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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2022.06.12

本物の旅をしよう! 第2のふるさとづくり



自身の人生も豊かになるだけでなく、その地域も人も元気になる、そんな旅をしてみませんか?
今回は、「本物の旅をしよう! 第2のふるさとづくり」というテーマで深掘りしました。


青木  旅というと、一般的には、地域の有名な観光地を巡ったり、特産品を食べたり、温泉や海水浴やスキーなど、海や山のアクティビティを楽しんだり、そんなことを思い浮かべますが、今日は、更に深く、新しい旅のお話です。

早速、スペシャリストをお迎えしましょう!
観光庁 観光地域振興部 観光資源課長の星明彦さんです。

星さんは公務員としてお仕事をされながら、自転車競技のロードレースにも出場されている社会人アスリートだそうですね。

   はい。
今は、この秋にイタリアで開催される予定の世界選手権への出場に向けて頑張っています。

青木  星さんは、全国、様々な場所で、大会に出たり練習をしているから『第2のふるさと』と呼べる場所が全国にあるそうですね。

足立  「ふるさと」というと、実家というイメージですが、どんな所が「ふるさと」と感じますか?

青木  私は転勤族だったので、幼稚園時代を過ごした場所、小学校4年生までいた場所、青春時代を過ごした場所と、何か所かあります。

星さんの場合もですが、「ふるさと」だからと言って、自分が生まれ育った場所だけではないということですよね。

足立  星さんは、「ふるさと」とは、どういう場所と考えていますか?

   私にとって「ふるさと」とは、もちろん、生まれ育ててくれた場所ですが、やはり、生きてきた中で強い思い出が残っている場所、言い換えれば、「自分のことを覚えてくれている人がいる場所」が私にとっては「ふるさと」です。

青木  そういった意味では、自分が「ここは『第2のふるさと』だ」と思えばそれでいいということですよね。

   そのとおりです。自分にとっての第3の場、「Another place」が大事だと思っており、そういう体験を通じて、本来の自分に戻れる、そういった場所が多くある方は幸せな方なんじゃないかと思います。

足立  新型コロナウイルスの影響で、働き方や住まい方が変化してきているので、地方に興味を持っている人が増えましたよね。
この番組でもコロナ禍がきっかけとなり働き方を見直して、二拠点生活を始めた方にお話を伺いました。

   新型コロナウイルスの影響は、すごく大きいと思います。
やはり、リモート生活を長く続ける中で、自身の住まい方、働き方を改めて考えた方も多いのではと思います。

青木  観光庁としても、『第2のふるさと』を作って、「何度も地域に通う旅、帰る旅」という新たな旅のスタイルを推進されていますよね。

   正に今、そういった気付きが広がっている中で、改めて、豊かな経験を多くの方々に知っていただきたい。
そして、新しい都市と地方との対流を生むことで、東京も含め、地域が元気になるのではと、期待しています。

青木  では、星さんには『第2のふるさと』でどのようなことをされているのか、実際の体験、経験を伺ってまいります。
星さんの『第2のふるさと』、是非、教えてください!

   たくさんある中で、私が大事に思っている『第2のふるさと』は、新潟県東蒲原郡阿賀町(ひがしかんばらぐん・あがまち)です。
新潟県の東部に位置し、町の東側は福島県との県境にあります。
そこは、傾斜が急で険しい山岳地帯に囲まれて、豊かな川も流れている場所です。
ロードバイクの練習場所として、たまたま見つけまして、訪問しましたが、何度も訪問しているうちに、宿のご夫婦と仲良くなり、私が行くと、山から水を引いて、薪でお風呂を沸かして待っていてくれるんです。

青木  もう、実家みたいですね。

   お風呂もいい香りで、お湯も柔らかいんです。
そんなにも私のことを大事にしてくれるので、私も、ご夫婦の体調など気になり、時々電話をしたり、伺ったりしています。

足立  宿の方と言葉を交わすことはあっても、その後も、交流が続くというのは、なかなかないですよね。

青木  都心部や都会に比べると、地方の方々の方が距離が近かったり、温かさを感じる方は多いと思いますが、離れていても想い合っているというのは、素敵ですよね。

足立  そうなってくると、ご近所付き合いとかもあるんですか?

   はい。あります。
「せっかく来るんだったら、ここの家が空き家になっているから見てくれ」や「興味を持っている人がいるから、それを宿にできないか?」と相談をいただくこともあります。
空き家問題などを手伝う中で、だんだん地域の一員みたいになってきました。
でも、それだけ私のことを受け入れてくださって、家族のように思ってくださる方々が増えてくるのは、大きな喜びで、その中から、自分の潜在意識が引き出されて幸福が実現しているので、光栄なことだと思っています。

青木  ここからは、更に星さんの『第2のふるさと』での体験談を伺いながら、地域の取り組みなどを深掘りしてまいります。
役割ができた『第2のふるさと』はほかにもあるそうです。

   はい。静岡県伊豆の国市です。
3年前に自転車で、頸髄損傷した際に、非常にいい形で施術いただき、幸いにも歩けるようになりまして、その恩返しをしたく、リハビリを兼ねた自転車の練習で通うようになりました。

青木  星さんの場合は、それだけではないですよね?

