塩田元規さんが株式会社アカツキ創業を振り返る(2019/12/07 放送)
先週に引き続き、今週も株式会社アカツキのCEO、塩田 元規(げんき)さんをお迎えしました。
横浜国立大学を卒業後、一橋大学の大学院に進学してMBAを取得した塩田さん。大学院卒業後はまずDeNA(ディー・エヌ・エー)に入社します。
「実は、その時の社長の南場さんって女性の方が一橋の授業に来られたことがあって、そこで僕が…偉そうになんですけど…南場さんにDeNAはこうした方がいい、っていうプレゼンをするんですね。DeNAの分析をして。それが南場さんの癇に障りまして…」
「当時の僕はハッピーカンパニー(プロジェクト)をやってたんで、ビジョンの話を凄くしたんですよ。ビジョンが会社に大事だっていう。だからこうした方がいいっていうことを言ったんですけど、南場さんはビジョンも大事だけど、力も大事。両方あって初めて会社なんだよって。そう言われたのが凄く引っかかってて…」
「当時のDeNAはまだ2〜300人ぐらいの、今の10分の1ぐらいの会社で、ちっちゃかったんですよ。で、だったら僕も自分が胸を張って起業できるぐらい力をつけてから起業した方がいいかなと思って、DeNAっていう会社に入って修行させて頂きました」
DeNA時代の塩田さんは「血反吐を吐いて何をやっても働くんで、一番泥臭く大変なことをしたい」という思いで仕事をしていたそうです。
「営業をしていました。当時、モバゲータウンっていうサイトがあって、そこの広告の営業を電通さんとかに行って提案して、夜中の飲み会では裸踊りし…みたいな感じでしたね」
そして、DeNAを2年半で退社した塩田さんは、いよいよアカツキを創業することになります。
「DeNAっていう会社は今もホントに愛してる、大好きな会社なんですけど、自分が作りたい会社と色がぜんぜん違うし、自分を幸せにしたいとかワクワクしたい、みたいなものからスタートしてる学生時代の思いみたいなものはやっぱり自分にしかないなと思ったんで…」
「自分たちがワクワクしながら世界中の人をワクワクさせられるサービスを作れる熱い組織を作ろうっていうのがテーマだったんですよ。ものだけっていうよりはそういうチームを作ろうっていうこと」
「あと、僕はホンダとかソニーとかが凄く好きで…戦後の焼け野原の中からゼロからビジョナリーに立ち上がっていく会社で、かつ日本のみんなに勇気と元気を与えたわけじゃないですか。そういう会社になろう、で、最後は関わっている人がみんな幸せになれる会社を作ろうってのをミッションにしていました」
夢想家だと言われることも多いという塩田さんですが、ご自身の信念についてこう語ってくれました。
「でも、できない理由がないから…」「信じてますね。たしかに。自分とか自分たちとか。あと、極論、自分の命って、せっかくここに生まれてきて後悔ないように生きるっていう。別に誰のためでもなく。自分が後悔しないように生きることだけにコミットしようと思ったから…まぁできないこともたくさんありましたね。失敗も。でも、それはしょうがなくないですか?っていう軽やかさで生きてますね、最近は」
「ホントにそういうふうに生きてる人は、人のことを否定しないんですよね。だから、否定する人って自分がホントはそういうふうになりたいけどやれてないから、とか。ホントに自分の人生を生きてる人って人のことを否定しなくて優しいから。自分もそうありたいしなっていう」
この秋、『ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力』という本を出した塩田さん。ビジネスの世界に感情を持ち込むことについてこう話してくれました。
「ビジネスの世界って凄く合理的なんですよ。合理的というか説明ができることしか通らないし…なんかこれやりたい!って、なんで?って話になるじゃないですか。で、みんな頭で考えて、頑張り続けて、弱音を吐かずやり続けてるんですけど、そうすると何か成果を得た時もホントに喜べなかったりするんですよ。またすぐに次のレースが始まるから」
「でも、自分の中でヤダとか苦しいとか悲しいとか楽しいとか、そういう感情があるのが人間だから、感情をビジネスの世界に持ち込んで、ちゃんと分かち合えたり大事にすると、結局その人自身がもっとありのままになってくるっていうか、その人らしさが出てくるじゃないですか。その人らしさが出ないサービスってどこか似てくるし、なにか作り手のキャラクターが出てる方が結果的に売れるし」
