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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2022.11.20

こどもまんなか社会を実現しよう! こども家庭庁創設



こどもや若者の声やアイデアを取り入れた新たな組織と、こどもが主役の法律が、2023年4月から発足します。
今回は、「こどもまんなか社会を実現しよう! こども家庭庁創設」というテーマで深掘りしました。


青木  足立さんは、こどもの頃、自分自身に満足していましたか?

足立  満足していたかどうかと聞かれると、楽しかったけど、すごく満足していたかというと、そうでもなかったかもしれないです。

青木  内閣府が、2018年に、日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの7か国を対象に行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると「自分自身に満足している」「どちらかと言えば満足している」と答えた13歳から29歳の若者は、45.1パーセント。
この数字は、諸外国と比べて極めて低いことが分かりました。
アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスは80パーセントを超えていて、スウェーデン、韓国も70パーセントを超えています。

足立  日本は、半分以上の方が満足していないという結果ですよね。
驚きました。何ででしょう?

青木  この結果と直接結び付けて考えることはできないと思いますが、日本のこどもたちを取り巻く課題はいろいろありますよね。

足立  学校でのいじめの問題とかですか?

青木  以前、この番組でも取り上げましたが、こどもの貧困や、児童虐待、不登校などもあります。
実はこどもの虐待に関する相談件数や、いろいろな事情で学校に通うことができないこどもの数は、2020年度は、これまでで最も多くなってしまったんです。

足立  課題を解決するために、いろいろな取組があるとは思うんですけど、まだ改善されるまでには至っていないんですね。

青木  さらに、日本は少子化の問題を抱えています。
出生数の減少は予想を上回るペースで進んでいて、2021年の出生数はおよそ81万人と過去最少を記録しています。
私が生まれた1983年は、およそ150万人でした。
このまま、こどもの数が減り続けると、今後、社会を支える人が減っていくことになり、社会全体を支えることが難しくなるのではないかということが心配されています。

そこで、「こども家庭庁」と「こども基本法」なんです。
ここからは、内閣官房 こども家庭庁設立準備室審議官の北波 孝さんに伺っていきましょう!

いよいよ、来年の4月からこども家庭庁が新設されますね。

北波  はい。2023年4月1日、こども家庭庁という新しい国の組織ができることとなりました。
こども家庭庁は、「こどもまんなか社会」の実現に向けて、こども政策に全力で取り組んでいくための国の組織です。

「こどもまんなか社会」とは、こどもに関する取組・政策を社会の真ん中に据えることを言います。
全てのこどもがその命を守られ、自分らしく、健やかに、安心して過ごせるように、こどもや子育てをしている人の目線で、こどもの権利を大切にするなど、常にこどもに最も良いことは何かを考えていこうというものです。

足立  「こどもまんなか社会」って、そういうことだったんですね。

青木  先ほども少しお話ししましたが、こどもを取り巻く課題は多岐にわたっていて、政府のこどもに関する仕事も様々な省庁で行われてきました。
一例を挙げると、内閣府では、少子化対策やこどもの貧困、児童手当などに関すること。
厚生労働省では、児童虐待対策やひとり親家庭支援、母子保健などに関すること。
文部科学省では義務教育や学校でのいじめ対策などに関すること。
という具合に、行われてきたんです。でも、これからは違うんですよね。

北波  はい。これからは、今おっしゃった仕事のうち、教育の部分を除いて、全てこども家庭庁が一元的に担当することになります。
具体的には、妊婦健診や産後ケア、保育園・認定こども園、児童虐待対策、児童手当などのこどもと家庭への支援に関する仕事を担当することになり、年齢や制度の壁を越えた切れ目のない支援を行っていくこととしています。

教育の仕事に関しても、文部科学省と連携を深めながら、取り組んでいくこととしています。
また、こども家庭庁は、政府の中のこども政策全体のリーダーとなります。
いつも、こどもにとって何が大切かを、こどもと子育てをしている方の目線で考えて、こどもに関係する仕事をリードしていきます。

青木  こども家庭庁には、こども政策を担当する大臣を置き、その大臣は他の大臣が担当する仕事、例えば文部科学省が担当する教育の仕事などが十分ではないとき、もっと良くするようリーダーとして指示することもできるそうです。

北波  はい。
さらに、これまでなかった課題、どの省庁がリーダーとして担当するかはっきりしなかった課題、そして対応が十分でなかった課題にも取り組んでいきます。
一例を挙げますと、こども家庭庁がリーダーとなって「こどもの居場所」づくりを進めていこうとしています。
「こどもの居場所」というのは、こども食堂や放課後児童クラブ、児童館などが挙げられますが、これまでは施設の目的によって別々の省庁が担当していました。
これからはこども家庭庁がリーダーとなって、こどもたちの地域における居場所づくりを進めていくこととしています。

足立  これからのこどもに関する政策は、こども家庭庁がリーダーとして関わっていくということですね。

北波  はい、そうです。
先ほど2023年4月1日にこども家庭庁ができるとお話ししましたが、実は、同じ日に「こども基本法」という新しい法律が動き出します。

青木  「こども基本法」について、私から簡潔にご紹介しますと、日本には「児童福祉法」「母子保健法」「教育基本法」など、こどもに関わる様々な法律はありますが、こどもを権利の主体として明確に位置づけ、その権利を保障するための基本的な法律が存在していなかったんです。
こどもをめぐる問題を抜本的に解決し、こどもに関する施策を幅広く、整合性をもって実施するには、基本となる理念や施策、方針などが定められる必要があることから、「こども基本法」を作ることになったそうです。

