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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2022.12.04

あなたの口座でもマネー・ローンダリング対策



あなたの口座は大丈夫ですか?
犯罪組織やテロ組織に、あなたの口座を使われない、狙われないためにも、日頃からできることがあります。
今回は、『あなたの口座でもマネー・ローンダリング対策』というテーマで深掘りしました。


青木  足立さんは、初めて金融機関で口座を開設した時のこと、覚えていますか?

足立  私は、15歳でこの仕事を始めたので、お母さんが口座を開設してくれたことをよく覚えています。

青木  結構、早い段階から開設したんですね。
僕は、一人暮らしを始めた18歳くらいだったかな。
やはり、自分の口座を持ったり、自分のクレジットカードで決済するとなると、大人の階段を登った気がしますよね。
今日、深掘りするのは、そんな金融機関の口座にまつわるお話です。

マネー・ローンダリング、略して“マネロン”。
「資金洗浄」という言い方もあります。
近年、よく聞くようになりましたよね。

足立  ドラマなどでも最近、耳にすることはありますしね。
でも「説明して」と言われると、なかなか難しいので、青木さん、お願いします!

青木  マネー・ローンダリングとは、犯罪や不当な取引で得た資金を、多くの金融機関を転々とさせることで、正当な取引で得たように見せ掛けたり、資金の出どころを分からなくする行為を指します。
犯罪というのは、例えば、麻薬の売買、賭博、身近なところでは、オレオレ詐欺などの特殊詐欺も含まれます。
犯罪や不当な取引で得た真っ黒なお金を、真っ白できれいなお金に見せ掛けるので、資金洗浄、英語でマネー・ローンダリングと言うんです。

足立  犯罪者や犯罪組織が、悪知恵を働かせて行っている行為なんですね。

青木  そうなんです。このような行為を野放しにしておくと、こうしたお金が資金源となり、更なる犯罪につながる恐れがあります。

足立  もっと多くの人が被害に遭う可能性がでてきてしまうわけですね。

青木  また、正当な経済活動にも影響を及ぼす可能性もあります。
そのため、マネロン対策が必要なんですが、実は、それだけではないんです。
ここからは、金融庁 マネーローンダリング・テロ資金供与対策企画室長 萬場大輔さんにお話を伺います。

足立  萬場さん、早速、マネロン対策が必要な理由を教えてください。

萬場  はい。先ほど、青木さんがお話していたように、一つは、詐欺や麻薬の売買、賭博などの犯罪や不当な取引から得た利益の没収、捜査を逃れようとする行為を放置せず、犯罪行為を助長させないためですが、近年は、それに加えて、「テロの実行支援などを目的としてテロリストなどに資金を渡す行為」や、「核兵器などの大量破壊兵器の拡散に関与する者へ資金を渡す行為」、こうした、世界の平和や安全を脅かすテロ資金供与などの行為を阻止するためにも、マネロン対策が必要になってくるんです。

青木  実際、アメリカ同時多発テロを実行したテロリストたちは、マネー・ローンダリングされた資金を受け取って、アメリカ国内で生活し、飛行機操縦学校に通っていたと言われています。

萬場  そうなんです。そのため、テロリストや、大量に人を殺りくする兵器を開発していると疑われているイランや北朝鮮へ、その開発資金となるようなお金を渡さないように、マネロン対策が必要になります。
なお、イランと北朝鮮は、その核活動などにより、国連安全保障理事会の決議で経済制裁措置を受けている国です。

足立  テロリストと聞くと、遠い話のように感じてしまいますが、最近、北朝鮮のミサイル発射は、私たち日本人にとっても身近な話ですよね。

萬場  はい。ですからマネロン対策は、日本、そして国際社会が、共に取り組まなければならない課題です。

青木  一つの国だけが、マネー・ローンダリングの規制を強化しても、他の規制の緩い国が抜け道になってしまうんですよね。

萬場  はい。そのため、FATF(ファトフ)という多国間枠組みが、1989年に設立されたんです。
FATFでは、マネロン・テロ資金供与等対策の国際基準を作っており、現在、世界200以上の国・地域に適用されています。
また、基準を作るだけでなく、基準にのっとり、加盟各国が実際に有効なマネロン対策を行っているかどうかなどについて、お互いに審査し合う仕組みを作っているんです。
日本は、FATFの設立メンバーとして世界のマネロン対策をリードしていくべき存在です。