   はい。畑仕事をしています。
東京に近い地域ではありますが、担い手不足が深刻で、耕作を続けていくことが難しいような山深いみかん畑や畑がたくさんあります。
その畑をお預かりして、来訪する方々と一緒に畑の手伝いをしたり、好きなものを植えて楽しませてもらう場としてお借りしております。

足立  それも、ご近所の方々と話をして、交流の輪が広がっていったから、その畑を任されることになったところもあるんですか?

   そうですね。何度も訪問しているうちに、リハビリを兼ねた自転車の練習で来ていたり、恩返しをしたいといったような考え方を持っていることを知っていただいて、畑を「使って欲しい」とご提案いただきました。

青木  今の星さんの話を聞いて、自分にとっての『第2のふるさと』ってどこかな?とか、できたらいいな、と想像した方がたくさんいると思います。
多くの方々が『第2のふるさと』を見つけられるような旅ができるといいですね。

   是非、多くの方々に居心地のいい場所を持っていただいて、少しずつ、何度も通う中で関係性を深められる、そういった機会や、仕組み作りを各地域で進めていきたいと思っております。

足立  星さんがしたような経験は、自発的にするのは苦手だと思っている方もいると思うので、何かきっかけがあると、やりやすいですよね。

青木  近年は地域活性化のために、地元の観光資源を活用した体験型の観光コンテンツなどを設けている地域も増えてきたそうですね。

   はい。例えば、三重県鳥羽市では、ワカメ漁を体験できるツアーが行われています。参加された方々には、地域での体験や生活を通して新たな「生き方」「暮らし方」を発見してもらい、『第2のふるさと』を感じられる機会を作っているところです。
リピーターも増えていまして、9割以上の方々がリピーターとなりました。

足立  ほぼ全員ですね。それだけワカメ漁が魅力的だったということですよね。

青木  忘れられない体験ができるということですね。
他には、どんな地域が、どのような活動をしているんですか?

   例えば、兵庫県の丹波篠山市では、限界集落の古民家を改修し、宿泊施設を開設しました。地域の方々と一緒に、森の間伐や耕作放棄された田んぼにお米を植えたり、お酒を造る体験をしたり、そういったものを融合しながら集落の再生や耕作放棄地の解消に貢献しています。

青木  ただ、こうした旅をするには、移動環境の整備の必要となりますよね?

   はい。公共交通が発達していないような地域も多いので、そのための、手軽な移動手段を考えていく必要がありますし、都心から何度も通うためには、サブスクのような割引があると嬉しいなと私自身も感じています。
地域に貢献するからこそ、割引や新しい回数券といったサブスク商品が発展することが、今後、ますます期待されているところです。

決済や予約については、IT技術も普及してきましたので、地方部までの移動手段も含めて、一括で予約や検索、決済できるサービスの、実証実験を進めています。

青木  徐々に、地方も含めて変わってきているということですね。
足立さん、『第2のふるさと』できそうですか?

足立  Jリーグの仕事をしていたので、全国、たくさんの場所に行ったんですが、その中でも気になっているのが徳島県なんです。
自然と、空気、それと人の感じが好きでした。

   徳島県、いいですよね。
素敵な場所がたくさんありますし、多様な方々が受け入れてもらえる場だと感じました。

青木  番組をお聴きの皆さんも、是非、考えてみてはいかがでしょうか。

   地域の方々は、自分の住んでいる地域がどれだけ素晴らしいか気付づいていない場合が多いですが、地域の魅力に気付づかせてくれるのは、外からくる方々だと思います。
逆に、都会暮らしの方の中には「『ふるさと』がない」とか、「行く場所がない」と思われている方も多いと思いますが、時には、職場や家庭での立場を離れ、自然や地域の残された本当のことに触れていただきながら、自分を生かす場所に行っていただきたいと思います。
それが地域活性化や、二地域・他地域居住や移住の推進にも大いに寄与するもの思いますので、観光庁でも、そういった取り組みが更に進むように、環境整備を進めていきたいと思います。
是非、皆さんも『第2のふるさと』となるような場所を見つけてください。

足立  今日の話を聞いて、とにかく、星さんが楽しそうにされているのが印象に残りましたね。でも、それって、「何度も地域に通う旅、帰る旅」を繰り返しされているからこそ、すごく人生が豊かになっているんだろうなと気付けました。仕事で、地域に行く機会はあっても、何度も地域に通う、帰るという感覚になったことがまだないので、私もこういう旅をしてみたいと思いました。

青木  私が印象に残ったのは、星さんの体験が素敵だなと思ったのですが、大きな一つのポイントとして、その地域、その地域に仲間を作り、そして、自分の役割を得ることだと思いました。