「僕は不合理ってよく言われるんですけど、そっちの方が結果的に合理的になる世界になってきたから、『ハートドリブン』の中では、感情とか心とかをどう大事にしながら組織とかビジネスの世界でやっていくか、それが結果的に自分っていうものの可能性を開いていくか、っていうようなことを書いている感じですね」
塩田さんの著書のタイトルにもある『ハートドリブン』の“ドリブン”は、“インセンティブ”という言葉の対義語なんだとか。
「“インセンティブ”って日本語で“誘因”っていうんですけど、例えば、これを手に入れたらお金持ちになれる、とか、こういうことを頑張ったらお前を部長にしてやるから、とか。外から貰える報酬なんですよ」
「ドリブンは原動力とか駆動っていう意味なんですけど、自分の内側から出てくるものからやる、なんですよ。外から貰うんじゃないくて。組織ってインセンティブ設計とかよく言われるんですけど、極論を言うと、それって馬の前に人参ぶら下げてるようなもんで…それねぇ、長くは続けらんないんですよ」
「ドリブンは自分の内側にある声を聞いて、俺ホントにこれやりたいかな?とか、やりたくないかな?とか、そういうのを扱っていくってことが“ドリブン”に込めた意味で、それをハートからやろうよっていうのが、“ハートドリブン”っていう言葉ですね。造語なんですけど」
また、塩田さんはご自身の著書『ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力』についてこんなこともおっしゃっていました。
「いわゆる、正解はこうだよ、とか、こうやったら上手くいくよって本にはしてないんで…」
「僕は昔、頑張んない人を見て凄くイライラしてた時があって。なんで働かないんだコイツ?とか(笑)。でも、それってどっかで自分が働きたくないのに無理してるってことなんですよ。ホントは自分も働きたくないよな…を許せたら、彼のことを別に怒る必要もなくなるっていうことが往々にして起こるんですけど、みんな外側の正解、外側のことばっかり。自分の内側に気づくことってほとんどないから、それを丁寧に見れる組織とか文化があると、人が人に優しくなれると思うんですよ」
「何かを否定する時って、ホントはそこに自分はこうしたいっていう願いがあるはずで、そういうものに気づけるきっかけになる本じゃないかなと思ってます」
「僕は頑張ってる人ほど読んでほしいし…頑張ることも大事だから。レースしながらやってるけど、どっかで苦しんでることとかを…別に苦しんでもいいんですけど、苦しいって自己認識できてればイイんですよ。みんな、苦しいって認識せずに走ってるから止まれないんですよ。苦しいって認識する、立ち止まれる本になればいいなと」
家族に例えられることも多い会社という組織ですが、塩田さんは「今は、会社は“森”ですね。森とか生態系とか」とおっしゃっていました。
「家族って、お父さんとお母さんがいて、子供がお父さん、お母さんによって養われる。みんな仲いいんですけど、明確なリーダーがいて、彼らが家族を背負うっていう…。僕は、それはちょっと昔かなと思っていて、今の時代(の会社)っていうのは、生態系のように、森のように、木を生やす自分もいたり、ミツバチのように授粉する人もいたり、いろんな人たちがいるんですけど、それぞれはそれぞれで自分の責任を持って全うしながら流動的に動いてるっていう形かなと」
「プラットフォームというか“場”みたいな感じで、その中で花を咲かせたい事業もあれば、私は花を咲かせたくないんで蜜を贈ります…みたいな人もいる。それも必要。誰か一人が責任を持ってるわけじゃないっていうか、全体の中でいるっていう、そういう感覚になってきてますね」
最後に塩田さんはご自身にとっての挑戦についてこう語ってくれました。
「自分の可能性を開く旅、って感じですかね。挑戦してまた自分の可能性を感じたりとか、また受け取ってっていう…このサイクルを回し続けると、自分の本当の…それこそ魂じゃないですけど命が輝くことに辿り着けるんじゃないかなっていう感じがします」
番組では、そんな塩田さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「塩田元規さんの色紙希望」と書いてご応募ください!