青木  ところが、日本は3回目のFATFの審査を2008年に受け、その改善対応を進めていたのですが、2014年に、名指しで「マネロン対策に遅れがみられるので迅速に改善するように」と指摘されてしまったそうなんです。
そこで、日本の政府や各金融機関は、マネロン対策を進め、昨年8月、4回目の審査結果がでたのですが、さぁ、足立さん、日本のマネロン対策はどう評価されたと思いますか?

足立  前回、名指しで指摘されたということなので、しっかりできてる!と評価されたと思うんですけど、萬場さん、どうですか?

萬場  昨年の、8月の審査結果では、日本のマネロン対策が一定の成果を上げていることが認められたものの、対策を更に向上させるために、金融機関に対する監督・検査など、いくつかの項目について、更にしっかりと取り組むことが必要とされました。

足立  つまり、まだ十分ではないということですか?

青木  そうなんです。しかも、指摘された点を改善し、報告する必要があるそうなんです。

萬場  はい。このマネロン対策の国際基準は、常に最新のものにアップデートされているので、日本もしっかりとした対策を行わないと、次回の評価は、もっと厳しいものになります。

足立  国際的な評価が下がり、恥ずかしくてばつが悪いというのは、何となく理解できるんですけど、評価が下がるとデメリットはあるんですか?

萬場  はい。このFATFから、マネロン対策に不備があると評価された国は、外国の金融機関との決済で、通常よりも時間を要するなどの支障が生じ、その国の貿易や経済に悪影響が出てしまう可能性があります。

青木  だからこそ、政府や金融機関は、きちんとマネロン対策を実施しなければならないんですが、実は、このマネロン対策は、金融機関に口座を持っている私たち一人一人にも関係しているんです。

足立  「あなたの口座でも」ということは、萬場さん、マネロン対策と、私たちの口座が関係しているということですよね?

萬場  はい。日本では、オレオレ詐欺などの特殊詐欺が多発しているほか、インターネットバンキングで、知らないうちに他人の口座に現金が振り込まれてしまった。というような不正送金事犯が確認されています。

青木  実際に、来日外国人グループによる、インターネットバンキングの不正アクセスに係る不正送金事犯も確認されているんですよね。

萬場  はい。これらの事犯では、架空の口座や他人名義の口座を利用するなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリングが行われています。
犯罪組織やテロ組織は、一般利用者に紛れて、気付かれないように取引を行おうとします。
これを防ぐためには、金融機関が口座を所有しているお客様の情報を継続的に確認することが必要になります。

青木  足立さんは、引っ越しをする度に、口座を持っている金融機関に住所変更の手続きをしていますか?

足立  もちろんです!
住所変更の手続きを行うものだと思っていますし、郵便物が届かないと困るので、私はやってます。

青木  そうですよね。速やかに届け出たほうがいいですよね。
同様に、金融機関に届けている電話番号やメールアドレスを変えた場合、また、結婚や転職などで情報に変更があった場合には、届け出ることが約款に定められているので、変更の届け出をする必要があります。

足立  変更してない人がたくさんいるということですか?

青木  郵便物を送っても、返送されてくることが少なくないそうですよ。

萬場  一昔前の日本では、比較的簡単に口座を開設することができたため、一人で複数の口座を所有している人もいて、中にはほとんど使用しないまま放置されている口座や、名義人とは別の方が使っている口座があります。
そして、中には、遊興費や生活費欲しさから自分の口座を売却する人もいます。
口座の売買は犯罪ですので、絶対にやめてください。
こうして売買された口座や、パスワードを盗まれて乗っ取られた口座は、犯罪組織に悪用されています。

青木  そうしたことを防ぐためにも、金融機関ではお客様の情報を継続的に確認する必要があるそうなんです。

足立  どのようにして確認をしているんですか?

