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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2024.03.17

今日からあなたも、命を支えるゲートキーパー!



あなたの「声かけ」や「話を聞く」ことが、悩んでいる人の支援の一歩に。
今回は、「今日からあなたも、命を支えるゲートキーパー!」というテーマで深掘りしました。

(青木)
この番組でゲートキーパーを取り上げるのは2回目です。

(足立)
「ゲートキーパー」とは、悩んでいる人に「気付き」、「声を掛け」、「話を聞いて」、「必要な支援につなげ」、「見守る人」のことでしたよね。特別な資格が必要なものではなくて、誰もがゲートキーパーになれるんですよね。

(青木)
はい。「悩んでいる人に気付き、声を掛け、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る」これら、一つができるだけでも、悩んでいる人にとっては、大きな支えになります。ですからゲートキーパーはとても大切な役割なんですが、残念ながらゲートキーパーの認知度は、わずか1割程度という調査結果があり、まだまだ多くのかたに知っていただけていないようです。そこで、今日は改めて「ゲートキーパー」を深掘りしていきます。お迎えしたのは、岩手医科大学医学部神経精神科学講座教授で、精神科医の大塚耕太郎さんです。大塚さんのご専門は精神科救急、自殺対策、災害精神医学で、日頃から「こころのケア活動」に携わり、ゲートキーパーの普及活動にもご尽力されています。今年の初めには、能登半島地震の被災地にも行かれて活動されたそうですね。

(大塚)
はい。被災地の皆さんはお正月を大事に過ごされている日に、甚大な災害に遭い、その後も過酷な生活を余儀なくされ、心理的にも大変な状況だったと思います。今後は災害による二次的なストレスが出てきます。移動したり、生活が変わったり、そのステージごとに支援が届くことが重要だと考えています。

(青木)
被災はもちろんのことですが、私たちの心は、様々な要因により折れそうになってしまうものです。過去の自殺の原因や動機の統計を見ると、主なものは健康問題、経済・生活問題、家庭問題などで、これらが複雑に絡み合っていると言いますよね。大塚さんは現場でどのように感じていらっしゃいますか?

(大塚)
やはり、身近な深刻な問題が、様々な問題を複合的に連鎖させ、より深刻化させ自殺しか解決する手段はないと思われるような状況に追いつめられていると感じています。

(足立)
ちなみに、全国の自殺者数は、今、どのような状況ですか?確か、コロナ禍で女性の自殺者が増えたんですよね。

(青木)
2023年1年間の自殺者数は、暫定値ですが前の年よりわずかに減り、2万1,818人でした。女性が4年ぶりに減少しましたが、男性は2年連続で増加していて、自殺者数が多いのは40代、50代の男性です。また、非常に残念なのが、小中高生の自殺者数です。2022年に統計開始以来、過去最多となり514人、2023年はそれに次ぐ多さで507人となっています。

(足立)
つまり、小中高生の自殺者が2年連続で500人を超えてしまっているんですね。小中高生の自殺の原因はどんなことですか?例えば、「いじめ」ですかね?

(青木)
そう思いがちですが、実は過去のデータを見ると、学校問題が自殺の原因・動機の場合、「学業不振」がもっとも多く、次に「進路に関する悩み」「学友との不和」「入試に関する悩み」と続きます。「学友との不和」に「いじめ」は含まれていません。「いじめ」を原因とする自殺は数だけを見ると、ほかよりも大分少ないんです。

(足立)
「いじめ」が原因と思いがちですが、「学業不振」や「進路に関する悩み」が多いというのは少し意外です。大塚さんは、小中高生の自殺について、どのように感じていらっしゃいますか?

(大塚)
自殺に追いつめられる背景には、それぞれの身近な問題が関わります。こどもたちにとっての世界とは、学校、友達、成績、進路、家庭です。悲しみや傷つき、孤立やつらさを感じますが、まだこどもの心の働きは大人ではありません。心がストレスを感じたときに働く防衛機制が働きます。こどもたちは追いつめられるようなストレスにさらされると、心はまだ未成熟ですので、「抑圧」といって抱え込んでしまったり、回避してしまうことや、行動として出てしまうことがあります。心を防御することで強い不安や混乱してしまうことを避けられますが、本心が見えづらくなってしまうこともあります。無理に取り払うものではないですが、防御して出てきた反応を、本音や本心だと勘違いしないように注意する必要があります。見守る大人たちが一歩踏み出し、こどもたちのサインをキャッチしてほしいと思います。