横浜国立大学を卒業後、一橋大学の大学院に進学してMBAを取得した塩田さん。大学院卒業後はまずDeNA(ディー・エヌ・エー)に入社します。
「実は、その時の社長の南場さんって女性の方が一橋の授業に来られたことがあって、そこで僕が…偉そうになんですけど…南場さんにDeNAはこうした方がいい、っていうプレゼンをするんですね。DeNAの分析をして。それが南場さんの癇に障りまして…」
「当時の僕はハッピーカンパニー(プロジェクト)をやってたんで、ビジョンの話を凄くしたんですよ。ビジョンが会社に大事だっていう。だからこうした方がいいっていうことを言ったんですけど、南場さんはビジョンも大事だけど、力も大事。両方あって初めて会社なんだよって。そう言われたのが凄く引っかかってて…」
「当時のDeNAはまだ2〜300人ぐらいの、今の10分の1ぐらいの会社で、ちっちゃかったんですよ。で、だったら僕も自分が胸を張って起業できるぐらい力をつけてから起業した方がいいかなと思って、DeNAっていう会社に入って修行させて頂きました」
DeNA時代の塩田さんは「血反吐を吐いて何をやっても働くんで、一番泥臭く大変なことをしたい」という思いで仕事をしていたそうです。
「営業をしていました。当時、モバゲータウンっていうサイトがあって、そこの広告の営業を電通さんとかに行って提案して、夜中の飲み会では裸踊りし…みたいな感じでしたね」
そして、DeNAを2年半で退社した塩田さんは、いよいよアカツキを創業することになります。
「DeNAっていう会社は今もホントに愛してる、大好きな会社なんですけど、自分が作りたい会社と色がぜんぜん違うし、自分を幸せにしたいとかワクワクしたい、みたいなものからスタートしてる学生時代の思いみたいなものはやっぱり自分にしかないなと思ったんで…」
「自分たちがワクワクしながら世界中の人をワクワクさせられるサービスを作れる熱い組織を作ろうっていうのがテーマだったんですよ。ものだけっていうよりはそういうチームを作ろうっていうこと」
「あと、僕はホンダとかソニーとかが凄く好きで…戦後の焼け野原の中からゼロからビジョナリーに立ち上がっていく会社で、かつ日本のみんなに勇気と元気を与えたわけじゃないですか。そういう会社になろう、で、最後は関わっている人がみんな幸せになれる会社を作ろうってのをミッションにしていました」
夢想家だと言われることも多いという塩田さんですが、ご自身の信念についてこう語ってくれました。
「でも、できない理由がないから…」「信じてますね。たしかに。自分とか自分たちとか。あと、極論、自分の命って、せっかくここに生まれてきて後悔ないように生きるっていう。別に誰のためでもなく。自分が後悔しないように生きることだけにコミットしようと思ったから…まぁできないこともたくさんありましたね。失敗も。でも、それはしょうがなくないですか?っていう軽やかさで生きてますね、最近は」
「ホントにそういうふうに生きてる人は、人のことを否定しないんですよね。だから、否定する人って自分がホントはそういうふうになりたいけどやれてないから、とか。ホントに自分の人生を生きてる人って人のことを否定しなくて優しいから。自分もそうありたいしなっていう」
この秋、『ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力』という本を出した塩田さん。ビジネスの世界に感情を持ち込むことについてこう話してくれました。
「ビジネスの世界って凄く合理的なんですよ。合理的というか説明ができることしか通らないし…なんかこれやりたい!って、なんで?って話になるじゃないですか。で、みんな頭で考えて、頑張り続けて、弱音を吐かずやり続けてるんですけど、そうすると何か成果を得た時もホントに喜べなかったりするんですよ。またすぐに次のレースが始まるから」
「でも、自分の中でヤダとか苦しいとか悲しいとか楽しいとか、そういう感情があるのが人間だから、感情をビジネスの世界に持ち込んで、ちゃんと分かち合えたり大事にすると、結局その人自身がもっとありのままになってくるっていうか、その人らしさが出てくるじゃないですか。その人らしさが出ないサービスってどこか似てくるし、なにか作り手のキャラクターが出てる方が結果的に売れるし」
