけど、いろいろな研究費を使いたいんだったら、ちゃんと申請してみんなの競争に勝って、それで勝ち取りなさいっていうのが、文科省の、あるいは政府の方針なんです」
「僕はそれ、もの凄いたくさん書類作んなきゃいけないので、めんどくさいからいいやと思ってると、どんどん給料が減っていくっていう(笑)。そういう状況です」
そんな本郷さんが所属している東京大学の史料編纂所には60人の教員がいるそうで、本郷さんは現在、中世の中でも特に1249年から1256年までの『建長(けんちょう)年間』を重点的に研究しているそうです。
「日本より古い歴史を持っている国ってけっこうあるんですよ。ギリシャ、ローマ、それからお隣の中国。ところが、日本ほど歴史資料…例えば文書(古文書)、それから偉い人の日記(古記録)、そういう良質な歴史資料が残ってる国はないんです。日本はたぶんダントツで1位です」
東京大学史料編纂所の教授として、中世を専門に研究している本郷さん。1960年10月12日東京生まれで、歴史に興味を持ったのは小学校3年と4年の間の春休みだったとか。
「親父がちょっと奮発してくれて、京都、奈良にわりといい旅行をしたんですよ。その時に、特に奈良ですね。奈良のお寺の美術、あれに打ちのめされて、それから古いものが好きになったんですね」「仏像の美しさとか建築の豊かさとかそういうものが」
「仮面ライダーとかウルトラマンも好きでしたよ。でも、なんかちょっとジジ臭い子だったんですよ。だから落語家になるか、歴史を勉強するかどっちかがいいかなと思ってて」
また、10代の頃にはお坊さんになろうと思っていたという本郷さん。子供の頃は友達があまりいなくて、一人で本を読むことが多かったとか。
「いわゆるオタクですよ、オタク。特に女の子と遊んだってことがまったくないんですよ。逆に言うと、女の子と遊ぶ時間をやめたら相当いろんなことできますよ。ホントに!それは僕は心からオススメします。若い方で今これを聞いてくださっている方は、女の子と遊ぶのやめなさい!二次元でたくさんです!僕ぐらいにはすぐになれます」
本郷さんはご自身の1日についてこんなふうに話してくれました。
「朝5時に起きて、もぞもぞしてて。缶コーヒーを1本飲んで。で、パソコンに向かうと。そんな感じですね。ご飯は1日1食ですね。大学はだいたい10時くらいに研究室に行くかな。僕らはいわゆる裁量労働制ってやつで、ようするに成果だけきちんと出せば、あとは好きにしていいんですよ」
また、本郷さんは学者という職業についてこんなこともおっしゃっていました。
「僕は大好きです。楽しいですね。ただ、みなさんに言っておくと、儲かりませんよ(笑)。儲からない。っていうか、歴史の研究者は駄目ですね。らない」
「みなさんご存知かもしれませんけど、どんどん大学の先生のお給料は減らされてるんです。それで、取ってこいって。競争的資金っていうのがあって。これも自分でもらっちゃ駄目なんですよ。だけど、いろいろな研究費を使いたいんだったら、ちゃんと申請してみんなの競争に勝って、それで勝ち取りなさいっていうのが、文科省の、あるいは政府の方針なんです」
「僕はそれ、もの凄いたくさん書類作んなきゃいけないので、めんどくさいからいいやと思ってると、どんどん給料が減っていくっていう(笑)。そういう状況です」
そんな本郷さんが所属している東京大学の史料編纂所には60人の教員がいるそうで、本郷さんは現在、中世の中でも特に1249年から1256年までの『建長(けんちょう)年間』を重点的に研究しているそうです。
「日本より古い歴史を持っている国ってけっこうあるんですよ。ギリシャ、ローマ、それからお隣の中国。ところが、日本ほど歴史資料…例えば文書(古文書)、それから偉い人の日記(古記録)、そういう良質な歴史資料が残ってる国はないんです。日本はたぶんダントツで1位です」
「っていうことになりますと、古いところのそういうものを解読しなきゃいけないんです。で、それをやっているのが私ども史料編纂所なんですね。僕は鎌倉時代担当で、『大日本史料』っていう本を作ってるんですけど、それの第5編なんです。で、そこの“建長”のところを今やってるんです」
「第5編の守備範囲は1221年から1333年まで。1221年に承久の乱っていうのが起きるんですけど、それから1333年の鎌倉幕府滅亡まで。それが僕らの守備範囲です」
「ところがですね、たくさん史料があるじゃないですか。それを例えば、今日9月1日なら9月1日、建長3年の9月1日に何が起きたかっていうのをずらーっと全部並べるんです。9月2日に何が起きたかっていうのもずらーっと並べるんです。全部です。例えばですけど、子供が神社の壁におしっこをひっかけた、これも載せます」
すべての史料に目を通さないといけないこともあって、『大日本史料』は1冊作るのに3年かかるんだとか。
「3年かかっても、その『大日本史料』1冊では、例えば建長2年なら建長2年が終わらないんです。建長2年の1月1日から12月31日までを終わらせるためには『大日本史料』が3冊かかるんです。そうすると建長2年の1年間のために3かける3で9年。ってことはだいたい10年ぐらいかかるんですよ」
「そうすると僕、史料編纂所に30で入って助手をやって、40で助教授をやって、50で教授になって、60で引退するってことになると、僕の人生は建長元年に始まって建長3年でおしまいっていうことになるんですよ(笑)。そういう仕事です」
↓こちらは本郷教授が監修した本『東大教授が教える やばい日本史』(ダイヤモンド社)。
来週も引き続き、本郷和人さんをお迎えします。