萬場  はい。金融機関では、取引の内容や状況などに応じて、個人や法人の利用者に「お客さま情報ご提供のお願い」や「お取引目的等確認書」などといった郵便物を送付して、利用者情報や取引の目的について定期的な確認を行っています。

青木  こちらが、ある銀行の確認書類なんですけど…
名前や生年月日、職業、勤め先の住所、国籍などを書き込む欄のほか、お取引目的として口座を何に使うのかについて、生計費の決済、事業の決済、給与受取り、年金受取り、貯蓄、資産運用をチェックする項目もあります。

足立  「外国への送金の有無」や「取引通貨の種類」、「通常、月にいくらくらい取引をする予定か」などもチェックする項目がありますね。
こんなに細かく回答を求められると、手間が掛かると思って後回したり、そのまま放置しちゃう方もいそうですよね。

萬場  そうですね。ただ、日頃の取引状況を把握することで、急に大金が振り込まれ、すぐに引き出されたり、突然海外に大金を送るなど、通常と違う取引があれば不審に思って確認することができますから、金融機関では、回答をお願いしているんです。

青木  こうした郵便物は、あなたの口座にマネー・ローンダリングの疑いがあるために送っているわけではなく、取引内容を踏まえて皆さんにお願いしているものなので、受け取った際には期限内に回答していただきたいんです。
回答方法は、郵送で返送する、ウェブサイトから送信する、窓口へ提出するなど金融機関によって違うそうです。

足立  回答しなかった場合、ペナルティなどあるんですか?

萬場  期限内に回答がない時には、場合によっては取引が一部制限される場合があります。
例えば、預金者との連絡が長い間取れない状況で、不審な取引が見られる場合は、口座を乗っ取られたり、本来の名義人でない方が利用されている危険もあるので、窓口でないと預金の引き出しができなくなったり、一度に多くの金額を送金できなくなったりすることもあり得ます。
そのため、普段から、引っ越しや結婚などで氏名や住所が変更になった場合には、金融機関に変更の届け出をしていただければ、こういった心配も少なくなりますので、利用者の方は、是非とも金融機関に変更のご連絡をしていただければと思います。
連絡を取れば、通常は、そのような制限は解除されます。

青木  ダイレクトメールなども多いので、中には、封書やハガキで届く書類にすぐに目を通さない方もいるかと思いますが、取引のある金融機関からのものは、すぐに確認してほしいですね。
ただし、怪しいメールやSMSには注意してください。
近年、金融機関を装って、口座の暗証番号やインターネットバンキングのログインID、パスワード、クレジットカードやキャッシングカード番号などを不正に入手しようとするフィッシングメールが多数確認されています。
金融機関では「マネー・ローンダリング、テロ資金供与対策」の名目で、メールやSMSによって、利用者のネットバンキングのログインIDやパスワードなどを問い合わせたり、ウェブサイトに誘導した上で、入力を求めたりすることは絶対にありません。
その点は十分に注意してください。

萬場  はい。銀行などの金融機関から、お客様に登録いただいた「お客様情報」や「お取引の目的」などを確認するための郵便物が届く場合があります。
これは、利用者一人一人の情報を確認し更新することで、一般の利用者に紛れてマネー・ローンダリングなどを行おうとする犯罪者を見逃さないためです。
そうすることで、更なる犯罪やテロ行為を抑止する、ひいては、皆様の資産や安全を守るために重要なことなんです。
金融機関からお客様情報の確認を求められた場合は、是非ご協力をお願いします。

足立  今日の話を聞いて、印象に残ったのは、金融機関から届いた書類などは、すぐに目を通さないといけないんだなと改めて実感しました。
ちょっと面倒だなと、置いておきがちなんですが、重要な書類なので、すぐに目を通して、自分でできることはやるべきだなと思いました。

青木  私が印象に残ったのは、犯罪組織やテロ組織は、一般利用者に紛れて気付かれないように取引を行おうとするということです。私たちが平穏な暮らし、生活を送るためにも、自分が持っている口座は、自分でしっかり管理したいなと思いました。


【 関連リンク 】
・金融機関のマネロン対策にご協力ください/金融庁
 https://www.fsa.go.jp/news/30/20180427/20180427.html