「僕は不合理ってよく言われるんですけど、そっちの方が結果的に合理的になる世界になってきたから、『ハートドリブン』の中では、感情とか心とかをどう大事にしながら組織とかビジネスの世界でやっていくか、それが結果的に自分っていうものの可能性を開いていくか、っていうようなことを書いている感じですね」
塩田さんの著書のタイトルにもある『ハートドリブン』の“ドリブン”は、“インセンティブ”という言葉の対義語なんだとか。
「“インセンティブ”って日本語で“誘因”っていうんですけど、例えば、これを手に入れたらお金持ちになれる、とか、こういうことを頑張ったらお前を部長にしてやるから、とか。外から貰える報酬なんですよ」
「ドリブンは原動力とか駆動っていう意味なんですけど、自分の内側から出てくるものからやる、なんですよ。外から貰うんじゃないくて。組織ってインセンティブ設計とかよく言われるんですけど、極論を言うと、それって馬の前に人参ぶら下げてるようなもんで…それねぇ、長くは続けらんないんですよ」
「ドリブンは自分の内側にある声を聞いて、俺ホントにこれやりたいかな?とか、やりたくないかな?とか、そういうのを扱っていくってことが“ドリブン”に込めた意味で、それをハートからやろうよっていうのが、“ハートドリブン”っていう言葉ですね。造語なんですけど」
また、塩田さんはご自身の著書『ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力』についてこんなこともおっしゃっていました。
「いわゆる、正解はこうだよ、とか、こうやったら上手くいくよって本にはしてないんで…」
「僕は昔、頑張んない人を見て凄くイライラしてた時があって。なんで働かないんだコイツ?とか(笑)。でも、それってどっかで自分が働きたくないのに無理してるってことなんですよ。ホントは自分も働きたくないよな…を許せたら、彼のことを別に怒る必要もなくなるっていうことが往々にして起こるんですけど、みんな外側の正解、外側のことばっかり。自分の内側に気づくことってほとんどないから、それを丁寧に見れる組織とか文化があると、人が人に優しくなれると思うんですよ」
「何かを否定する時って、ホントはそこに自分はこうしたいっていう願いがあるはずで、そういうものに気づけるきっかけになる本じゃないかなと思ってます」
「僕は頑張ってる人ほど読んでほしいし…頑張ることも大事だから。レースしながらやってるけど、どっかで苦しんでることとかを…別に苦しんでもいいんですけど、苦しいって自己認識できてればイイんですよ。みんな、苦しいって認識せずに走ってるから止まれないんですよ。苦しいって認識する、立ち止まれる本になればいいなと」
家族に例えられることも多い会社という組織ですが、塩田さんは「今は、会社は“森”ですね。森とか生態系とか」とおっしゃっていました。
「家族って、お父さんとお母さんがいて、子供がお父さん、お母さんによって養われる。みんな仲いいんですけど、明確なリーダーがいて、彼らが家族を背負うっていう…。僕は、それはちょっと昔かなと思っていて、今の時代(の会社)っていうのは、生態系のように、森のように、木を生やす自分もいたり、ミツバチのように授粉する人もいたり、いろんな人たちがいるんですけど、それぞれはそれぞれで自分の責任を持って全うしながら流動的に動いてるっていう形かなと」
「プラットフォームというか“場”みたいな感じで、その中で花を咲かせたい事業もあれば、私は花を咲かせたくないんで蜜を贈ります…みたいな人もいる。それも必要。誰か一人が責任を持ってるわけじゃないっていうか、全体の中でいるっていう、そういう感覚になってきてますね」
最後に塩田さんはご自身にとっての挑戦についてこう語ってくれました。
「自分の可能性を開く旅、って感じですかね。挑戦してまた自分の可能性を感じたりとか、また受け取ってっていう…このサイクルを回し続けると、自分の本当の…それこそ魂じゃないですけど命が輝くことに辿り着けるんじゃないかなっていう感じがします」
番組では、そんな塩田さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「塩田元規さんの色紙希望」と書いてご応募ください!