(足立)
自殺を考えるほど悩んでいるのであれば、周りの人に相談してほしいんですけどね。

(青木)
そうですよね。それが、できない人は大勢います。「生きるのがつらい」と深刻に悩んでいるからこそ、人には言えずに、自ら命を絶ってしまう場合があるんです。だからこそ「悩んでいる人に気付き、声を掛け、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る」ゲートキーパーの存在がとても重要になってくるんですよね。

(大塚)
はい。悩みを抱えた人は「不安」を感じる一方で、「人に悩みを言えない」「どこに相談に行ったらよいか分からない」「どのように解決したらよいか分からない」、そうした状況に陥ることがあります。ですから、周囲の方々は、不安な気持ちに寄り添い、お話を聞いて、一緒に問題を考えていってほしいと思います。

(青木)
では、ここからは、具体的にゲートキーパーの役割をひもといていきましょう。まずは「悩んでいる人に気付いて声を掛ける」です。

(足立)
深刻な悩みを抱えている人は、様々なサインを出しているものなんですよね。

(大塚)
はい。例えば、体調が悪そう、元気がない、以前より痩せてきている、外出が減った、ため息ばかりついている、夜眠れていない、食欲がない、疲れている様子だ、など「いつもと違う」様子があれば、温かく声を掛けてほしいと思います。昇進、出産など、一見、他の人には幸せそうに見えることでも、本人にとっては大きな悩みになる場合もあります。

(青木)
「身近な人がいつもと違う」と思ったら、悩んでいるサインと思い、声を掛けてほしいですよね。

(足立)
それは十分に分かっているんですけど、「声を掛ける」って難しいんですよね。相手が職場の人だと、おせっかいのような気がしちゃうし、そもそも、何て声を掛ければいいのか、自分が声を掛けたことで、さらに追い詰めてしまわないかなど、いろいろ考えてしまいます。

(青木)
そうですよね。

(足立)
大塚さん、周囲にいつもと違う様子の人がいたら声を掛けてほしいということですが、何と言って声を掛ければいいですか?

(大塚)
難しいと思うかもしれませんが、「見て見ぬふり」の態度ではなく、勇気を出して、まずは温かい態度で声を掛けてみてください。「大分お疲れのようですが」とか「何だか体調が悪そうだけど、大丈夫ですか?」とか「最近お仕事忙しそうですが、大丈夫ですか?」など、心配していることを伝えるとよいです。「はい」「いいえ」と答えるような閉じられた質問でなく、「最近、どうですか?」などと相手が自由にお話できるように声掛けすると話しやすいと思います。相手の悩みを聞き出そうとするよりは、穏やかに、温かみのある態度で「あなたのことを気に掛けています、心配しています」という気持ちを伝えていくと良いでしょう。温かみのある対応、「情緒的な支援」はゲートキーパーと悩む人との接着剤となります。そのときは話してくれない場合でも、のちのち心配してくれている気持ちを感じて、話してくれることもあります。

(足立)
気持ちを伝えて待つことも重要なのかもしれないですね。では、相手が話をしてくれた場合、どうすればよいですか?

(大塚)
温かみをもって話に相づちを打つなど、真剣に聞いているという姿勢が相手に伝わることが大切です。聞き手が頷くと、相手の発言量は増えると言われています。最初に話を聞く場合は、相手が体験したこと、考えていること、感じていることを十分に聞きましょう。相手は支援者の聞く姿勢により、悩みを話すことが促され、安心して悩みを話すことができるようになります。

(青木)
やっぱり、安心感を出すことが大事ですね。

(大塚)
正しいかどうか、良いか悪いかを判断したり、批判はしないようにしながら聞くことです。「話を聞くだけでは何もならない」と感じる人もいますが、寄り添って話をよく聞くことは、危機にある人への最大の支援だと思います。「話を聞いてもらうだけで安心した」とおっしゃるかたも非常に多いです。

(青木)
そして、話をしてくれた場合は、「話してくれてありがとう」「つらかったね」「これまでよく頑張ったね」など、ねぎらうことも大切ですよね。

(大塚)
はい。ねぎらいは相手を認めることでもあります。例え本人の失敗から至った困難でも、これまで苦労してきたことをねぎらうことが大切です。

(青木)
例えば本人の失敗から至った困難だとしたら、その本人も話しにくかったり、自分を責めてしまったりすることもありますよね。

(足立)
聞いてあげることが大事ということは分かるんですが、ただ、悩みを抱えきれなくなることもあったりしますよね。中途半端に関わって、かえってよくない方向に行ってしまわないか心配ですが、そういうときは、どうしたらいいですか?