北波  はい。こども基本法では、「こども」を冠する基本法として、名実ともに、こどもが中心に据えられた法律になっています。

このこども基本法は、日本国憲法と日本も批准している「児童の権利に関する条約」を踏まえて、その内容を法律にしたものとなっています。

具体的には、法律の中で定められている基本理念として、
・こどもの基本的人権を保障し、差別を禁止すること
・こどもの健やかな成長や学びの権利を保障すること
・こどもの意見を尊重すること
・こどもの最善の利益を優先すること
などが規定されています。

この基本理念の下、例えば、こども政策を実施するに当たっては、対象となるこどもや子育てをしている人たちの意見を反映させていく、ということも定めています。

足立  こどもたちの意見が国の施策に反映されていくんですか!?

青木  実は、こども家庭庁を作る段階から、こどもや若者の皆さんからのアイデアを出してもらって、反映されていったそうなんです!

足立  北波さん、こども基本法では、こども政策を進める上で、こどもたちの意見を反映させていくこと、としているようですが、具体的にどういう方法でこどもたちの意見を聴いていくんですか?

北波  はい。例えば、意見を言いたいこどもや若者を集めて意見交換会を開いたり、政府の会議などに、こどもや若者が参加できるようにしたりすることを考えております。
また、SNSなどを活用して、こどもと若者が参加しやすい方法で意見を聴いていくことも考えています。
こういったいろんな手法を組み合わせながら、意見を言いづらいこどもたちや、幼いこどもたちも含めて、多様な声を聴くようにしていきたいと考えています。

青木  こどもたちがどんどん意見を言えるような環境を作っていくことが大事ですね。
こども家庭庁を作っていく段階から、こどもや若者から意見を聴いていたんですよね。

足立  具体的にどんなアイデアがあったんですか?

北波  はい。こども・若者およそ60名から意見を聴かせてもらい、政府に取り組んでほしいことや、こども・若者の意見を政策に反映していく方法などについて、たくさんのアイデアをいただきました。
そのアイデアの一部は、内閣官房が作ったこども向けの資料「こども家庭庁について」というパンフレットでご覧いただけます。

青木  例えば、どんなアイデアが挙がったかと言うと、「学校や家庭以外のこどもの居場所づくりに取り組む」「こどもと近い目線・価値観で対応することができる“お兄さん”“お姉さん”的な支援者による支援を進める」「制度や支援についてオンラインで気軽に問い合わせできる仕組みを作る」などです。

これらのアイデアには私たちも「なるほどな」と思いますよね。

足立  今のこどもや若者は、インターネットやSNSなどは使い慣れているでしょうから、オンラインという視点は大事ですよね。

青木  他には、“児童養護施設”。
これは、家庭では育てられないなどの理由で、こどもが家庭以外の場所で暮らす施設のことですが、この施設での生活の決め事などは、こどもの意見を聴いてより良くしていくなど、当事者でないと気付きにくい課題に目を向けたアイデアも紹介されています。

足立  確かに、こういうアイデアは当事者でないと出てこないかも。
こども基本法では、他にどういったことを定めているんですか?

北波  こどもに対する支援は国だけでなく、地方の自治体や民間企業、NPOなど、様々な主体により行われていますので、こうした関係者が密に連携していくようにしましょうということを定めています。
また、この「こども基本法」を、こどもを含む多くの人に知ってもらうことがとても大事ですから、こども基本法や児童の権利に関する条約の内容について、広報活動をしっかりと行っていくということも、規定しています。

足立  今日も、その広報活動の一環ということですね。
では、『こどもまんなか社会』の実現に向けて、私たちが心掛けておいたほうがいいことなどもあるんですか?

北波  はい。こども・若者の皆さんや、子育ての当事者の方の意見を積極的に取組に反映していきたいと考えていますので、困ったことや、もっとこうしたほうがいいのにという意見があれば、積極的に声を挙げてもらえると嬉しいです。

青木  そうですよね。
特にこどもたち・若者たちには、「こどもまんなか社会」の主人公として、積極的に社会に参加していってもらいたいですよね。

北波  はい。今回、こども家庭庁という組織ができることで、こども政策を進めるための、言わば「器」ができることになったと思っています。

また、こども基本法ができることで、こども政策の基本的な方向性が示されます。
今後は、この方向性を具体的な取組に落とし込んでいく形で、「器」によって進められる取組の「中身」を充実させていきます。
何よりも「こどもまんなか社会」の主役はこども・若者の皆さんです。
皆さんの声をどんどん、こども家庭庁の取組に反映していきたいので、是非、声を聴かせてください。

こども家庭庁は、皆さんの声を受け止め、皆さんと一緒に考えながら様々な取組を進めていきます。
私たちと一緒に「こどもまんなか社会」を作っていきましょう。

足立  2023年4月1日に「こども家庭庁」が発足されるんですが、同じ日に「こども基本法」も動き出すということで、どっちも皆に知って欲しいなと思いました。こどもをめぐる問題をこれで解決できるといいな!と思いました。

青木  今、目指している「こどもまんなか社会」の主役は、こども・若者の皆さんですよね。是非、その声を届けていただきたいと思います。


【 関連リンク 】
・こども家庭庁について/内閣官房
 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku_suishin/pdf/betu2_kodomo_siryou.pdf