(大塚)
そういった心配もあるかもしれませんが、お話を聞くことは最大の支援です。相手の物語を聞くことが「手当て」でもあるんです。悩みを抱えているかたは、つらい状況に陥っているため、穏やかで温かみのある対応が大きな支援になります。「どのように暮らしているか」という点に話を向けながら、「どのような点で困っているか」と質問を向けていただく。そして、困っていることを問題解決に少しでもつなげることが大切です。正しい答えをすれば良い支援者というわけではなく、一緒に悩み、試行錯誤をしながら、一緒に考えることが支援にもなります。そのことで孤独な気持ちも和らいでいきます。全ての問題を解決できる支援者はいません。一人のゲートキーパーができないことでも、つながることでできることがあります。具体的な問題を抱えている場合、専門家や相談機関に相談するように促し、つなげていき、悩んでいる人の支援の輪が広がることが大事になります。

(青木)
厚生労働省の「まもろうよ こころ」というサイトを見れば、電話やメールで相談に乗ってくれる団体や、18歳以下のこどものための支援センター、法的トラブルの相談に乗ってくれる法テラスなど、様々な支援窓口を見付けることができます。こうしたサイトを参考にして、例えば、借金の問題を抱えていれば法テラスへ、体調に問題を抱えているのなら医療機関に、つないでいけばいいんですよね。

(大塚)
つなぐときの注意点としては、十分に心に働きかけながら、丁寧に具体的に情報提供をすることが大切です。例えば、電話番号やURLなどを送ってアクセスしやすいようにしたり、本人が自分からは動けないようであれば、本人の了承を得た上で、相談先に連絡を取り、相談場所や日時などを調整して伝えることが必要な場合もあります。

(青木)
そうですよね。悩んでいる人は自分自身のことでいっぱいいっぱいになっていると、調整する余裕がないケースもありますからね。そして、つないだら終わりではなく、温かく見守ることが大切ですよね。

(大塚)
相談に乗ってからも見守ることが大切で、中には声を掛けても、専門家の相談などを望まれないことや、相談先につながらないかたもいらっしゃるかもしれません。つないだ後も、温かく見守り、必要があれば相談に乗ることを伝えると良いと思います。ずっと一緒に考える存在であることが大切ですので、それが悩んでいる人に安心感を与えると思います。

(足立)
大塚さんは、ゲートキーパーにとって最も大切な心得は何だと思われますか?

(大塚)
温かみのある対応をして、心に寄り添って、悩むかたの物語を傾聴することが大事だと思います。サポートが難しいと思ったときほど、サポートの原点に立ち戻ってほしいと思います。皆さまの大切な家族や友人、職場の仲間など、あなたの周りに「いつもと様子が違う」と感じる人がいたら、まず、温かく声を掛けてみてください。それが、悩みを抱えている人を支える一歩となります。

(足立)
今日の話を聞いて改めて、皆さんに「ゲートキーパー」を意識していただけるといいなと思いました。その中でも大事なのが「声を掛けること」。そして、寄り添ってあげること。声を掛けることは難しいかもしれませんが、周りを見て、「いつもと違うな」というかたがいたら、話を聞いて寄り添う。そういうことを皆さんがちょっとずつ、ちょっとずつ、してくれるとうれしいなと思いました。

(青木)
私が印象に残ったのは、今の足立さんの言葉に加えて、具体的な問題を抱えている場合は、専門家や相談機関に相談するように促し、つなげていくということも大事なんですが、つないだら終わりではなく、温かく見守る、これが大事だなと思いました。是非、「ゲートキーパー」という言葉、そして、そういう役割があることを覚えていただきたいです。


【 関連リンク 】
・ゲートキーパーになろう! / 厚生労働省
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/gatekeeper.html

・まもろうよ こころ / 厚生労働省
 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/